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Dior homme 12SS Collection

"Less and More"というタイトルが示すようにこれまでの流れを汲むコレクションを披露したKris Van AscheによるDior homme 12SS Collection。

メゾンのヘリテージとアトリエのノウハウ、そして、リアルワールドとの対話が始まりだったというコレクションは、アトリエワークで使用するトワルをイメージしたLookからスタート。いつものようにテーラリングにフォーカスしたコレクションは、クリスのシグネチャと同様にスクウェア・シルエットのジャケットにクロップド・トラウザーのセットアップを中心に展開していましたね。ノースリーブのジレジャケットやシャツジャケットはミリタリー・ユニフォームから引用したシルバーリングを使用し、襟元のボタンで留めていたのが特徴的。アイテムによってはリバーシブルボタンになっているようですね。インナーシャツやダブルのジャケットにも使われていたのが目に付きました。
あとアイテムではピーコートなども登場しつつ、テーラリングのフォーマリティの中でストリート感を与えていたレザーリストバンド、11-12AWコレクションから引き続き出演しているアーミッシュのようなハットやメダリオンで装飾されたレースアップシューズがありましたね。

アイキャッチとしてキャメルカラーのラムスキン・レザーをラペルやベルトに用いていましたが、Style.comのレビューでも指摘されているようにシャツなどはCelineの香りがあったかなと思います。Front Rowでショーを観ていたオーストラリア人女優のEmily Browningが「ほとんどCelineのメンズ・バージョンのようだったわ。」と話しているのも全体的にかなりミニマルなコレクションになっていたので理解できますね。

今回はアトリエのトワルを引用していましたが、クリスが"the art of tailoring"と呼んでいるアイデアは過去のシーズンでも目にする技術。アトリエでの制作プロセスで用いられるテクニックをそのままデザインとしてクロージングに反映させるアイデアで、それによってクチュールハウスのアトリエの技術力を賛美するという考えですね。ちなみに11-12AWコレクションでは糸が前身頃に打ちっぱなしになっているシャツやコートがありますが、あれは確か裏地か何かを制作する際のアイデアだったはずです。

11SSコレクションからスタートしたファブリックのボリュームと流動性に関する調査は、流れるような滑らかなストリームラインを描くシルエットや質感表現としてミニマリズムという領域に収斂した感がありますね。新奇性や革新性という部分は弱さがありますが、ソフィスティケートされた上品さがあることは確かかなと思います。

via style.com wwd.com nytimes.com fashionwiredaily.com dazeddigital.com showstudio.com tFS

posted by PFM