This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Chanel 13SS Haute Couture Collection

Grand Palaisに森を出現させての開催となったKarl LagerfeldによるChanel 2013年春夏オートクチュールコレクション。
Christian Diorはガーデンをランウェイにセットしていましたが、Chanelは森ということで偶然にも少し被った感じになりましたね。

Diorはオプティミスティックな方向性でのフレッシュなコレクションでしたが、Chanelは深い森からインスパイアされた少しダークでミステリアスな方向性でショーを進行。モノトーンのカラーパレットを中心に、カールが"frame shoulders"と呼んだショルダーに基点を置くシルエットによってコレクションはドライブされる。
オフショルダーのケープカラーやスタンドアウェイされた"horn of plenty"スリーブ(カール曰く、"the bird sleeve"とも。1930年代前半にCoco Chanelがデザインしたイヴニング・ガウンからの引用でもある。)を用いて「肩を美しく見せる方法」に集中し、各Lookの肩からネックラインに掛けてをロマンチックに描く。ツイードやチュールレースを用いたドレスワークとフェザーやプリントのようなスパンコール立体刺繍のディティーリングがアトリエの技巧を静かに語り、職人の技術がKarl Lagerfeldのデザインによって適切に美しさへと導かれていたのはいつものことですが流石ですね(各アトリエの様子をこちらで見ることができます)。多くのLookで見ることができたレースのサイハイブーツも、服の延長線上としてデザインされていて一体感があったかなと思います。少し余談になりますが、クチュールコレクションはバッグを持ったLookは基本的に登場しないのが通例ですが、今回もその通例通りでしたね。

コレクションのインスピレーションソースとなったWilliam Shakespeareの"A Midsummer Night's Dream"とその深い森からイメージされたSam McKnightによるヘアスタイルは、エアリーなシニョンにフェザーとフラジャイルなオーガンザを用いたヘッドアクセサリーを組み合わせたもの。Peter PhilipsによるメイクアップはSam McKnightによるヘアスタイルのエクステンションとして機能するようにデザインされており、目元に使用されたリーフ(葉)を模したオーガンザはMaison Lemarieによるものとのこと。ランウェイショーに妖精が出てきそうな雰囲気があったのは気のせいでは無かったようですね。
オートクチュールのセオリー通りにブライダル・ルックでフィナーレを迎えましたが、ティタニア・ドレスを着た二人の花嫁とあどけないHudson Kroenigの組み合わせはフェアリー・テールな空気を一層引き立てていたかなと思います。

魔法をかけられた深い森に住んでいるようなミステリアスな女性の美しさは、いつの時代もどこか惹かれる神秘的な魅力があるということ。「ある種のメランコリアよりもエレガントなものは何もありません。」というカールの発言があったように、どこか影のある繊細な女性の心理とそのナイーブな美しさが服を超えた向こう側に高い純度で表現されていたのがChanelチームのクリエイティビティの高さであり、素晴らしさであると言えますね。

via style.com wwd.com vogue.com nytimes.com runway.blogs.nytimes.com tFS

Photography by ANNE COMBAZ.

posted by PFM