Karl LagerfeldによるChanel Haute Couture 09SS Collection。
今回の会場はGrand Palaisではありませんでしたが、白と黒のカラーパレットで純粋な美しさを追求したような素晴らしいコレクションでしたね。コレクションについてKarl Lagerfeldは、"I wanted something fresh, starting again, a new modesty - and white paper is the height of luxury."と答えたようです。ショーで一際輝いていたペーパーフラワーの髪飾りは、wwd.comによると加茂克也によるものだったとのこと。
全体的に結婚式やウエディングケーキのような雰囲気のあるコレクションだったと思いました。
"ANGLES"をテーマにしたKris Van AsscheによるDior homme 09-10AWコレクション。
音楽担当はMalcolm McLarenでカラーパレットはモノクロでしたね。コートやジャケット、パンツの合わせの部分とシャツの襟などがアシンメトリーになっており、また、パターンに関しては幾何学的なものがいくつか含まれていて、今回のテーマとリンクしていました。
川久保玲によるComme des Garcons Homme Plus 09-10AWコレクションは、"Fashion illusion"をテーマにして行われました。
服はトロンプルイユな表現が多く(以前から使われていますが)、Stephen Jonesによるハット、白黒ツートンのMary Janesな靴はかなり女性的な雰囲気でしたね。また、エプロンのようなLOOKもあって目を惹きました。ヘアースタイルに関しては、無声映画の女優のようだと評されていましたが、確かにそんな感じでしたね。
全体的にはいつも通りのマイペースな感じのコレクションだったと思いました。
Kris Van Asscheによる09-10AWメンズコレクションは、ラテンの雰囲気がかなり薄くなっているのが印象的でしたね。スポーティな雰囲気は少し残っているなと感じましたが。あと、ブーツの足首の部分が裏返っているのが特徴的だと思いました。 iht.comでは"romantic modernity"と評していましたが、確かにそのような感じでしたね。個人的にはこういう方向性のKris Van Asscheも良いのでは?と思ったコレクションでした。
Rick Owensによる初のメンズ・ランウェイショーとなった09-10AWコレクションは、"Defiant vulnerability"をテーマにニューヨークのパフォーマンス・アーティストであるKlaus Nomiの影響を受けて表現されたようです。
こういう系統のブランドは、退廃的な世界観とレザーを使った表現の仕方が特徴的ですよね。あとは、直線的なカッティングとレイヤードによって服の「面」を上手く表現し、中性的な雰囲気を出していると思いました。
Jean Paul Gaultierの09-10AWメンズコレクションはパンクからボンテージを引用し、性も人種も年齢も多様性に溢れたアフロ・コレクションでした。ボンテージ・ストラップが多用されていたのが印象的でしたね。スカートを使ったルックもありましたが、メンズブランドでも最近はよく提案されているような気がします。
ランウェイショーでは泣いている子供も見られたのですが、tFSで子供が落とした帽子を拾ってそのままショーを続ける動画が紹介されていて、そのさり気無さが素晴らしいと思ってしまいました。ハプニングにもウィットに富んだ対応ができるのが良いですよね。
最後に、故Yves saint Laurentのオークションに関する話題について。
少し前にHedi SlimaneがオフィシャルサイトでYves saint Laurent邸を撮影した写真を公開していましたが、2月23日にYves saint LaurentのパートナーであったPierre Bergeによって彼の邸宅に飾られていた作品がオークションにかけられるとのことです。WarholやMunch、Goyaなどの作品を含むので注目されているようですね。
Marc Jacobsと共にメンズのヘッドを務めるPaul HelbersによるLouis Vuittonの09-10AWコレクションは、"the traveling wardrobe of an African King"をテーマに行われました。
全体的にかなりプレーンな印象ですね。気になったのは、iht.comなどでもピックアップされていた六角形のモノグラムバッグとKanye Westとのコラボによる赤スニーカーでしょうか。コラボものはMarc Jacobsによるものかな?と何となく思ってしまうのですが、本当に話題に事欠かない人ですよね。
"The McQueensberry Rules"と題されたAlexander McQueenの09-10AWメンズコレクションは、ボクシングからのインスピレーション(ジョークやアイロニーと表現した方がいいでしょうか)をベースにしたものでした。 tFSではA Clockwork OrangeやJack the Ripper, Jekyll and Hydeといったキーワードが出ていましたが、確かにそんな雰囲気もありましたね。ハットとステッキ、そして、コートがブリティッシュ・テイストを演出していたと思います。あとは、Jean Paul Gaultierっぽいテイストも含みつつ(というかむしろJohnny Deppですが。。)、絶妙のバランス感覚で夢と現実を行きつ戻りつ・・といった感じでした。
