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Chanel 20-21AW Haute Couture Collection

COVID-19の影響を受け、クルーズコレクションに続いて2回目のオンラインでの公開となったVirginie ViardによるChanel 2020-21年秋冬オートクチュールコレクション。
今回のコレクションにおいて、エキセントリック・ガールについて考えていたというヴィアール。インスピレーションソースとなったものは、70年代から80年代に掛けてニューヨークに存在したディスコ"Studio 54"の応答として、80年代のパリにあった"Le Palace"。コレクションのその心は、CocoよりもLagerfeldにある。

Mikael Janssonが撮影したRianne Van RompaeyとAdut Akechによる30のLook(クチュールのアトリエが3か月ほど閉鎖されていたため、このLook数となった。)。ショーではできないかもしれないこと、とヴィアールが話したのは、各Lookの中で存在感を放つパンクヘアーとファインジュエリー。

ツイード・ジャケットにティアード・スカートの階層性、フロア丈のベルベットドレス、大きな花の刺繍とクロスリボン・シューズ。フルスカートのレトロなカクテルドレスは白と黒の花が咲き、ラッカー・ピンクのレースがアイキャッチ(このLookをヴィアールは"ma poupee"(私の人形、の意。)と呼んだ。)。モノトーン・ツイードと真珠のランデヴー、ミッドナイトブルーの美しい色合いに、スパンコールとビジューの煌めき。

"casual and grand"とヴィアールが表現したように80年代のディスコ・カルチャーからインスパイアされたコレクションは、軽さを伴ったカジュアル・クチュールであるが、彼女の問題点は筆致が全体的にレトロであると言えるでしょう。自分の中にある何かを表現するというよりも過去や既存の何かによってコレクションは構成されており、モダニティが不足している場合が多く、これはAD Campaignを見ていても顕著に見られる傾向にある。
これは、Chanelというメゾンに代々伝わるツイードやパールといったレガリアをそのまま使うと現代的にすることが難しく、そこにはデザイナーの魔法が必要ということを意味する。

Bruno Pavlovskyとしては、シーズンサイクル及び、ランウェイショーをできるだけ早く戻したいと考えているとのこと。既存のシステムにおいて成功を収めているプレイヤーがゲームのルール変更を望まないというのはファッションに限らず、どの分野でも同じことが言えます。逆に言えば、変化を起こせるのは失うものが何もないような新興のプレイヤーであるということ。

ランウェイショー、Look Book、AD Campaign、ショートフィルム、エディトリアル、ソーシャルメディアといったように各分野において各表現形態があり、デザイナーが描いた世界観の拡張と語るべき物語があります。水面の波紋のようにその中心にはハイエナジーの伝統的なランウェイショーがあり、全ての物語の始まりの場所であるというBruno Pavlovskyの指摘は首肯できます。ただ、COVID-19の終わりはまだ現時点では見えておらず、プレゼンテーションの最適解の模索は続くでしょう。

最後に、Chanelはサプライチェーンの継続性を保障するため、ツイードに使用される糸の多くを製造しているメーカーVimar 1991を買収したとのこと。Paraffection傘下のアトリエと製造業者の合計はこれで36社となる。
グループ会社内で調達を掛けられるように強化するというのは、今回のパンデミックのようにサプライチェーンが止まった時のことを考えると重要ですね。ツイードはChanelのアイデンティティの中枢を形成するものですから。

via vogue.com wwd.com vogue.co.uk nytimes.com businessoffashion.com tFS