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"MAGiC" - DJ KAWASAKI / "Scream" - Michael Jackson x Janet Jackson

DJ KAWASAKIによるミックスCD「MAGiC」がリリースされたので購入して聴いていますが、全体的に良い感じですね。Black & Goldの原曲や新曲となる"You Put The Music In Me Featuring N'Dea Davenport"(自分はiTunesの先行配信でDLして聴いていました)も良いですが、(ベタですが)Diana Rossの"The Boss"やサックスがカッコ良いRonnie Laws & Pressureの"Always There"辺りが個人的に聴いていて心地良いです。他の曲に関しては、もう少し聴き込んでいきたいですね。

折角なので、最近良いなと思ったミックスをもう一つ。
YouTubeにアップされているMichael Jacksonの楽曲をミックスした"Michael Jackson - Mega Mix"はとてもクオリティが高いです。見たことが無い方は是非チェックして欲しいのですが、曲と曲のスムーズな繋がりと映像のミックス具合が良い仕事をしています。

このMega Mixの7分台後半から始まる曲が、Michael JacksonとJanet Jacksonの"Scream"をハウス・ミックスしたもの。
詳細はこちらのBlogで書かれていたのでご参照して頂きたいのですが、9分ほどあるClassic Club Mixとそれを3分程度にカットしたDef Radio Mixが存在しており、ミックスにはDavid Moralesが関わっているようですね。
BPM高めのミックスがとても軽快で聴き易く、自分はとても好きです。

上にも画像を載せましたが、90年代中盤にリリースされた"Scream"のPVはMark Romanekが撮っていて今見ても十分なクオリティを保っているかなと思います。700万ドルという制作費がギネスにも載っているというですが、それだけコストを掛けた意味はあったような気がしますね。ちなみにギネスに載っている高制作費PVの2位はMadonnaの"Die Another Day"で600万ドルとのこと。こちらのディレクションは、スウェーデンのTraktorによるものですね。

2012-13 Autumn/Winter Coming up

各ブランドの2012-13年秋冬シーズンが徐々に立ち上がりつつありますね。新作を実際に手に取って見れるこの時期の、少しだけ新しい気持ちになれる感じが個人的にとても好きです。

Dior hommeの秋冬の立ち上がりは先週ありましたが、とりあえずコレクションアイテム以外でコートやニットなどを自分は買いました。コレクションアイテムでは4Bジャケットが気になっていたので試着してみましたが、相変わらずテーラリングのクオリティは素晴らしかったですね。ジャケットに関しては秋冬モノよりも春夏モノの方が好きなので欲しくなりましたが、購入には至らず、でしたけれど。

あと最近買ったのはAlexander McQueenの秋冬の新作大判ストール。マックイーンのストールは長方形のものしか持っていなかったので、今回は正方形の140x140cmというサイズのものを買ってみました。アフガンっぽく巻いてディオールのジャケットやコートに合わせて使う予定です。

秋冬シーズンであと買う予定でいるのはブーツぐらいで、その他に関しては良い出会いがあれば・・といったところ。梅雨も明けて暑い日が続く東京ですが(週末だけ急に涼しくなりましたけれど)、ブティックには時間を見つけて足を運んでいきたいですね。

Chanel 12-13AW Haute Couture Collection

Grand Palaisの70数年閉鎖されていたSalon d'Honneurで行われたKarl LagerfeldによるChanel 2012-13年秋冬オートクチュールコレクション。コレクションのタイトルは、"New Vintage"。

40年代フレーバーに包まれたヴィンテージテイストのランウェイショーは、白・黒・グレーにピンクといったMarie Laurencinを思わせる色彩設計によって展開。数千時間を掛けて刺繍によってツイード素材を再現し、シャネル・アイコンのツイード・ジャケットにワイドパンツやメタリック・ウエストベルトを用いてクラシカルな女性像を描く。ピーターパン・カラーのベルベットドレスにタモシャンターのようなパフボールやカメリア・モチーフのドレス、トランスパレンシーなシフォンブラウスにスワンズダウンのショルダーが目を惹くシースドレス、ピュータールレックス・ストッキングにはトーとヒールに金属部位を持つパンプスを合わせる。
ショーのフィナーレに登場したLindsey Wixsonのスワンのようなホワイトドレスは、それまでの中間色とのコントラストがとても良かったかなと思います。

