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Inside the Tim Walker: Wonderful Things exhibition

ロンドンのVictoria & Albert Museumで9/21から開始され、2020年3月8日まで行われる予定のTim Walkerの過去最大の展覧会となる"Wonderful Things"
展覧会の開始に合わせていくつかのメディアで記事が書かれていますが、V&AのYouTubeチャンネルに展示の様子Tim Walkerのインタヴュー、そして、Tim Walkerの長年のコラボレーターであるセットデザイナーのShona Heathらのインタヴューがアップされていますね。

ラグジュアリーブランドの服を着た作品を多く撮っている彼ですが、作品撮影におけるクライアントの要求や商業的な制約の影響を受けることを常に避けており、「彼らはうるさいです。私はファッションと商業によってモチベートされているわけではありません。」とNYTimes.comの記事の中で話しているのが彼らしい感じ。

そして、「Mario TestinoやBruce Weberのセクハラ問題を受けて、ヌードや同性愛がV&Aでタブーとされているのかどうかに関心がありました。」と話し、「しかし、それはV&Aに溢れていました。至る所に美しい男性像があります。アーティストがどれだけ長い期間に渡って美しさを表現してきたか、それがすべて過去に行われたことを見ると心強いものでした。」と語っています。

ファッション業界は多様性とポジティヴな社会変革へのコミットメントを強く求めてきたが、彼によるとまだ遅れている部分あるとのこと。また、昨今のソーシャルメディアがファッションに与える影響はあまり良くないと話しています。創造的な高い志を持つ人々のために、より民主的なプラットフォームの到来は肯定的ですが、「虚栄心と絶え間ない見せびらかし。」と呼ぶものを心配しているという。

「あいにく、私がソーシャルメディアで目にするものの80%は(作品として)単なる偽物です。」「フォトグラファーとして何年も活動してきた私は、イメージを見て1ミリ秒でそれが本物かどうかをあなたに話すことができます。そして、その偽物を見て、本物を知ることができない若い人たちがいることが私を不安にさせます。若い人たちは、それを絶対的な本物と受け取ります。特に自分が何者であり、何をつくりたいのか、強く激しいヴィジョンをまだ持たない人にとっては、メンタルヘルスにとって悪いものです。」

Fabien Baronも先日の記事の中でソーシャルメディアには否定的な意見を述べていましたね。この辺は世代の違いや既に成功している彼らの立ち位置に一因があると思っていますが、彼らの心配も理解できます。

Tim Walkerは展覧会の開始を機に、ファッション作品から1年間のサバティカルを取るとのこと。「長い間、私は妖精の国に恋をしていました。無意識のうちにそれがどんなに重い物なのか気が付かなくなっていました。」と話しています。あまり長い期間、一線を離れるのは創り手としてリスクがありますが、一時的に離れて、客観的に自分の過去を振り返り、休息を取るということも必要ですね。

展覧会とは別に、彼の新しい作品集"Shoot for the Moon"がもうすぐ出版されます。Amazon.co.jpでも予約することができますね。

最後に、"Making pictures isn't about trying too hard. It's all about a lightness."と写真を撮ることについて話していますが、彼の作品のイマジネーションとクリエイティヴィティを支えているものの一つがこういった考え方なのかなと。そうは言っても、彼は常人より何倍もハードワークしていると思いますけれどね。

posted by PFM