This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Burberry 20SS Collection

3シーズン目を迎えたRiccardo TisciによるBurberry 2020年春夏コレクション。
キッチュな混乱が続いていた過去2シーズンに比べれば、テーラリングにフォーカスした今回のコレクションは改善が見られたでしょうか。

継続となるベージュを基調としたカラーパレットに、インサイドアウト・テーラリング。グレー・ジャージーの滑らかな質感に、タッセルフリンジ付きのアニマルモチーフのシルクスカーフ・ドレッシング。カジュアルとフォーマルの間に橋を架けるロングカフスのストライプ・シャツワンピース。コート・ジャケット・ドレスにモーフィングしたトレンチウェア。ギンガム、ボーダー、ゼブラのパターンに、ロゴバッグ。膝上で曲線を描くヘムラインスカート。Thomas Burberryが会社を興したヴィクトリア朝時代の影響を受けるジゴスリーブ・ドレープに、コルセットやレースのドレスを加えて。

ランウェイをAgyness Deynが久しぶりに歩いていたのは目を惹きましたね。彼女は、House of Hollandというか、UKのイメージが惹起されます。

Riccardo Tisciのシグネチャーとなるものは宗教性とゴシックをベースにしたテーラリングやドレス、そして、マッチョなストリートウェアやギャングカルチャーですが、それらとBurberryの持つノーブルなブリティッシュエレガンス、ブリティッシュロックやストリートウェアといったカルチャーが不和を起こしているというのがこれまでの流れと言えるでしょう。これらのことは、彼がBurberryのデザイナーになると知ったときに最初に思い浮かんだことであります。彼は、時に死の影を感じさせるシリアスなデザインが得意であり、英国的なウィットに富んだテイストやオプティミスティックで(分かり易い)艶のある方向性のデザインは相対的に不得手なのですから。

ブランドをオーバーホールし、全てを自分色に染められるならまだしも、英国を代表する歴史あるグローバルブランドのコンテキストに沿わせつつ自身の不得手な領域でクリエイションを行うという決断はチャレンジングではありますが、少なくとも現時点においてステートメントを発することも新しいヴィジョンを示すことにも成功しているとは言い難いでしょう。
ロンドンに住み、ロンドンで暮らすことでブリティッシュ・スタイルを理解しつつある、と彼は話していますが、キーとなるのはそれがいつどのように結実するのか。

Burberryのデザイナーが負う使命は、ブリティッシュネス(英国性)の再定義にあります。
Brexitの期日が迫る先行き不安なこの時代に、進むべき道を光で照らすこと。新しいものが生まれる前に混乱が訪れることはありますが…さて。

via vogue.com wwd.com vogue.co.uk nytimes.com businessoffashion.com tFS

posted by PFM