monotone.
少しだけ季節が巻き戻った週末。
泣き出しそうなグレーの空とビルのコンクリート、
工事中の朱色のクレーンが寂しそうに風に吹かれる。
駅のホームで椅子に座り、ぼんやりと行き交う人たちを眺める。
視線を落とし、イヤフォンから流れる音楽に集中しながら
足早に行き交う人たちの足元を眺める。
ハイヒール、ブーツ、スニーカー…真新しいものから使い古されたものまで、
一定のリズムを刻みながら僕の視界を右から左へ、左から右へ。
聴いていた曲が終わりを告げ、数秒間、現実の世界の音がイヤフォン越しに心をノックする。
外界から介入してくるデリカシーの無いその雑音が、現実に生きているという実感を僕に与える。
ホームに何回目かの電車が到着し、視界の半分が顔の無い風景化した足で埋まる。
曇り空、モノトーンの風景。
イヤフォンから流れる曲のボリュームを上げ、僕は目を閉じた。