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Kris Van Assche Interview by Sabato Magazine

Dior Hommeのアーティスティック・ディレクターに就いて10周年を迎えたことに関するインタビューが、Sabato Magazineに載っていますね。
2017年秋のBlack Carpet Collectionでも再度フィーチャーされるRobert Pattinsonですが、インタビューの中でクリスが「若い頃のJames Deanなんだ。」と語っていて、なるほどね、と思った次第です。
そして、以前にもインタビューで話していましたが、休止中のシグネチャーは時が来れば再開するようですね。

もしムッシュ ディオールに会うことができたら?という問いには、一緒にコーヒーを飲んで、ムッシュの友人に会いたい(笑)、と答えていますね。

Raf Simons Interview - Kvadrat New Collection 2017, Calvin Klein, Christian Dior...

Kvadratとの4回目のコラボレーションとなる新しいコレクションに関するRaf Simonsのインタビュー記事がvogue.comAmuseにアップされており、Kvadrat/Raf Simonsのサイトも更新されていますね。今回のコレクションは、"Pointillism"(点描画法)の影響を受けたもののようです。
2つのインタビューではKvadratの話題以外にも言及されているので、面白かった話題をいくつか。

ラフはクリエイションのインスピレーションソースとして自然からも多く触発されると語っています。自然の中で多くの色を見ていると言い、自然のみならずストリートも含めた外界においてそうであるとのこと。色を観察するためにオンラインで画像を見ることはなく、それは本物である必要があると話しています。

Calvin KleinとDiorの違いについては、Diorはよりファンタジーであるとし、Calvin Kleinはより現実的であると話していますね。重要なことは、ハイファッションについて興味を持っている多くの人はブランドとしてCalvin Kleinを見ていないということ。それはCalvin Kleinが長い間、ジーンズやアンダーウェアのようなものに集中していたからだと説明しています。そして、ジーンズ、アンダーウェア、ホーム、コレクションといったラインはCalvin Kleinにとって等しく重要である、と。
ラフがCalvin Kleinへ行った理由については、Calvin Kleinはローからハイファッションまでの多様なブランドライン・ポートフォリオを持っており、多様なクライアントにリーチすることができるからのようです。それはDiorでは実現できなかったことなのだと。

ラフがHelmut Langに夢中だった19や20才の頃、Helmut Langを買う余裕は彼にはなかったが、彼はHelmut Lang kidだったと語っています。服を買って実際に身に付けることはそのブランドや創り手、その思想や哲学との心の接続を意味しますが、ラフはHelmut Langを買うことができなかった頃でさえもHelmut Langと心の繋がりを感じていたようです。
そういった体験がラフにはあるので、Calvin Kleinの多様なクライアントにアプローチ可能な(多くの人々と繋がることが可能な)ポートフォリオは、挑戦のしがいのあるプロジェクトに彼の目には映ったということのようですね。彼がクリエイティヴ・ディレクターではなく、CCOに就いたことの意図はここにあるということなのでしょう。

次に、インダストリーデザインとファッションの世界の違いについてラフは、デザインの世界は非常に断片的であり、逆にファッションの世界は全てが統一されていると話しています。ファッションは、ADキャンペーン、ランウェイショー、服、ブティック、そして、それらの見え方はクライアントにとって非常に明確であると。しかし、デザインの世界はそうではないのだと説明しています。
ファッション・ブランドには、一人のクリエイティヴ・ディレクターがおり、一つのスタイル、一つのアイデンティティ、一つの環境、一つの美学、といったものを非常に真実味のある形で、非常に明確にする必要があると語り、クライアントとしてあなたはそれにコネクトするか、しないかのどちらかになるが、デザインの場合はそれがずっと複雑になるのだとラフは話しています。

Calvin Kleinにおいてアイテムを誰もが手にすることができるように民主化することに興味があると話していますが、同様にデザインの世界も民主的な方向に向かうことができるか?という問いについてラフは答えを知らないと言いつつも、なぜ多くの人はファッションに多くのお金を使うのに、(インダストリー)デザインにはほとんどお金を使わないのか?という彼が学生時代から持っていたという問いについて話しています。彼の考えとしては、家具などのデザインを持ってストリートを歩くことはなく、露出がないので人に見られないため、人々はお金をかけないのだろうと分析しています。そして、家具は数十年使われるのに対して、服はダメージを受けた訳でもないのにコンスタントに買い替えられ、進化していくというタイムスパンの違いについても言及していますね。

最後に、ラフが家具やデザインの収集をしていることについての問いには、アートを見始めたのは15、16才の頃だったが、その理由は分からないと答えています。それまで自分のバックグラウンドの一部ではなかったが、アートに興味を持ったのは自然に起きたことで、それ以来、自身の生活の一部になっているとのこと。
一般的に、アート、音楽、ファッション等、多感な時期に受けた影響はその後の人生に大きな影響を与えるものですね。現在のラフは若者に影響を与える側の人間になっていますが、こうやってクリエイティヴィティは未来へと受け継がれていくということなのでしょう。

Christian Dior 2017-18AW Collection

「あらゆるカラーの中で、唯一ネイビーブルーがブラックに引けを取らず、同様の素晴らしい効果をもたらすことができます。」というムッシュ ディオールが記した言葉のとおり、ネイビーブルーにフォーカスしたMaria Grazia ChiuriによるChristian Dior 2017-18年秋冬コレクション。
インスピレーションソースとなるキーワードとしては、海軍、ワークウェア、デニム、ピカソ、シャガール、ジャズ・ブルース、深海、天空。

個人的な感想としては、Cathy HorynVanessa Friedmanがレビューしているとおりといった感じですね。一言で言えば、Christian Diorというブランドに値するクリエイション足りえていない、ということ。Cathy Horynは、キウリのデザインはフランスのハイファッションというよりも非常に良いイタリアン・スポーツウェアのようだと言い、そして、彼女の服は同じことの繰り返し(バレリーナ・ドレス、刺繍によるセレスティアル・モチーフ、など)だと評していますね。引き出しの少なさについては、就任前からも懸念されていたとおりですが。

コレクションは全体的にカジュアルでウェアラブル。普段使いもし易そうで、コマーシャル・ライクであるが故に(Cathy Horynのレビューのコメント欄で書かれているように)それらはDiorでもファッションでもなく、ただの服でしかない、といった評価にならざるを得ないのでしょうね。そして、テーマの選び方も深度があまり感じられないというのもあるでしょうか。

歴史あるクチュールメゾンを安易ではない形でモダンにするには、それ相応の力量が創り手には求められるということ。それは至難の業であると理解しつつも、彼女のコレクションを見ていて感じてしまうのはそういうことですね。

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