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Chanel 2013 Cruise Collection

5月14日、ルイ14世の元でAndre Le Notreが設計したヴェルサイユ宮殿にあるBosquet des Trois Fontainesの噴水の周りをランウェイにして行われたKarl LagerfeldによるChanel 2013年クルーズコレクション。Michel GaubertによるサウンドトラックはM.I.AやMichael Jacksonの楽曲をミックスしたもの。

シャンブレーやデニムによって表現される若々しさにクラシカル・エレガントなロココ調のフリルを組み合わせ、裸足で草原を駆けるような自由奔放な少女に上品さを加える。リラックス感のある淡いカラーパレットを用いて語られるコレクションは、アイコニックなラッフル付きのツイード・ジャケットにミルクメイド・シルエットを描くアンクル丈のプリーツ・ツイード・スカート、ワイドなパラッツォパンツにクリノリン風のコルセット、ニッカーボッカーズにショート・ショーツ、そして、今回のランウェイショーで象徴的だった厚底のクリーパー・スニーカーといったように、宮殿での装いに対してストリートウェアを融和させることによって現代的にドレスダウンさせるという意図を持つ。

風に揺れる豊かな植物と噴水に反射する日差しの輝き、豊饒な大地によって育まれた旧家の女性にSam McKnightはあえてマカロンのようなパステル風の髪をセット。キャンディ・ピンクと目元の小さなCCマークのアクセントが特徴的なメイクアップは、Peter Philipsによると"it's between girly and rebel"とのこと。ある種の違和感をモダニティとしてLookの中で上手く機能させている感じがありましたね。

ヴェルサイユ宮殿を舞台にChanelがランウェイショーを行うという、ある見方をすれば在り来たりで陳腐な行為が意味するもの。Karl Lagerfeldが言うようにコレクションにおけるインスピレーションソースやテーマといったものは端的に言えばコピーイングであって、本質的なクリエイティビティの発露というものがそこに存在しないとするならば、それらはAlfred Hitchcockの言う「マクガフィン」と言えるでしょうか。

多くのブランドがコレクションを展開する上で何某かのテーマを定め、それに沿ってランウェイショーを行い、物語を語る。言うまでもなくそのテーマは時代の空気に敏感なセンシティヴなものであるが、必ずしもそれがクリエイションの核になる訳ではない。コレクションをドライヴさせ、推進力を得るための装置として(つまり、「マクガフィン」として)それらが配されているとすれば、創り手のクリエイションの本質はそれとは別の場所にあると言える。川久保玲のようにクリエイションの本質を抽象的な形而上の世界に置く創り手もいるが・・。
今回のChanelのコレクションにおける「ヴェルサイユ宮殿」という記号性を帯びた象徴が意味するものは、きっとそういうことなのかもしれないですね。

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posted by PFM