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Exhibition 4 "Second Nature" Directed by Tokujin Yoshioka

21_21 DESIGN SIGHTで行われている吉岡徳仁ディレクションによる第四回企画展「セカンド・ネイチャー」を見てきました。セカンド・ネイチャーとは、第二の天性・後天的に身に付けた才能や習慣のことを指しますが、今回は第二の自然やデザインの未来を考えると言う意味合いで使われています。
今回のメインになるのは「Venus」という結晶でできた椅子になるのですが、Honey Pop ChairやPANNA Chair、PANE Chairなどに続く作品といった感じでしょうか。水槽の中に椅子があり、管を通して空気が送られている様子はかなり不思議な感じで、近未来チックな雰囲気でしたね。ただ、月光・運命・未完成というベートーヴェンとシューベルトの曲を結晶に与え、それによってできた造形物を作品として展示しているのは、初見では例のトンデモっぽいな・・と思ってしまいました。
地に足の着いていないアートはアート足りえないと個人的には思いますし、結晶の構築過程に意図的に何らかの偶然性(とその意味付け)を取り入れたかったという制作者の思いは理解できますが、偶然性となるもののトリガーはもう少し科学(化学)的な(ある程度再現性のある)アプローチにすべきだったのではないかと感じました。実際に作品に接する人がそこまで理解した上で視聴するのであれば問題ないと思うのですが・・。この辺のことについては、wallpaper.comのインタビューで吉岡徳仁が、

Q:You also used music to see if it affects the way the crystals grow. Did you learn anything interesting?
A:It's hard to say. More than just seeing whether the shapes of the crystals changed according to the music, it was to see if they followed the story of the music. My intention is that people look at the panels and create their own stories and dreams.

Q:The one grown to Beethoven was fairly flat compared to the others. Why was this do you think?
A:I don't think it was just the music. There are other factors like temperature, conditions, time and so on.

と答えているので、音楽はあくまでも意味・理由付けとして使用されているようです。
あと、個人的に良いなと思った展示は「CLOUDS」というインスタレーション(これも吉岡徳仁によるもの)でヴィーナスの椅子があるエリア全体がそうなっているのですが、天井からたくさんの透明なファイバーがぶら下っているのがとても綺麗でした。ちなみに、東信(と聞くと、浮遊している松とマルタン・マルジェラをイメージしてしまいますが・・)による作品も、植物に体を覆われた「LEAF MAN」と五葉松を氷の中に閉じ込めた「式2」の二つほど展示されていました。

企画展は面白いので毎回見に行っている自分ですが、気になる人はこの辺の記事も参考にしつつ、時間がある時に行ってみると良いかもしれません。美術館や博物館に足を運び作品を見ることは、自分の心の中を見るようなものなので。そういう時間は大切だなと個人的に思いますね。

posted by PFM