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Gucci 20-21AW Men's Collection

砂を敷き詰めたPalazzo delle Scintilleに巨大な時計の振り子をセットして行われた、Alessandro MicheleによるGucci 2020-2021年秋冬メンズコレクション。

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家父長制の社会では、男性の性別アイデンティティはしばしば暴力的で有害なステレオタイプによって形成されます。支配的で、占有的で、抑圧的なマスキュリニティのモデルは出生時に幼児に課されます。態度、言語及び、行動は、弱さと依存を取り除くマッチョなマスキュリニティの理想に徐々に順応します。フェミニティへのあらゆる可能な言及は、(異なる性への)分岐を許さない男性的なプロトタイプの完全な肯定に対する脅威と見なされるため、積極的に禁止されます。

この流れは自然なことではありません。このモデルは、社会的にも文化的にもそれに従わないものは拒絶するように構築されています。これは非常に深刻な影響を及ぼします。実際、有害なマスキュリニティは、虐待、暴力、性差別を助長します。それだけではありません。それは社会的に受け入れられるために、男性自身が強要された精力的なマスキュリニティに自分自身を従わせます。言い換えれば、有害なマスキュリニティは抑圧者と犠牲者を同時に生み出すのです。

それ故、家父長的な計画や制服から離れて、脱走を提案する必要があるようです。歴史的に確立されたマスキュリニティという概念を脱構築する。
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ショーノートの序文が示すように、社会や文化によって男性に後天的にインストールされる男性性の脱構築が今回のコレクションのテーマ。それは男性性の新しい規範モデルを提案するのではなく、社会や文化によって制約を受けていたものを解放するということと、男性性の自己決定を自由に行おうという部分にポイントがあります。

ショーの開始前に流れた子供のバースデーパーティーの映像。Alessandro Micheleは、「私はもう一度、子供になりたかった。子供は自分らしくいられる時期だから。」と話す。ランウェイに設置された時計の振り子は、有害な男性性の影響を受ける前の幼少期に時間を戻すことを意味する。

ベビードールドレス、ラウンドカラー、メリージェーン、フリルシャツ。短い袖や裾、オーバーサイズにミニマムサイズといったアンバランスさや不器用な不完全性、奇妙さによって惹起されるフェミニティと幼児性は、マスキュリニティからの選択的解放を企図したもの。Alessandro Micheleは今回のショーを、「幼少期に戻って、男性であることの新しい方法を学ぶためのインヴィテーション。」と呼ぶ。

アイデアや意図は理解できますが、その実現手法はありふれたものであり、コレクションとしては過去に類型化された何かであって、新しさという点では特筆すべき点は特にないと言えるでしょうか。生煮えで生々しい、ある種グロテスクなデザインを正義とするデザイナーは、素材自体がそのまま作品の核となる傾向が強いため、取り扱う素材によってクオリティが大きく左右されるという印象がありますね。

via vogue.com wwd.com vogue.co.uk businessoffashion.com tFS

posted by PFM