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Christian Dior 11-12AW Haute Couture Collection

2011-12年秋冬のRTWコレクションと同様にデザイナー不在のまま、今回はBill Gayttenによって提示されたChristian Dior 11-12AW Haute Couture Collection。
Bill GayttenはJohn Gallianoのアシスタントを23年間務め、先日のメンズコレクションではJohn Gallianoのシグネチャのクリエイティブ・ディレクターに指名された人物ですね。ショーの後のSidney Toledanoのコメントによれば、「Mr. Gayttenが今回のコレクションを行いましたが、彼はアーティスティック・ディレクターではありません。我々は長期的な解決策を探りたいので時間を掛けて、多くの可能性を調査しています。」とのこと。ブランド創設者のChristian Dior、Yves Saint Laurent、Marc Bohan、Gianfranco Ferre、そして、John Galliano。歴史あるメゾンの6代目のデザイナーはそう簡単には決まらないだろうことは想像が付きますね。

ロダン美術館の庭に設置されたテントで行われたランウェイショーは、80年代のEttore SottsassらによるMemphisを想起させるトゥッティフルッティなカラーパレットによって進行。ブランドのサインであるバージャケットに膝丈スカート、クレイジーペイビングやストライピング、プリーツによるパターン、ミルフィーユや薔薇の花弁のように多層化されたチュールタフタとシルクのボールガウン、Frank Gehryの建築物を連想させるメタリックな金属装飾など。Suzy MenkesやTim Blanksは木目調のマラカイトなストラップレス・ドレスなどについてはインテリアデザイナーのJean-Michel Frankの名前を出していましたね。
終盤のドレスパートにおいてはMarc Bohanの影響もあったようですが、Bill Gayttenによるとアーカイヴへの再訪よりもアトリエが新しい技術を開発することに時間を費やしたとのことです。

ショーのプロデュースはAlex de Betak、サウンドトラックはJeremy Healy、セットデザインはMichael Howells、モデルのメイクアップはPat McGrath、ヘアースタイルはOrlando Pita、そして、ヘッドピースはStephen Jonesによるもの。デザイナー以外はいつものメンバーといった感じですね。

Cathy Horynを始めとしたレビューやtFSなどのコメントでも書かれていますが、John Gallianoがいなくなったことによってここまでクオリティに影響が出るとはちょっと個人的に驚きました。敢えて変化を出そうとしたのかもしれませんが、全体的に統一感に欠けていてランダム過ぎるというのは同意ですね。配色もガリアーノであればブラックやレッドを差し色的に用い、色の強さをもっと表現できているはずです。
新しいデザイナーが決まるまでは今までの路線をある程度踏襲する方が良いのでは?と思ったりしますが、それがいつまで続くのかという問題もありますね。ガリアーノのような女性のシックさとセクシャリティを描けるデザイナーは現時点ではいないと思うので、これからどうしていくのかが気になるところ。今回のようなコレクションを見せられると少し不安になりますね・・。

via style.com vogue.co.uk nytimes.com telegraph.co.uk fashionwiredaily.com

posted by PFM