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Michele Clapton - "Game of Thrones" Costume Designer

画像は、Game of Thronesに出演しているキャストたちのオフショット集。
シリアスなドラマの内容とは打って変わって、そのコントラストが良い感じ。こういう一面を見せられると作品がもっと好きになってしまいますよね。こちらでは、各キャストの若かりし頃の写真も見ることができるので時間のある時にでもぜひ。

Game of Thronesはいろいろ見どころがあると思うのですが、個人的に目に留まったものの一つにコスチュームデザインがあります。気になったのでデザイナーについて調べてみるとシーズン6はApril Ferryが一時的に引き継いで担当したものの、その他のシーズンはMichele Claptonによるもののようです。Michele ClaptonはドラマのThe Crownのコスチュームデザインも手がけているようですね。

Game of Thronesのコスチュームデザインはレザーやファーが上手く使われており、また、カラーパレットとしてブラックがかなり使われているのが自分としては印象的でした。Michele Claptonのインタヴューの中でも話されていますが、意図的にカラーパレットはカラフルにしなかったとのことで、色が使われていたとしてもかなり抑えた使い方がされています。理由としては、冬がずっと近づいてきて、そして、到来し、戦争が起きている物語の中で、女性はフェミニティを隠し、強さが欲しかったからということのようです。

サーセイのコスチュームは、彼女の父であるタイウィンをエミュレートしたものであり、サンサのコスチュームは父であるエダードと母であるキャトリンの混成になっているとのこと。サンサのファー・シルエットはエダードであり、インナーの(ドレスの)テクスチャーはキャトリンからのもの。そして、サンサはベイリッシュ(リトルフィンガー)からも少なからず影響を受けており、彼女は悪人と過ごす時間が多かったため、悪人のコスチュームの影響(恐らくジョフリーも含まれる。)も考慮して彼女のコスチュームはデザインされたようです。

更に、サンサはラムジーから受けた虐待がトラウマになっており、自身(の心)を守るというメタファーとして鎧のように見えるコスチュームにデザインしたとも話しています。

キャラクターの出自や物語内で起きた事件、その時にキャラクターの置かれている立場や感情、等を考慮して、各シーズンや各エピソード毎にコスチュームがデザインされているというのがとても面白いですね。コスチュームデザイナーが何を考えてキャラクターの衣装をデザインしているのか。当たり前ですが、ただ単に上辺だけのそれっぽいものをデザインしているということでは無いということが分かります。

コスチュームもストーリーの中でキャラクターと共に成長し、変化していくということ。デザインにはある種の必然性が必要ですが、それには感性の裏側にロジカルな思考が必要であるということを教えてくれますね。

ちなみに、ジョン・スノウのファーにはIKEAのラグが使われていたといった話題もあったようで、必ずしも高級素材が使われている訳ではないというのも面白いかなと思います。デザイン哲学を持ちつつも、それを手軽で安価に実現するアイデアの両方がバランスしているのが素晴らしいですね。

posted by PFM