This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Chanel Haute Couture 09SS Collection

Karl LagerfeldによるChanel Haute Couture 09SS Collection。
今回の会場はGrand Palaisではありませんでしたが、白と黒のカラーパレットで純粋な美しさを追求したような素晴らしいコレクションでしたね。コレクションについてKarl Lagerfeldは、"I wanted something fresh, starting again, a new modesty - and white paper is the height of luxury."と答えたようです。ショーで一際輝いていたペーパーフラワーの髪飾りは、wwd.comによると加茂克也によるものだったとのこと。
全体的に結婚式やウエディングケーキのような雰囲気のあるコレクションだったと思いました。

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Gareth Pugh 09-10AW Men's Collection

Gareth Pughによる初のメンズコレクション。
雰囲気はGareth Pughらしくダークでハードな感じでしたが、(レディスのコレクションもそうでしたが)ビジネスを考慮してか実際に着られるような方向性での表現でしたね。それでも今回のメンズ・ファッションウィークの中ではかなり勢いがあるなと感じましたが。あと、どこかDior hommeっぽいと感じた部分もありました。
LVMHのBernard Arnaultの娘であるDelphine Arnaultがランウェイショーの席にいたことから(telegraph)、LVMHがGareth Pughに興味を示しているという噂がありますね。LVMHは才能あるデザイナーをいくつかサポートしているようですが、Gareth Pughもそれを受けているようです。
個人的には今後の彼の表現がどう変化していくのか注目といった感じですね。

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Dior homme 09-10AW Men's Collection

"ANGLES"をテーマにしたKris Van AsscheによるDior homme 09-10AWコレクション。
音楽担当はMalcolm McLarenでカラーパレットはモノクロでしたね。コートやジャケット、パンツの合わせの部分とシャツの襟などがアシンメトリーになっており、また、パターンに関しては幾何学的なものがいくつか含まれていて、今回のテーマとリンクしていました。

細身のパンツの足元にはジッパーが付いていて、モデルが大きなイヤリングをしていたのは80年代のNew Waveとパンクをモチーフにしたもの。今回もボリュームのあるワイドパンツはランウェイで見ることができました。特徴的なタートルネックやモデルがフードを被っているLOOKからはストリート感が出ていましたね。細いラペルのジャケットに関しては09SSから用いられているものでしたが、今回はどれも2Bジャケットになっていたのが特徴的だったと思います。
全体を見れば装飾性を排除したミニマルなコレクションという感じでしたが、個人的には更にもう一枚違うレイヤーを重ねて表現されていても良かったかなと思ってしまいました。そうするとミニマルでは無くなってしまいそうではありますけれど・・。

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Ann Demeulemeester 09-10AW Men's Collection

Ann Demeulemeesterのコレクションは毎回世界観が全くブレ無いですね。
tFSではバイロニック・ヒーローと形容されていましたが、正にその通りだと思いました。
繰り返し描かれるその世界観が、反復によって研ぎ澄まされていくのが素晴らしいですね。

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Raf Simons 09-10AW Men's Collection

Raf Simonsによる09-10AWメンズコレクションはクラシカルなスーツがメインでしたが、ネオプレン素材を使用するなど実験的な要素が強かったですね。
Raf Simonsは以前から若いモデルに(不釣合いな)古典的なスーツを着せていたりすると思うのですが、それは「思春期の終わり」みたいなものを表現しているように個人的には感じます。そしてそれには二つの見え方があって、一つは若者の社会への反抗心がクラシカルなスーツ(これは現実・社会の暗示)に取り込まれてしまったという見え方。もう一つは若者が自らクラシカルなスーツに手を伸ばして、社会や現実への反抗心を持ち続けたままそれに袖を通す(現実の社会に入っていく)という見え方があるかなと思います。今回のコレクションをこの二つの見え方で言えば、前者の要素が強かったように思いますね(経済不況の影響?と勝手にリンクさせて解釈してしまいそうになりますが)。
若いモデルと古典的なスーツ、それにスニーカーとネオプレン素材、袖の切り替えしといった背反的要素がRaf Simonsらしいと言えばらしいコレクションだったと思いました。

