Invisible Moment *//INCIDENTAL VANISHING STARS//
20061022 0330
冷たい秋*0

暖かい照明の静かな場所でお酒を飲みながらの会話。アルコールが少しずつ感覚をズラしていく。それを自覚しながら雰囲気を楽しみ、時間がゆっくりと流れていく。そんな贅沢な時間の使い方。一通り会話が一周した頃、酔いが回り寝始める人が出る頃、それぞれがそれぞれの席の近くの人たちと別々の会話をし始める頃。その会話をぼんやりと聞きながら、なんとなくこの不思議な時間の流れについて一人思う。
聞こえてくる会話は、中学や高校時代に放課後の教室でグラウンドから聞こえてきた野球部やブラスバンド部の練習の音に似ている。遠くで何かが起こっている感覚。夏の空の積乱雲や時雨も、何かが起こっていることを教えてくれる。光る空と草木に降る雨をぼんやりと見ているのもいい。当事者ではなく、客観的な観測者としてその状況を眺めているのが「世界は確かにそうなっている」と感じさせ、不思議な気分に浸れる。映画でも音楽でも、終わったあとの余韻が大切。
空が明るくなり始めた頃、道路工事のクレーンを見上げながら信号待ちをする。酔った肌を朝焼けの空気が舐め、冷たい秋の存在を知った。楽しい時間はいつも早く過ぎる。モスコミュールの氷はいつもより早く融けていく感じがした。


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