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Raf Simons and the End of an American Dream

Raf SimonsがCalvin Kleinを去ることになった件に関するCathy Horynの記事
アメリカ人の立場として書かれていて面白いですね。

Calvin KleinとRaf Simonsは上手くいかなかったが、「いずれ(Ralph Laurenのような)米国のアイコンブランドが再発明される日が来るでしょう。」と書かれているのが印象的です。彼女はその日が来ることを願っているし、その希望も捨てていないということ。
ただし、今回のラフについては、「現時点において、我々(米国人)は、この国に来て、挑戦するこれまでで最高のヨーロッパ人デザイナーの一人を失った。」と結論付けています。Raf Simonsというデザイナーを失うことは、米国ファッション業界として大きな損失ということですね。

巨大な米国ブランドをヨーロッパのラグジュアリーブランドのように再発明することは可能なのか?という問いは確かにあります。
今回のCalvin Kleinのようにデザイナー交代によって短期的にガチャで一発当てるというのは、かなりの冒険だったと言えるでしょう。Cathy Horynも書いているように、クリエイティヴ側の人間と経営陣がヴィジョンを共有し、現代のマーケットを理解し、成功のための現実的なタイムテーブルが必要ということ。いずれも基本的なことでありますが、それを実行するのが難しいという話であります。

合理的で短期成果主義的な傾向にある米国企業がブランドを再発明するということは、その性格上、難しさがあるでしょうね。一般的にクリエイティヴィティには多分に非合理性が含まれ、それが他との差異を生み出し、適切なメッセージングと時間を経て顧客に価値が理解され、ブランドイメージが形成されることでやっと売り上げに繋がるという流れがあります。構造改革の痛みを許容し、売り上げが離陸するまで待てるのか(最悪、最期まで離陸しない可能性もある。)、という疑問はあります。そう考えると短期で結果を求めるような米国企業には、クリエイション主導よりもマーケティング主導型の方が性に合っているということになりますでしょうか。

tFSでは、「(コレクションにおいて)アメリカとは何であるか?を探求していた彼らしい適切な終わり方だった。」というアイロニカルなコメントもあって、確かに数字として結果を出せなかったことを理由に2年5ヶ月で去ることになったのはアメリカらしいと言えばそうなのかもしれません…。

ちなみに、ラフの右腕であるPieter MulierはこのタイミングでInstagramに真っ黒の画像をアップしていて、これが彼らの今の心情を表しているのかもしれませんね。

via vogue.com

posted by PFM