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Comme des Garcons Homme Plus 09-10AW Men's Collection

川久保玲によるComme des Garcons Homme Plus 09-10AWコレクションは、"Fashion illusion"をテーマにして行われました。
服はトロンプルイユな表現が多く(以前から使われていますが)、Stephen Jonesによるハット、白黒ツートンのMary Janesな靴はかなり女性的な雰囲気でしたね。また、エプロンのようなLOOKもあって目を惹きました。ヘアースタイルに関しては、無声映画の女優のようだと評されていましたが、確かにそんな感じでしたね。
全体的にはいつも通りのマイペースな感じのコレクションだったと思いました。

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Kris Van Assche 09-10AW Men's Collection

Kris Van Asscheによる09-10AWメンズコレクションは、ラテンの雰囲気がかなり薄くなっているのが印象的でしたね。スポーティな雰囲気は少し残っているなと感じましたが。あと、ブーツの足首の部分が裏返っているのが特徴的だと思いました。
iht.comでは"romantic modernity"と評していましたが、確かにそのような感じでしたね。個人的にはこういう方向性のKris Van Asscheも良いのでは?と思ったコレクションでした。

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Rick Owens 09-10AW Men's Collection

Rick Owensによる初のメンズ・ランウェイショーとなった09-10AWコレクションは、"Defiant vulnerability"をテーマにニューヨークのパフォーマンス・アーティストであるKlaus Nomiの影響を受けて表現されたようです。
こういう系統のブランドは、退廃的な世界観とレザーを使った表現の仕方が特徴的ですよね。あとは、直線的なカッティングとレイヤードによって服の「面」を上手く表現し、中性的な雰囲気を出していると思いました。

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Yohji Yamamoto 09-10AW Men's Collection

Yohji Yamamotoの09-10AWメンズコレクションは、典型的なヨウジヤマモトといった感じ。
個人的にパジャマにコートを合わせたようなスタイルが面白いと思いました。
そういえば、パジャマ・スタイルはDolce & Gabbanaも提案していましたよね。

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Jean Paul Gaultier 09-10AW Men's Collection

Jean Paul Gaultierの09-10AWメンズコレクションはパンクからボンテージを引用し、性も人種も年齢も多様性に溢れたアフロ・コレクションでした。ボンテージ・ストラップが多用されていたのが印象的でしたね。スカートを使ったルックもありましたが、メンズブランドでも最近はよく提案されているような気がします。
ランウェイショーでは泣いている子供も見られたのですが、tFSで子供が落とした帽子を拾ってそのままショーを続ける動画が紹介されていて、そのさり気無さが素晴らしいと思ってしまいました。ハプニングにもウィットに富んだ対応ができるのが良いですよね。

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Number (N)ine 09-10AW Men's Collection

宮下貴裕によるNumber (N)ine 09-10AWメンズコレクションのテーマは、"A closed feeling"。
以前にも書いたことですが、毎回テイストを変えられるのはとても器用だなと思います(日本人的)。tFSでは、UndercoverのGuruguru Collectionに似ているといった話や、毎回表現するテイストは変化するけれど根底にはアメリカっぽさがある、といった意見が出ていました。古着やアメカジ・テイストがクリエイションのベースにあって、その上に毎回のテーマ(音楽などからの引用)が乗っている感じですよね。

また、バッグではなく、本を持っていたのが良かったとmen.style.comのレビューに書かれていたのですが、ガジェットを上手く使って雰囲気(世界観)を演出(コントロール)するのも大切かなと思いました。それによって服の置かれる文脈が変化するので、服の持つ意味合いも同時に変化しますよね。当たり前といえば当たり前の話なのですが(言ってしまえば、TPOのことなので)、ショーを見ながらぼんやりと考え、そしてそれをこうやって言語化し、再認識できたことは自分にとってとても面白いショーだったなと思いました。

