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Balenciaga 12SS Collection

ランウェイショーの開始前に会場のベンチがいくつか壊れるというハプニングから、ゲストが全員スタンディングでの開催となったNicolas GhesquiereによるBalenciaga 12SS Collection。
ショーでベンチが壊れるというのは初めて聞きましたが、基本的に一発勝負なのでハプニングは付き物といったところでしょうか。結果的にStyle.comのNicole Phelpsがレビューで書いているように、ショー会場は教会の礼拝堂のような趣になったようですね。

Nicolas Ghesquiereによる今シーズンの研究対象は、オーバーサイズ・コンストラクションに関するもの。ニコラによるとボディとファブリックの間に存在する空間についての考え、それは正にCristobal Balenciagaのための概念であるとのこと。フローティングされ、流動性を帯びたファブリックは、ボディの上にアーキテクチャルな構造体を建造する。

シックなカラーパレットを用い、ネオプレンのような質感のシルクによる構築的なジャケットや目の粗いシルクによるトラックショーツ。スペインの宗教的なモチーフをあしらったヴィヴィッドなグラフィックにテーラリングとしてのデニムジーンズ。無造作に付けられたフラップポケットはLookの抽象度を上げ、ショーのラストに登場したパッチワーク・ファブリックやティンセルスカートによるドレスは大きく楕円を描くつばを持ったバイザー(1967年のBalenciagaの作品であるウエディングドレスからの引用)が存在感を放っていましたね。

Nicolas Ghesquiereらしい偶発性と変則性の余剰、アノマリーの総和として提示されるコレクション。
今回は実験結果の生データや中間生成物をそのまま提示されている感触がありましたが、彼の新しさに関する強迫観念性は毎回目を見張るものがあります。Cathy Horynが"That's why during a show you sometimes feel as if you are in a little boat moving away from a familiar shore, into a sea of weird or ugly clothes."と書いていたのが分かり易くて理解し易いレビューだなと思いましたね。

via style.com wwd.com vogue.com vogue.co.uk nytimes.com tFS

posted by PFM