1940年代のCoco Chanelは、実際には第二次世界大戦の影響で活動休止状態にあったのですが、その空白の期間をKarl Lagerfeldが想像してコレクションを行ったとも言えますでしょうか。カールが"I love the atmosphere of a Belle Epoque tea room,"と話していたようですが、コレクションにはベルエポック・フィーリングが確かに感じられたかなと思います。

via chanel-news.chanel.com style.com vogue.com nytimes.com nytimes.com fashionwiredaily.com showstudio.com tFS

via pleasemagazine.com

Christian Dior 12-13AW Haute Couture Collection

John Gallianoの馘首の後、Bill Gayttenが穴を埋めていたデザイナー職に史上6代目として就任したRaf SimonsによるChristian Dior 2012-13年秋冬オートクチュールコレクション。
ストリーミング配信もされていましたが、クチュールコレクションまでもがライヴストリームされる時代なのですね。アクセスが多かったのが理由だと思いますが、ストリーミングは結構途切れてしまっていましたけれど・・。Nick KnightやAlber Elbaz、Tim BlanksやKris Van Asscheといった多くの関係者が映っていたのは個人的にとても面白かったです。

赤いバラや白い蘭、黄色いミモザに青いデルフィニウムなどの花で壁一面を飾った5つの部屋をランウェイに行われたショーは、ブランドの遺産であるバージャケットへの言及となるタキシードルックからスタート。カラーパレットはブラックを中心にイエローやピンクにレッドなどを使用し、ノースリーブやストラップレスといったシンプルなドレスによって知的で慎み深いモダンな女性像を描く。
ニュー・ミニマリズムの表現法として、ミッドセンチュリーのオートクチュールをインスピレーションソースとしたJil Sanderでのクチュールトリロジー・コレクション。Jil Sanderでのクリエイションを本元のオートクチュールという舞台にそのまま上手くスライドさせ、ディオール・アーカイヴへのアクセスと共にモダニティとロマンチシズムの揺らぎをドライビング・フォースとしてコレクションを押し進める。

John Gallianoが描いた壮大なファッション・ファンタジーから大きく変化をしたRaf Simonsによるクリエイションは、控え目だが、静かな強さと美学が確かにそこには存在している。大量に労働力を投下した刺繍やある意味で言えば分かり易い多層チュールレースにフロアレングスで長いトレインやスカラップを備えたドレス、眩いスパンコールやクロコダイルレザーなどのラグジュアリー・マテリアルの使用といったものに安易に頼らないコレクションは、オートクチュールが狂想曲や盛儀盛宴でなければならないという風潮に疑義を呈しているようにも見える。Raf Simonsがインタビューで話しているように彼の企てがオートクチュールの再定義にあるとするならば、ここでオートクチュールとプレタポルテの違いとは何なのだろうか?いう疑問が自然と浮かび上がる。

Cathy Horynが言うようにオートクチュールにおいて服はすべてハンドメイドでつくられ、プレタポルテでは実現不可能な丸み(roundness)をそれらの服は与えられる。クチュールとプレタポルテの違いについてKarl Lagerfeldは、それらの違いを言葉で表現するのは難しいと前置きしつつも、"It's a kind of feeling. It's also about what's on the inside of a dress."と答えている。つまり、クチュール・クリエイションの本義はアトリエワークの結晶である服の内側に存在すると言える。ファッションの本質が人間の表面的な外見ではなく、その人自身の考え方や立ち振る舞い、精神といった内面性と深い関係にあるようにクリエイションの本質性もその内側に存在する。

職人の技巧がより優しく繊細なタッチで女性を描くことを可能にし、服の内側に込められたクラフトワークのエネルギーは抑制の効いたモダンなLookの中でインテリジェンスとして機能する。それはHamish Bowlesがレビューするように、Raf SimonsがChristian Diorのアイコニックな"New Look"を今日の世界において説得力のあるリアリティのある提案に変えるという挑戦が実現しようとしていたものと言えますね。

ラフ自身が今回のファーストコレクションを"Think of it as a blueprint."と答えているように、すべては始まったばかり。Jil Sanderでミニマリズムの新しいビジョンを提示したように、Christian Diorにおいても新しいビジョンを提示してくれることを期待したいですね。

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Lanvin 13SS Men's Collection

