This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

THE KOLN CONCERT

Keith Jarrettのピアノ即興コンサート。
何年か前にTVCMで使われていて知った曲なんだけど、買った当初は全く理解できなかった。それで一年ぐらい放置していて、久しぶりに聴いてみたらその素晴らしさがわかった。その時以来、絵でも音楽でも何でも「文法」があって、それを身に付けないとそれらは楽しめないんだと学んだ。なんで久しぶりに聴いたら理解できたのかはわからないんだけど。グラフィックつくりまくってた時期なのでそれが関係するかもと個人的には思っている。
数年前、美と出会う(NHK)という番組でHIROMIXの回があって、その時に篠山紀信が彼女の写真を理解するのは苦労したけど、一度写真の見方を理解したら全部わかった、って言ってたのを思い出した。個人的には、ファッションフォトがそうだ。最初は見方がわからなかった。楽しみ方というか。でも、ある時霧が晴れるようにほとんどすべてがわかる瞬間があった。それからはだいたいわかるようになった。感覚的なものだけど。大量に見たり聴いたりして、ある閾値を超えると見えてくるものがある。英語などの語学の勉強もそうらしい。もちろん、個人差はあるだろうけど。
話を戻そう。
この曲(アルバム)は即興演奏なのでどうやって曲として組み立てていくか、手探りで進んでいくので全体的に不安定なんだけど、逆にそのゆらぎが良い。そして、演奏の方向性が(演奏者の中で)決まると、そっち方面に全力で進んでいく。小さくコンパクトに纏まるんじゃなくて、ドライブが掛かってくるとどこまでも突き進んでしまう感じが良い。同じフレーズが繰り返される部分とか聴いてると、緊張感がそのままダイレクトに伝わってくる。そして、演奏者が演奏を楽しみ、曲が独りでに歩き出している。そういったものを感じさせてくれるアルバム。個人的には無難に納まるよりも、三振かホームランの二択しかないような偏ったものが好きだ。

posted by PFM