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Yves saint Laurent 09-10AW Men's Collection

Stefano PilatiによるYves saint Laurentの09-10AWメンズコレクション。
オフィシャルサイトでは、Michael Pittを主演にInez van Lamsweerde & Vinoodh Matadinによって撮影されたフィルム・インスタレーションが公開されていますね(服が映っておらず、女性がポエティックにナレーションで服を表現しています)。
ランウェイショーで気になったのは、ショート丈のワイドパンツにジャケットなどを合わせているLOOKですね。どこか袴っぽくも見えたりして、面白いなと感じました。

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最後に、故Yves saint Laurentのオークションに関する話題について。
少し前にHedi SlimaneがオフィシャルサイトでYves saint Laurent邸を撮影した写真を公開していましたが、2月23日にYves saint LaurentのパートナーであったPierre Bergeによって彼の邸宅に飾られていた作品がオークションにかけられるとのことです。WarholやMunch、Goyaなどの作品を含むので注目されているようですね。

via YSL AUCTION Hedi Slimane Visions

Louis Vuitton 09-10AW Men's Collection

Marc Jacobsと共にメンズのヘッドを務めるPaul HelbersによるLouis Vuittonの09-10AWコレクションは、"the traveling wardrobe of an African King"をテーマに行われました。
全体的にかなりプレーンな印象ですね。気になったのは、iht.comなどでもピックアップされていた六角形のモノグラムバッグとKanye Westとのコラボによる赤スニーカーでしょうか。コラボものはMarc Jacobsによるものかな?と何となく思ってしまうのですが、本当に話題に事欠かない人ですよね。

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galliano Flagship shop in TOKYO

表参道ヒルズが開業3周年を向かえ、これを機にショップリニューアルを行うと報じられていたのですが、John Gallianoのレディス・セカンドラインである「galliano」の旗艦店が入るのですね。これにはちょっと驚きました。ショップのデザインがどうなるのか気になるところですね。

Dior homme 09-10AW 2009-01-25

Dior hommeのオフィシャルサイトに、今回のコレクションのインヴィテーションと思われるFlashがアップされていました。
音楽に関してはMALCOLM MCLARENで決定のようですね。
どういった雰囲気になるのか楽しみです。

Street photographer has fashion world's attention

The SartorialistScott Schumanに関する記事がReutersにアップされていました。
そういえば彼の本が今年の9月に出版されるのですよね。写真を撮影するために1日4時間使うという話や日本に行ってみたいという話、Cary Grantがスタイルアイコンであるということも書かれていて、これにはとても納得してしまいました。
日本に行ってみたいという話が撮影のためであるのなら、個人的には渋谷・原宿、銀座、新宿と場所を変えて幅広い年齢層を撮影してみて欲しいですね。年齢層に関する話は記事中にもありましたが、そういった多様性とストリートのリアルさがThe Sartorialistの面白さでもあると思いますので。

Alexander McQueen 09-10AW Men's Collection

"The McQueensberry Rules"と題されたAlexander McQueenの09-10AWメンズコレクションは、ボクシングからのインスピレーション(ジョークやアイロニーと表現した方がいいでしょうか)をベースにしたものでした。
tFSではA Clockwork OrangeやJack the Ripper, Jekyll and Hydeといったキーワードが出ていましたが、確かにそんな雰囲気もありましたね。ハットとステッキ、そして、コートがブリティッシュ・テイストを演出していたと思います。あとは、Jean Paul Gaultierっぽいテイストも含みつつ(というかむしろJohnny Deppですが。。)、絶妙のバランス感覚で夢と現実を行きつ戻りつ・・といった感じでした。

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Gucci 09-10AW Men's Collection

