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Valentino 12-13AW Men's Collection

Pitti Uomoのスペシャルゲストとしてメンズウェア・ランウェイショーをPalazzo Corsiniで行ったMaria Grazia ChiuriとPier Paolo PiccioliによるValentino。
Chiuriによると今回のコレクションのインスピレーションソースは、Michelangelo AntonioniやFederico Felliniによる映画(「甘い生活(La dolce vita)」など)や俳優のMarcello Mastroianniといった60年代前後のイタリアン・カルチャーの精神とのこと。それらをフェザーライトなファブリック、曲線を描く硬質なシルエットのコンストラクション、裏地にホースヘアーを用いたウールジャケットなど、現代のテクノロジーを用いて表現したものでコレクションの概念の基底には"sportswear couture"があったようです。

ブラック、チャコールグレーにディープブルー、そして、印象深いモスグリーンなどのカラーパレット。ウールとラムスキン等の異素材のミックスに、カシミアやジャパニーズ・デニムといったマテリアル。ミドル丈のコートやケープ、クラッチバッグなどがLookにリズムを与え、構築的でボクシーなフィーリングのジャケットにスリムフィットパンツと素足に履かれたレザーシューズによって描かれる男性像は、Piccioliによると「未来を志向しつつも伝統や文化を愛するValentino Man」とのこと。

Chiuriが強調して言うように今回のコレクションはランウェイ栄えする分かり易い新しさではなく、あくまでもクラフトマンシップに重きを置いたコレクションであって、それはValentinoが描く女性像に近いとのこと。Tim BlanksやSuzy MenkesがレビューしているようにValentinoのクチュール・スピリッツをメンズウェアの服の内部に注入するという挑戦が今回のコレクションには確かにありました。

Piccioliが言う"Modern sophistication"というキーワードが表すように、Valentinoというブランドで二人が行う初のメンズウェア・ランウェイショーということを考えるとトラディッショナルなスーツをフィーチャーしてそれを新しく見えさせようとする試みというのは自然な選択と言えるかなと思います。アイコンになるような通俗的な要素が存在しないコレクションは、二人のデザイン・デュオのメンズウェアにおけるステートメントとしては正統性があるコレクションでしたね。

via style.com nytimes.com fashionwiredaily.com tFS

posted by PFM