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Raf Simons 14SS Collection

Gagosian GalleryのランウェイにAlexander Calderの"mobile"をセットし、Jean Prouveによる"Station Essence Total"と"Pavillon Demontable"のアーキテクチャーの中をモデルが縫うようにウォーキングをして行われたRaf Simonsによる2014年春夏コレクション。モダンなアート空間という雰囲気でのショーが彼らしい選択でしたね。

コレクションはFirst Lookがその全体を規定するように、ベビー服の赤ちゃんワンシーのようなLookからスタート。Raf SimonsがDazed Digitalのインタビューで話しているように、今回のコレクションは「自然物と人工物の並置」というアイデアに基づいて表現されていく。
我々の生活がインダストリアライゼーションされ、生活需品のプロダクトから日々の食事までもが工業化/人工物化されてく中で、その正反対の自然物としてベビー(赤ん坊)が対置される。ベビーはナチュラルな自然物であるが故にクロスジェンダーであり、まだカテゴライズされていない未規定の曖昧な"interzone"の象徴としてコレクションのコアに存在する。

モデルのヘアスタイルは敢えてスタイリングを行わずにナチュラルなママとし、ベビー服から影響を受けた服たちは、その多くのファブリックに人工的な合成素材が用いられている。ランウェイセットのAlexander Calderのモビールは自由とムーヴメントを、Jean Prouveのプレハブ建築物は工業化(人工物化)のメタファーであり、自然物と人工物の並置というアイデアにランウェイショーの全ては貫かれている。

初見ではメンズウェアのウィメンズ化という受け取り方をされてしまい易いコレクションだと思いますが、そういう安易なコレクションをしていないのが彼らしくてとても好きですね。また、こういうアイデアに基づくクリエイションでは、自然を賛美し、人工物を安易に批判してしまいがちですが、そうでは無いのもまた良いですね。クリエイションの深度が他とは一味違います。

"interzone"に関しては、Peter SavilleとRaf SimonsのムービーがDazed Digitalにアップされていますね。ラフの「私は定めることができない未規定なものに非常に惹き付けられます。」というのは個人的にとてもよく理解できます。既に世の中に存在する名前のあるものというものは一般的に面白くないですし、クリエイティビティを感じないですからね。「形容し難い、何だかよく分からないけれど何かを感じるスゴイもの」を求めて創るのが彼らの性分なのですから。

via style.com wwd.com runway.blogs.nytimes.com nytimes.com showstudio.com tFS

posted by PFM