The Village Voiceの名物?ファッションライターであったLynn Yaegerがレイオフされたというニュースが少し前に流れていたのですが(ちなみにジャズコラムニストとして著名なNat Hentoffも同時にレイオフされたとのこと)、今度のファッションウィーク期間中にNew York magazineでBlogを始めるとobserver.comで報道されていました。
ファッション業界人はキャラが立っている方が多いのですが、この方も凄いな・・と。
ちなみにVillage Voiceでの過去のコラム記事はこちらで読むことができるので、チェックしてみるといいかもしません。
また、Louis Vuittonとコラボしたことに関しては、特に深い意味は無くビジネスであると。そしてそれも、新しい何かのためには必要であると。
ファッションの役割に関する質問では、「So fashion plays an important role on both the practical level and the aesthetic level.」とあったのが興味深いですね。
Diane, A Shaded View on Fashionで知ったのですが、NewsweekのThe Vulgar Gameという記事。
フランスのジュエリーブランドであるMauboussinの最高責任者であるAlain Nemarqの発言などを引用しつつ、現在の経済危機におけるファッションハウスの偽りの謙虚さについての記事なのですが、鋭いというか厳しいというかそういった内容ですね。消費者側の(根源的な)欲望についても書かれており、需要と供給の共犯関係がそこには存在しているなと思いました。
最後にCoco Chanelの、
I love luxury. And luxury lies not in richness and ornateness but in the absence of vulgarity. Vulgarity is the ugliest word in our language. I stay in the game to fight it.
スレッドの書き込みの抜粋が続きますが、デザイナーがある女性像を描いたときに結果的に捨象された、描かれなかった女性像の存在についてデザイナーは基本的にそれについて無自覚であるといった意見もありました。これはファッションだけに限らないと思いますが、ものをつくり出す行為の功罪というか、作品を発表する場合にどこまでその影響を考慮するかといった話ですね。
また、しばしば出てくる意見としては「美しさとは嗜好の問題でしょ?」といった指摘。tasteの問題に還元してしまうとそこから先に進めなくなってしまうかなと思うのですが、「青い目とブロンドの髪が美しいだけではなく、美しさには多様性がある」という意見には同意できました。
そしてスレッドの中盤から後半は、Naomi Campbellらの活動やVogue Italia 2008年7月号のBlack Issueなどについて言及されていきます。
現在進行形のスレッドなので、とりあえずこんな感じでしょうか。いろいろ自分の理解が間違っていそうですが・・。現時点で1400近い書き込みがありますが、気になる方は時間のある時にスレッドを読んでみるといいかもしれません。Yves saint Laurentが黒人モデルを起用した話など、他にも多様な意見が書かれていますので。
Karl LagerfeldがBBCのRadio 4というラジオ番組でインタビューに答えたようです。
その内容が各所で議論を呼んでいるのですが、一つはサイズ・ゼロ・モデルという(モデルの)痩せ過ぎ問題について、もう一つは毛皮に関する問題についてですね(不況に関する話など、他にもいくつか発言をしているようですが)。これらの問題については、海外のメディアを見ているとどちらもよく取り上げられている問題かなと思います。
自分はこれらについて深い知識が無いので詳しい話をすることはできないのですが、個人的な感想ということで(どちらも政治的/経済的な話を多分に含んでいてとても難しい問題ですね)。
New York Timesに載っていたAnna WintourのVogueに関する記事。長い記事なのですが、簡単且つ乱暴にVogueが不調になった理由をまとめると、「デジタルメディアに対応できていないこと」「毎回同じような内容(誌面のモデルや有名人も)でとても退屈だから」ということになりますでしょうか。これに関してはnymag.comでも記事が出ていたのですが、エンヤの曲を聴くようで退屈・・と書かれていますね。優秀なエディタや作家・カメラマンを起用し、読者が何を求めているかを意識していたにも関わらず・・といったところ。
また、Grace Mirabellaの発言として、Vogueはファッション産業と共に人々が資金難に陥った場合の対処方法を見つけなければならないとも書かれていますね。
気がつけば年が明けていたのですが、2009年最初の記事はtelegraph.co.ukのJulie Verhoevenのインタビューから。
今月ロンドンで「Fannying Around」という彼女のエキシビジョンが行われるとのこと。インタビューの内容は、Eye openerから始まって、Work, Childhood ambition, Listening habits...と各項目に答える形で書かれているので、リンク先の記事をチェックしてみると良いと思います。個人的に目に留まったのは、Workの項目の「I'm trying to move away from fairy tales in my work now and I'm becoming more painterly.」といった部分ですね。