This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Phoebe Philo interview by The Independent.co.uk

一つ前のエントリーでPhoebe Philoに関する話をポストしましたが、independent.co.ukに彼女自身のインタビューがアップされていますね。ちょうど良いタイミングだったので少しだけ簡単に書いておきます。

Phoebe Philoがデザイナーに就任するまで低迷していたCeline。2004年まではMichael Kors、その後、二人のデザイナーがいたが、Celineはニューヨークのお金持ちに愛されているのみのブランドであった。1945年に設立されたCelineはブランドとしては長命だったが、DiorのニュールックやChanelのツイードスーツのようなヘリテージが不足していた。

そういったブランドの核になるようなものとして今では、ロングカフスの襟の無いホワイトシャツ、ワイドトラウザー、クレープジャンプスーツなどがあり、流れるような流動性を伴って表現されるミニマルなCeline Lookがフィロの着任後の二年と少しの間に築かれた。もちろん服のみではなく、バッグにはソフトレザーの"cabas"やゴールドの留め金が印象的な"classic"などがある。

広告宣伝やインパクトに頼らないフィロのアプローチは実質本位の気取らないシンプルさにあって、それは見識のある顧客をターゲットにするという美学にある。コレクションにおいてもバックステージにメディアを入れることはせず、また、彼女自身もインタビューが嫌いだと話す。それは、彼女が話すことよりも彼女の作品である服が雄弁に語ってくれるからであって、彼女にとってショーは完全な物語であるという。

ボーイッシュなテーラリングや甘く艶のあるチュニック、そして、パドロックがトレードマークのパディントン・バッグなどによって成功を収めていたChloeのクリエイティブ・ディレクターの職を赤ちゃんとの時間を優先するという理由で2006年に辞任。その後、2008年にCelineの同職へ。LVMHからかなりの自由を与えられている彼女は、現在、ロンドンで夫と子供たちと暮らしながら働く(Celineの拠点はパリにある)。子供たちが眠る前に彼らと楽しい一時を過ごすことは何よりも大切な価値があると彼女は話す。

LVMHからアプローチがあるまでCelineについてあまり考えたことがなかったという彼女は、前任者のデザイナーの仕事をチェックしてみたがそれらはとてもブランドとは無関係な感じがしたという。歴史的に見て彼女が知っていたCelineとは、プリーツ・スカートにシルクのブラウスやブレザーといったパリジャン・シックであり、そのコンサバティブネスな雰囲気がとても好きとのこと。コンサバでブルジョアでほんの少しだけ生意気な女性像。彼女が好奇心をそそられて前面に押し出したかった要素はそれらにあるという。

二人目の子供を妊娠していた彼女は出産後、四ヶ月してから再びLVMHとの対話を再開。まず第一に、議論は完全に新しい自身のブランドの作成について行われ、その後、議論の中でCelineの名前が登場する。パブリシティ嫌いの彼女にとってブティックのウィンドウに自身の名前があることは重要ではなく、自分よりも前に盾になってくれるものがあった方が快適さを得ることができるという考えからCelineというブランド名をフロントに据え、そこで毎日静かに仕事に取り組むことを選んだという。

頑とした拘りのある最高のファブリックとパーフェクトなカッティングによって表現される強さ、それらに多くの時間を費やし、それらを正しく行えたときに多くの満足感を感じるという彼女は、ファッションが絶対的に好きで、新しいことをすることと異なったディレクションによって通常の道から外れる方法を見つけることが好きとのこと。しかし、時代から外れないファブリックとカットを使おうとする理由の一つには、服を購入している女性についての考えが好きであることと、服との間にあるとても情緒的な感覚を大切にするからと話す。

ファッションを前進させていくということと時間を超越するサインを確立するということ、この矛盾した二つの間のバランスを見つけるということは現代のデザイナーのための唯一難しい挑戦であり、彼女が成し遂げようとしていることでもあります。

posted by PFM