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AZfashion

先月下旬に発表されたRichemontとAlber Elbazパートナシップ。Vanessa Friedmanにも話していますが、内容としてはプレとポストを含めたコレクション単位ではなく、(おそらく散発的な)プロジェクトベースのスモールスタートになるようです。組織としてはRichemontが過半数を所有するジョイントベンチャーで、拠点はパリに置く予定とのこと。

"AZfashion"というブランド名に関して、tFSでは否定的な意見が多く、ファストファッションブランドやファッション系のYouTubeチャンネルみたいと書かれていますね。言われてみれば確かに…、といった感じでネーミングは大事だなと。

エルバスとしては、「それをAlber Elbazと呼びたくありませんでした。なぜならそれは私や私自身に関するものではないからです。」「それは、我々と我々に関するものについてのことになります。そして、それはA to Zになるでしょう。」と話しています。"AZ"は彼の名前から取ったものでありつつ、"A to Z"であるということはファッション全般に対するアプローチを持つプロジェクトになるということなのかもしれませんね。
また、ラグジュアリーに関して、「今日のラグジュアリーは、プライスだけを指すのではありません。」と話しているのも気になるところ。スモールスタートのスタートアップなのでハイリスク・ハイリターンの派手な投資をRichemontが想定していないことは明白なので、価格帯はある程度抑えられるのかもしれません。

シーズンの連続性のない散発的なプロジェクトと言えばカプセルコレクションのようなものがイメージされますが、デザイナーコラボのような単発企画ならともかく、1つのブランドで非連続に展開するとすれば消費者のアテンションが継続せず、ロイヤルカスタマーの獲得という点で懸念があります。また、エルバスがデザインするものはアイテムとアイテムの関連性が強く、トータルルックで完成する傾向が強いので、単品使いできるアイテムが少ないとなれば更に手に取りづらさも増すでしょう。

BoFでは、Gen-Zの消費者を魅了した実績のないデザイナーを中心に新しいファッションブランドの立ち上げは、リスクとコストの高い計画であると評されていますね。プロジェクトのコンセプトや世界観、どういったメッセージをプロダクトに込めて、誰に何を届けたいのか。それによって業界や社会に何を齎すことを企図するのか。プライシングや取り扱うリテーラーなどもそうですが、全てが不明なので何とも言えませんが、2015年にLanvinを去り、本格的な復帰の無いまま58歳を過ぎた彼にリスクを感じるのは当然と言えば当然なので、初回のプロジェクトがどういったもので実際にどういったものが展開されるのかを待ちたいですね。

posted by PFM