80年代のNew Waveにインスピレーションを受けたFrida Gianniniによるrock'n'roll Collection。
ドットやストライプパターン、レギンスのように細いパンツやツートンカラーのローファーといったアイテムでその世界観を上手く構築していましたね。彼女のクリエイションを見ていて思うのは、退廃的な世界観や陰鬱さといった影のある人物像をリアルに描かないということでしょうか。そういったものよりも上品さやブランドとしての高級感が前に出ているような感じをよく受けます(あらゆるものには良い部分と悪い部分がありますよね)。
その明るさや元気の良さといったものが今回も感じられ、Gucci(というか、ジャンニーニ)っぽいなと思ったコレクションでした。

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Armani in 'copycat row' with rival fashion designers Dolce & Gabbana

independenttelegraphなどいくつかのメディアで報じられていますが、ArmaniがDolce & Gabbanaに対して「彼らは私のデザインをコピーしている」とメディアに答えたようですね。Dolce & Gabbanaが今回発表したキルト風のシルクパンツがトリガーになったようですが、これに対してDolce & Gabbanaはそれを否定するコメントを出しています。
よくある話と言えばよくある話といった感じでしょうか。Armaniも1993年にTシャツのロゴの問題で、Antoni & Alison(ロンドンのデザイナー)に賠償金をいくらか払っているようですね(これに関して少し調べてみたのですが、ネット上で他のソースを見つけることはできませんでした)。ちなみにアルマーニのオフィスによれば、今回の件では特に訴訟などは行っていないとのことです。

Prada 09-10AW Men's Collection

Pradaの09-10AWメンズコレクションは、現在の経済不況を具現化したような不吉な予感を感じさせる世界観でしたね。ロングコートとレザー、そして、靴やシャツに打たれたスタッヅが不安や拒絶といった感情を表現しているように感じました。

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Burberry Prorsum 09-10AW Men's Collection

Christopher BaileyがBurberry Prorsumのデザイナーに就任した際、その伝統的な英国のブランドをチェック柄とトレンチコートを超えて昇華させるということが彼のミッションでした。そしてそれがある程度達成された現在、「我々は誰であるのか。」という原点回帰のコレクションが今回のテーマとなったようです(原点回帰は、Dolce & Gabbanaと同じですね)。
英国のフォトグラファーであるBill Brandの作品から受ける"modern nostalgia"をインスピレーションに、今年で創立153年を迎える同ブランドのルーツを探る旅は、ランウェイショーで使われなくなっていたバーバリーチェックパターンによって表現されました。

tFSを読んでいるとチェック柄は結構不評のようですが、コレクション全体を見るとそこまで多用されている訳ではないので個人的には良いのではないかなと。ダークトーンの中にノバチェックが明るく咲いている感じでしょうか。
確かにわざわざProrsumでやる必要が無いといった意見や、Burberryのイメージを変革し続けてきたChristopher Baileyが伝統的な(古臭いという意も含む)バーバリーチェックパターンを今更使うのはどうなの?という考え方もありますが、彼のクリエイションの文脈の中で再配置された今回のチェックパターンはそれは一見過去と同じに見えますが、違う意味を持つことができるのではないかと少し思いました。もちろんそれには、今後もチェック柄をコレクションのどこかで毎回使い続ける必要があるのですけれど(でなければ、今回限りの古き良き時代への郷愁で終わってしまう可能性が高いでしょうか)。

WWDでChristopher Baileyのつくる服を"disheveled elegance"と評していましたが、個人的に彼のつくる服に名前をつけるとすれば「優しい服」かなと思います。春夏と比較すると優しさの温度は幾分低いように感じられましたが、その穏やかな表現は今回も健在といった感じでしたね。

via Burberry men.style.com Reuters UK Los Angeles Times

Jil Sander 09-10AW Men's Collection

女性的なウエストシェイプと肩から腕にかけての特徴的なシルエット(どこかBalenciagaっぽいですね)、そして、Raf Simonsのファブリック研究が魅せるグラデーション・エフェクト。Raf Simonsが"I wanted to present something powerful."と表現したように、強いシルエットとその滑らかな表面はとても彫刻的であり、彼の服へのアプローチは今回も一貫性を感じさせるものでした。また、WWDでも書かれていましたが、インナーのほとんどがタートルネックなどのニットでシャツがほとんど使われていなかったのが興味深かったですね。
Jil Sanderというブランドの純粋性の中で、一歩一歩着実に前に進んでいる雰囲気が個人的にはとても良かったと感じられたコレクションでした。