Alber Elbazの管理下の元、Lucas Ossendrijverによって提示されたLanvin 2013年春夏メンズコレクション。
グラムロック・インフルエンスにアンダーグラウンドなナイトクラブ・カルチャーの影響を受けてのコレクションは、モノトーンにナロータイのLookからスタート。ハイウエスト・トラウザーにはノースリーブ・バイカージャケットなどを組み合わせ、ルーズシルエットを描くラウンドショルダーシャツは袖をロールアップさせてのスタイリング。シックでダークなカラーパレットに雨上がりのアスファルトのような光沢が与えられたランウェイショーは、アングラキッチュなサブカル要素をLanvinのアイデンティティであるエスプリによって上手くLookに落とし込んでいた感じですね。

多用されるジッパーやメッシュ素材はストリートウェアを示唆し、レザーバイカーやウインドブレーカー、トランスパレンシーなコートをシャツのように着るというアイデアもLanvinらしい提案でしたでしょうか。ナイロンにスネークスキンといった異素材ミックスもいつものように健在でしたね。

Tim Blanksが書くように、Lanvinのコレクションは常にクラシックな要素とハイテク要素といったようにある2つの要素の緊張関係によってドライヴされているのが特徴的かなと思います。つまり、ある1つの要素を全面的に押し出すというクリエイションはせずに、常にアクセルとブレーキが同時に踏まれている状態にコレクションはあるかなと。今回はストイックな要素とエアリーな要素が同居している感じがありましたが、ある見方をすれば突き抜けた何かが足りていないコレクションと言えるかもしれません。
相反する要素をクリエイションの契機とするならば、それを高次元で統合させる「止揚」がLanvinには求められている気がしたコレクションだったかなと思います。

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Dior homme 13SS Collection

"Light"という名を付けられたKris Van AsscheによるDior homme 2013年春夏コレクション。
12-13AWはアーミーがテーマでしたが、今回はマリーンがテーマとなりましたね。

カラーパレットはネイビーをメインにフィーチャーし、それに差し色としてコレクション全体をステッチのようにオレンジが走る。Kris Van Asscheが「テーラリングがDiorについてのすべてだと思います。それは、我々の伝統の核心です。」と説明するように、そして、Dior hommeのサファリジャケットを着てFront Rowに姿を見せたKarl Lagerfeldが「クリーンで良い仕立てであることが、正確にDior hommeがそうでなければならないことだと思います。」と自身の考えを述べたように、海軍から影響を受けるミニマルでエレガントなテーラリングを中心にコレクションは展開。ミリタリーの感化を受けたフォーマルなテーラリングはヴァンアッシュのクリエイションの根底に流れるスポーツウェア・エレメントに出会うことで自由な世界に解き放たれる。
ペンシル・ストローク・シルエットと呼ばれるストリームラインを描くシャープなカッティングの各Lookは、夏の青空や海のように心地良い空気を含み、ランウェイで目を惹くシルバーボタンにはブランドのサインとなるDiorのクレストがあしらわれる。

ノースリーブのダブルジャケットにリブレザーブルゾン、フロックやトレンチといったシンプルなコートにケーブルステッチによるセイラーストライプ・ニットウェア、トラウザーには2つのプリーツとフラップポケットの付いたスラックスが用いられ、ショーの中盤から後半に掛けて登場した型紙のパターンが描かれたジャケットやメッシュ織りのコートはコンストラクション・インサイドによっていつものようにアトリエワークがフィーチャーされる。

「私は革命ではなく、進化を信じます。そして、それは私が今シーズン成し遂げたかったものです。」というクリスの言葉が象徴するように劇的な地殻変動ではなく、クリエイションの連続性の中で進化を望むというのがミニマリズムを志向する創り手にはありますね。そして、これに関連して彼のシグネチャーのコレクションで話が出た各Lookの均質性という話題も気になるところ。ワントーンでスマートに纏めるのも良いですが、Lookによってはもう少し変化を付けた何かがあっても良いのかもしれませんね。

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Givenchy 13SS Men's Collection

"the cult of communion"がコレクションのスターティングポイントになったというRiccardo TisciによるGivenchy 2013年春夏メンズコレクション。
その他のキーワードとしては、BauhausやHoly Communion、そして、自身の(宗教的な)ルーツがあったようです。

