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Chanel Pre-Fall 2017 Paris Cosmopolite Metiers d'Art Collection

Ritz Parisで行われたKarl LagerfeldによるChanel Pre-Fall 2017 Paris Cosmopolite Metiers d'Art Collection。
2002年以降、世界各地を旅してきたメティエダールコレクションですが、今回は1934年から1971年に没するまでCoco Chanelが住んだリッツ・パリでの開催。カールはバックステージで、「リッツはまさしくパリであり、世界中の女性と男性はここに来ます。よって、ここはコスモポリタン・エレガンスな場所です。」と話したようです。ちなみにカールは過去、1996年春夏、1996年秋冬、1997年春夏の3つのクチュールコレクションをリッツで行ったことがあるとのこと。

1930年代前後のクラシカルでシックな空気感をベースに、11のアトリエの技巧によってドライヴされるコレクションは、特定のカルチャーを包摂せず、ピュア・シャネルに純度の高いパリジャンとして進行する。スパンコール・セットアップやパールがあしらわれたドレス。アイボリーのセパレート・ドレスにツイード・ガウンコート。ボトムスにはペンシルスカートに加え、カプリやワイドパンツが配され、外羽根式のヒールやスエードのサイハイブーツが足元を飾る。

ランチタイム、ティータイム、ディナータイムの3回に渡って行われた今回のショーは、Jean CocteauやChristian Berardらと共にCoco Chanelが過ごしたカフェ・ソサエティの社交界を想起させる。ランウェイで楽しく踊り、微笑むモデル。シンプルでリラックスしたカンフィーな印象を与えるレトロ・エレガンスな服たち。各Lookはクラシカルでありつつもモダンな表情を併せ持ち、ノスタルジアと共に現代へと再現前化される。メゾンの歴史を携えた服には記憶が宿り、背景に流れる美しい物語とCocoの存在を確かに感じさせてくれる。

非日常性に包まれたデフィレという祝祭空間は、服に超越性を与える機構として機能し、歴史を有するメゾンであるChanelのCCロゴ、ツイード、キルティング、チェーン、カメリア、パールといったレガリアは服に正統性を与える。祝祭空間での啓示と歴史の連続性に支柱された聖なる超越性が服に息吹を吹き込み、纏いし者の日常に超越的な非日常性を侵入させ、魔法のように彩りを与える。それらは時間の経過と共に再び日常へと徐々に回収されていくが、多くの女性はChanelに解けない魔法を求め、魅せられていく。
豊かなヘリテージを備えるChanel。ラガーフェルドは歴史の連続性に依拠したメゾンの伝統の井戸から聖水を汲みつつ、年6回の祝祭を企図し、時代の変化に合わせて遺産を近代化させながら、日常性への抗いとして終わりのない夢を女性のために描き続ける。

年末もカールはChoupetteと一緒に自宅で過ごし、次のコレクションのためにバリバリとスケッチをする予定だという。多くのデザイナーが休暇と新年の祝賀を楽しむ間、彼は一人、スケッチブックに向かう。それについて彼は、"I'm working class, my dear,"と満足げに答えた。

via vogue.com wwd.com leparisien.fr nytimes.com nytimes.com businessoffashion.com tFS

posted by PFM