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Dolce & Gabbana 09-10AW Men's Collection

メンズのファッションウィークが始まりましたね。
経済不況がデザイナーのクリエイションにどう影響するのかが個人的に気になるところ。一時的にビジネスを意識したある種の停滞を見せたとしても、Karl Lagerfeldが今回の経済危機を「spring house-cleaning」と表現したようにクリエイションの過剰さを取り除き、その先にあるCreative Evolutionを起こすための布石となれば良いのではないか、という期待と共に見ていこうかなと思います。

まずはミラノ・コレクションからということで、Dolce & Gabbanaについて。
コスメティックラインのAD CampaignにScarlett Johanssonを起用したDolce & Gabbanaですが、ランウェイショーの前にStefano Gabbanaが、「(経済的に、心理的に)不安定な時には家族主義的な価値観や伝統といった、人生において重要なものを人は要求する。」と答えたように、今回のコレクションは自分たちのルーツを探るものだったようですね。The KillersのHumanをBGMに行われた、シチリアの雰囲気を含んだ光沢のあるモノトーンなコレクションは、所々に教会の色をイメージにしたピンクのジャケットを点在させていました。
tFSでは「古典的で典型的なDolce & Gabbanaのコレクションであり、退屈だ。」という意見がありましたが、確かに自分も映像を見ながらそう感じてしまったのは事実かなと思います。でも、彼らの表現のアイデンティティという面で言えば(レディスのコレクションでも少し前に書きましたが)、ベターな選択だったのではないかと思いました。

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Lynn Yaeger

The Village Voiceの名物?ファッションライターであったLynn Yaegerがレイオフされたというニュースが少し前に流れていたのですが(ちなみにジャズコラムニストとして著名なNat Hentoffも同時にレイオフされたとのこと)、今度のファッションウィーク期間中にNew York magazineでBlogを始めるとobserver.comで報道されていました。
ファッション業界人はキャラが立っている方が多いのですが、この方も凄いな・・と。
ちなみにVillage Voiceでの過去のコラム記事はこちらで読むことができるので、チェックしてみるといいかもしません。

Rei Kawakubo / Interview Magazine

Interview Magazineに川久保玲のインタビューが掲載されていました。
インタビューアーは、Ronnie Cooke Newhouse(ADを担当したクリエイティブディレクター)。
COMME des GARCONSは今年で創立40周年を迎えるのですね。

インタビューの内容について気になった部分を簡単に。
ジャーナリストに知的だと評されることに関しては、「いかなる知的なアプローチも意識してはいません。私のアプローチはシンプルです。私が各々の服をつくるとき、それは私が考えていること以外の何ものでもありません。そして、その結果は他の人々が決めることです。」とのこと。
自由についての質問では、「クリエイションの観点からシステムやルールといったものを受け入れることを考えたことはなかったが、会社が大きくなるにつれてスタッフや工場に対して責任を持たなければならなくなったので、その必要性は増加した。」と。

一年に数回開催されるコレクションは創造的なプロセスを助けるか否か?という問いについては、「ファッションビジネスにおいて期限があることは普通のことなので、それについてどうこう言うことは無い。」とのこと。
新しいことは重要ですか?という問いについては、「新しくなければ進歩が無い。"Creation equals new."」と。
常に黒に回帰するのはなぜですか?という問いについては、「私は黒が常に好きでした。でも、最近の黒はデニムと同じぐらい当たり前になってしまったので、tomorrow's blackを見つけたかった。」と。tomorrow's blackは、先日のコレクションのテーマですね。

