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"Pretty Much Everything" Inez Van Lamsweerde and Vinoodh Matadin

Inez Van Lamsweerde and Vinoodh Matadinの20年以上に渡る仕事の中から666の作品を収めた"Pretty Much Everything"
世界1000部限定でシリアルナンバーと二人のサインが入った本書は、大判のハードカバー2冊の作品集と作品の解説に関する書籍1冊の計3冊から成る構成で、"Pretty Much Everything"という名前は2010年に彼らの故郷となるオランダのアムステルダムで行われた回顧展と同名のもの。この作品集のデザインはイネスとヴィノードの長年のコラボレーターであるM/M(Paris)が担当しており、作品集のスリップケースの外側には折り紙のようにポスターが付いているという面白い構成になっていますね。

2冊の作品集は年代順や各フォトストーリー毎にまとめられている訳ではなく、すべてのイメージは一見するとランダムに配置されているのですが、これらは(Style.comThe Cutのインタビューを読むと分かりますが)本の見開きの左右のイメージが互いに結合するように、インスピレーションとして関連性のある組み合わせになるように配置されています。本書の構想は今から9年前にイネスが妊娠している時にKarl Lagerfeldのアドバイスが切っ掛けで始まったようで、当初は年代順に作品を並べようとしていたようですが、想像していたほどイメージが生きていると感じられなかったので年代順に並べるのを止めてこの配置の仕方になったようですね。

「すべてのイメージの中には二元性や曖昧さがあります。美しいものとグロテスクなもの、スピリチュアルなものと世俗的なもの、ハイファッションとローファッションといったものに関わらず、そのような対立構造を成すものが常に。その中間的な瞬間があります。」とは作品について語るイネスの言葉ですが、二人の作品には確かにそういったフィーリングがありますね。そしてそういった作品はM/M(Paris)ととても相性が良いなと思います。ストレートにカッコいい作品も個人的には好きですけれど。

という訳で、少々値が張りますが"Pretty Much Everything"はとても良い作品集なので、気になる人は早めに入手しておくと良いかなと思います。

折角なのでもう一つイネスとヴィノードの話題を。
写真はArchitectural Digestから。息子のCharles Star Matadinも一緒に写っていますね。
彼らが住んでいるマンハッタンのアパートメントの記事があったので写真をピックアップしておきます。
こういう記事は彼らの違う側面が見れて面白いですね。「普段、彼らはこんなところに住んでいるんだ。」といった感じで。


posted by PFM