This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Celebrity AD Campaign

Jean-Baptiste MondinoがKristen Stewartを撮影したChanelの2020年春夏キャンペーンが適切に機能していない、とtFSでいろいろと議論がされていますね。
一つのイメージでキャンペーン全体を判断するのは早計ではありますが…。

ブランドが展開するアドキャンペーンの主なミッションとしては、デザイナーによってコレクションで提示された世界観の拡張や、それとはまた少し違った世界観やストーリーをフォトグラファーが二次創作的に提示することで、デザイナーのクリエイションの魅力を最大限に引き出すということがあります。一時期、デザイナー自身がキャンペーンのフォトグラファーを務めることの是非についての議論がありましたが、デザイナーとフォトグラファーの化学反応という点でプロのフォトグラファーに任せるべきというのが個人的な意見でした。

tFSで指摘されているようにセレブリティを起用したアドキャンペーンは、多くの場合、ただブランドの服を着ただけの、ただのアンバサダーとしてセレブリティがそこに写っているだけ、という結果になりがちです。デザイナーのクリエイションとセレブリティのキャラクター性をフォトグラファーが適切にストーリーテリングし、化学反応を起こしているキャンペーンは少なく、セレブの有名性に全面的に頼ったクリエイティヴィティの低い、ただの販促でしかない下品なキャンペーンになってしまうことが多いのが実情です。

セレブリティを自身のクリエイションの中に上手く取り込んで、ストーリーテリングができるフォトグラファーとして個人的に思い浮かぶのが、例えばAnnie LeibovitzやTim Walkerであります。彼らの作品は、セレブリティのキャラクター性や空気感を的確に捉えた上で、自身の世界観の中でその魅力を最大限に引き出し、且つ、衣装として着たデザイナーのコレクションをそのストーリーの中で違和感がなく機能させることができています。

ただ、例に挙げた2人はトップレベルにあるフォトグラファーであり、比較対象として引き合いに出すのは誤っている部分があると思いますが(彼らは作家性がかなり強く、こういった一般的なアドキャンペーン向きではあまりないというのもある。)、あくまでも対極にある分かり易い例として挙げています。

セレブリティを起用したキャンペーンを高い次元で機能させるのは難易度が高いというのは認識していますが、Chanelのようなメゾンには適切なクオリティコントロールを期待したいところですね。

posted by PFM