また、Louis Vuittonとコラボしたことに関しては、特に深い意味は無くビジネスであると。そしてそれも、新しい何かのためには必要であると。
ファッションの役割に関する質問では、「So fashion plays an important role on both the practical level and the aesthetic level.」とあったのが興味深いですね。

あなたは自身をファッションデザイナーであると言うが、しかし、多くの人々はあなたをアーティストと呼びます。それはなぜだと思いますか?という問いに対しては、「私が存在しなかった服をつくろうと努力するからであると思います。」と。
渡辺淳弥と栗原たおについても触れられているのですが、ショーの直前のリハーサルで彼らのコレクションを見るということはそれまでは全く関知しないということなのでしょうか。少し気になりますね。

ファッションと芸術の違いに関しては、「それらを比較する必要性はありません。ファッションは芸術では無い。」とのこと。

現在の経済不況があなたのコレクションに影響を与えますか?という質問に関しては、「COMME des GARCONSは、マイペースなので景気が良くても悪くてもだいたい同じである」と。
最後に、本物の毛皮を使わないですね?という問いには、「I love all animals.」とのことでした。

気がついたら結構長くなってしまったのですが、これでも端折っているのでリンク先のページをチェックされることをオススメします。

Seven Photographs that Changed Fashion

independent.co.ukで紹介されていたのですが、RankinがBBC Fourのファッション・フォトグラフィーの歴史に関する番組で、彼のお気に入りの7つの写真を再現するということを行ったようです。現地での放送は1月14日。

再現した写真のフォトグラファーは、

Cecil Beaton
Erwin Blumenfeld
Richard Avedon
Helmut Newton
Herb Ritts
David Bailey
Guy Bourdin

とのこと。

これはちょっと見てみたい番組だなと思いました。

The Vulgar Game

Diane, A Shaded View on Fashionで知ったのですが、NewsweekのThe Vulgar Gameという記事。
フランスのジュエリーブランドであるMauboussinの最高責任者であるAlain Nemarqの発言などを引用しつつ、現在の経済危機におけるファッションハウスの偽りの謙虚さについての記事なのですが、鋭いというか厳しいというかそういった内容ですね。消費者側の(根源的な)欲望についても書かれており、需要と供給の共犯関係がそこには存在しているなと思いました。

最後にCoco Chanelの、

I love luxury. And luxury lies not in richness and ornateness but in the absence of vulgarity. Vulgarity is the ugliest word in our language. I stay in the game to fight it.

という発言が引用されていて少し調べてみたのですが、日本語のソースが全く見当たりませんでした・・。
しょうがないので、英語版のWikiquoteにリンクを張っておくことにします(Coco Chanelの発言集を読むことができます)。

Vivienne Westwood

年末年始にMODERN MENSWEARをパラパラ読んでいて面白いなと感じたのが、Vivienne Westwoodのモノづくりに関する考え方の部分。折角なのでここに引用しておくことにします。インスピレーションに関する部分では、ニュートンの「巨人の肩の上に立つ」という言葉を自分は思い出しました。

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ウエストウッドによると、コレクションの成功の鍵はデザインプロセスにあるという。まずは技術的な知識が先に立つというのが、彼女の信念だ。「技術が伴わなければ、自己表現はできない。誰か、指導してくれる人がいるほうがいいわね。知識の幅が広がるから。でも、講義が終われば、最後はそれを自分でやってみなきゃいけないの。自分でやる方法を見つけるのよ」次のステップとして、インスピレーションも重要だ。「アイデアを思いつくためには、ほかの人が過去に作ったものを見るしかない」とウエストウッドは言う。「そこから自分のオリジナルを作り出すの。ただ何かをやろうとしても、オリジナルのことはできない。何もないところからは、何も生まれないのだから」

Racial Diversity In Modeling.

一つ前のエントリーと同じく少々シリアスな話題を。
Racial Diversity In ModelingというスレッドをtFSで偶然見つけてざっと目を通しました。内容は、モデルの(人種的な)多様性について書かれているもの。とりあえずここでは、スレッドの気になった部分を抜粋して書いてみます。

2005年に立てられたこのスレッドは、PRADAのランウェイショーにおいて黒人モデルが(6年間)いないことから議論が始まります。それは偶然でしょ?といった意見や、これは政治的な問題ではなくビジネスの問題といった意見、これは老いた女性や背の低い女性を起用しないことと異なった問題ですか?といった意見など、いろいろ書かれていきます。ランウェイショーのモデルのキャスティングに関しては、デザイナー(PRADAは、Miuccia Pradaですね。)本人が行うよりもキャスティングディレクター(外注のAgencyに発注することが多いようです)がいるので、その問題ではないか?という話も出てくるのですが、最終的な意思決定と責任はデザイナーにあるのでは?といった意見が出ます。

また、VOGUEの表紙や特集で黒人モデル(アジア人モデルも)がフューチャーされることが少ないという話が出るのですが、もし仮に(アファーマティヴに)フューチャーされたとしてもそれにどれだけの意味があるのか?論争と議論を呼ぶだけなのではないか?といった意見、ファッション産業の顧客としてアフリカ人が増えてくればアフリカ人モデルもよく起用されるようになるのではないか(アジア人モデルが起用されるようになってきたのは、マーケットが拡大してきたから)といった意見、なども書かれていきます。ちなみにこの場合のVOGUEはUSのことを指しています。人種の"るつぼ"なのに・・といった話です。

個人的にこの雑誌の議論の部分でとても感心してしまったのが、「United Nations VogueやWorldwide Vogueといったものが存在しないよね?」といった意見。確かに・・と思ったのですが、もしそういった雑誌があった場合は誰が表紙や特集に出るのかといった問題がありそうです(個人的にはとても読んでみたい雑誌だなと思いました)。ちなみにこの雑誌の議論では、日本の雑誌は白人を起用することが多いけれど、人気があるモデルはエビちゃんです、といった書き込みもありました(少し前の話ですね)。

スレッドの書き込みの抜粋が続きますが、デザイナーがある女性像を描いたときに結果的に捨象された、描かれなかった女性像の存在についてデザイナーは基本的にそれについて無自覚であるといった意見もありました。これはファッションだけに限らないと思いますが、ものをつくり出す行為の功罪というか、作品を発表する場合にどこまでその影響を考慮するかといった話ですね。
また、しばしば出てくる意見としては「美しさとは嗜好の問題でしょ?」といった指摘。tasteの問題に還元してしまうとそこから先に進めなくなってしまうかなと思うのですが、「青い目とブロンドの髪が美しいだけではなく、美しさには多様性がある」という意見には同意できました。
そしてスレッドの中盤から後半は、Naomi Campbellらの活動やVogue Italia 2008年7月号のBlack Issueなどについて言及されていきます。

現在進行形のスレッドなので、とりあえずこんな感じでしょうか。いろいろ自分の理解が間違っていそうですが・・。現時点で1400近い書き込みがありますが、気になる方は時間のある時にスレッドを読んでみるといいかもしれません。Yves saint Laurentが黒人モデルを起用した話など、他にも多様な意見が書かれていますので。

最後に全部ではありませんが、ニュースサイトの過去の報道記事へのリンクをいくつか。

Black. Beautiful. Barely seen - guardian.co.uk
Ignoring Diversity, Runways Fade to White - nytimes.com
Supermodels launch anti-racism protest - guardian.co.uk
Skin game on runways - thestar.com
Fashion models breaking barriers - cnn.com

Cutting words from the master.

Karl LagerfeldがBBCのRadio 4というラジオ番組でインタビューに答えたようです。
その内容が各所で議論を呼んでいるのですが、一つはサイズ・ゼロ・モデルという(モデルの)痩せ過ぎ問題について、もう一つは毛皮に関する問題についてですね(不況に関する話など、他にもいくつか発言をしているようですが)。これらの問題については、海外のメディアを見ているとどちらもよく取り上げられている問題かなと思います。
自分はこれらについて深い知識が無いので詳しい話をすることはできないのですが、個人的な感想ということで(どちらも政治的/経済的な話を多分に含んでいてとても難しい問題ですね)。

サイズ・ゼロ・モデルについてですが、フランスでは肥満の若者が30%程度いるということでそちらの方が問題なのではないか?・・といったKarl Lagerfeldの発言ですが、これは論点が違うかなと。。

毛皮の問題(これについてはPETAなど、いろいろありますね。)については、

"In a meat-eating world, wearing leather for shoes and even clothes and handbags, the discussion of fur is childish."

とのこと(他にもいくつか発言がありますが。)。
これに対して「レザー製品は食用からの副産物としてつくり出されているが、毛皮はそうではない」といった意見があるのを読みましたが、全部が全部そうなの?と個人的には疑問に思いました。動物が食用に消費されるのか、美的な理由により消費されるのか、といった(人間側の勝手な)道徳的倫理的問題という議論の軸に関しては、人間は動物を食べなくても生きていけるという話もあり、でも、世界においては農業をまともに行うことができない特定の地域も存在するので、動物を食べることは生きるための現実的な手段の場合もある・・といったことが書かれていました。
こうやって書いていくと終わりがないのであれですが、Karl Lagerfeld自身は毛皮は着ないとのことですね。また、中国の毛皮用動物の飼育場が問題として挙げられていました。

今回のKarl Lagerfeldへのインタビューに関して、Radio 4という番組の立ち位置やインタビュアーの狙い、質問項目の意図が気になるところですが、個人的にはいろいろなネット上の書き込みを読めて勉強になったなと思いました。

via telegraph.co.uk nymag.com fashionista.com

Bjork helps boost Icelandic economy.

少し前にBjorkがアイスランドの経済危機に対してファンドを設立したようで(日本国内のメディアでも既に報じられていますね。自分は知らなかったのですが・・。)、それについてvogue.co.ukに記事が出ていました。
Audur Capitalのサイトはこちら。アイスランド国内でどういう受け止められ方をしているのか何となく気になって調べてみましたが、イマイチわかりませんでした(ただ、アイスランドの経済状況がかなり危険な状態ということはわかりましたが。)。

What's Wrong With Vogue?

New York Timesに載っていたAnna WintourのVogueに関する記事。長い記事なのですが、簡単且つ乱暴にVogueが不調になった理由をまとめると、「デジタルメディアに対応できていないこと」「毎回同じような内容(誌面のモデルや有名人も)でとても退屈だから」ということになりますでしょうか。これに関してはnymag.comでも記事が出ていたのですが、エンヤの曲を聴くようで退屈・・と書かれていますね。優秀なエディタや作家・カメラマンを起用し、読者が何を求めているかを意識していたにも関わらず・・といったところ。
また、Grace Mirabellaの発言として、Vogueはファッション産業と共に人々が資金難に陥った場合の対処方法を見つけなければならないとも書かれていますね。

Fannying Around / Julie Verhoeven

気がつけば年が明けていたのですが、2009年最初の記事はtelegraph.co.ukのJulie Verhoevenのインタビューから。
今月ロンドンで「Fannying Around」という彼女のエキシビジョンが行われるとのこと。インタビューの内容は、Eye openerから始まって、Work, Childhood ambition, Listening habits...と各項目に答える形で書かれているので、リンク先の記事をチェックしてみると良いと思います。個人的に目に留まったのは、Workの項目の「I'm trying to move away from fairy tales in my work now and I'm becoming more painterly.」といった部分ですね。

それで何となくJulie Verhoevenについて検索してみたらRCAのChristmas CardをデザインしたというNEWSが出ていたので、こちらもご紹介(上に載せた画像がそれになります。)。中央に描かれた女性の顔は、やはり何か惹かれるものがありますね。