ランウェイショーは、宗教的なイコノグラフィーをインスパイアしたグラフィック・プリントに直線的な鋭いテーラリング、それらをストリートウェアとミックスして展開。宗教性を帯びたグラフィックワークは、聖骸布を暗示させますね。ちなみにグラフィックの中には、さり気無く抽象的なMadonnaの顔が使われていたりします。
ブラックにホワイトやピンクのカラーパレットにサテンの光沢、トランスパレンシーな素材使い、アウターのブルゾンとインナー・シャツのグラフィックによるレイヤリングなど。ベストやエプロンは教会法衣をイメージしていますね。

モデルのキャスティングに関しては、Stella Tennant、Iris Strubegger、Saskia de Brauwといったウィメンズモデルが登場。ウィメンズモデルの方がLookの完成度が高いのは御愛嬌ですね。

Riccardo Tisciの宗教性を帯びたクリエイションは流石にとても安定していますね。Suzy Menkesもレビューで書いていますが、それ故に新しい展望が欠落しているとも言えるのですけれど。

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Comme des Garcons Homme Plus 13SS Collection

サウンドトラックにBlack Sabbathの"Iron Man"をセットして行われた川久保玲によるComme des Garcons Homme Plus 2013年春夏コレクション。テーマは、"Poor King"。

ランウェイショーは、オレンジ色の髪に巻かれたスタッズ入りのレザー・ヘアバンドを王冠に見立て、パジャマの上にカジュアルなジャージー素材などを用いたフロックコートを羽織るというアイデアを基点に進行する。インナーのバリエーションは、迷彩にタータンチェックやスノー・レオパード、ゴールドラメにステッチシャツなど。コートはバイカージャケットやダッフルコートのカスタムバリエーションを含む。

今回のコレクションは、そのままストレートに受け取ればかつての王族の末裔の物語といったところでしょうか。そうでなければ・・というのが彼女のクリエイションの面白いところですね。

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Kris Van Assche 13SS Men's Collection

ベーシックなアイテムであるシャツにフォーカスを当てて行われたKris Van Assche 2013年春夏メンズコレクション。
コレクションのタイトルは、"Tee"。

ホワイトにライトブルー、ワインレッドにベージュやブラックといったカラーパレットはアップビートでハイエナジーのショーにしかったというクリスの意図が反映されたもの。シンプルなホワイトシャツとそのレイヤリング、ショーツやハーフパンツは頭に被ったデニムキャップが示するようにスポーティーな空気を運ぶ。デニムはLeeとのコラボによる継続モノで、ショーの終盤で登場したバッグもいつものようにEastpakとのコラボによるもの。

スポーツ・チームのように見えたというクリスの発言にあるように、各Lookは初見ではどれもこれも同じような印象を受けます。彼はショーにおいて各Lookが同じように見えることが好きと話していますが、Dior hommeのショーにおいても多くのLookが似通っている理由はこの辺にありそうですね。ただ、初見では同じように見えるそれらも細かいディテールを見ていくと違いがあることに気付きます。クリスの説明によれば、ユニフォーミティ(均一性/画一性)というアイデアと同時にそこにパーソナリティが表出することが可能であることが彼は好きとのこと。

オフィスでもそれ以外の場所でも着ることができるシンプルなシャツ。いつでもどこでも自分の好きな服を着ていられるということが現代のリアルな男性の行為である、というのが彼のモダンな男性についての考えとのことです。

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Ann Demeulemeester 13SS Men's Collection

色彩が自分の世界に適合できることを証明したかったというAnn Demeulemeester 2013年春夏メンズコレクション。
彼女の説明によれば、ある種の自由の上で闇と光は出会う、とのこと。

ダークな世界に点在するディープパープルにオレンジやブルーといった豊かなカラー、そこにフラワー・ブロケードやオーニング・ストライプといったパターンをプラスし、ジャケットやブルゾン、コートを用いて構成されるコレクション。ジャケットの下からは柔らかいシルクの着物のようなローブが覗く。仄かに香るシルクロードの異国情緒は、その世界をHaider Ackermannのようなデザイナーと共有する。ほとんど全てのLookで見ることができたチェーンチョーカーや手の指に嵌めたリングは、さり気無いながらも静かに光を放つ。

いつものように聡明なロマンチシズムによって描かれる男性像は、洗練されていつつも少し風変わりで自分の中に強さを秘めている。カラーパレットの変動によってさえ、その美学は揺るがないことが証明されたコレクションが今回のコレクションと言えますね。

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Junya Watanabe MAN 13SS Collection

The Beatlesをサウンドトラックにセットし、ここ数年がそうであるようにブリティッシュ・ムードで行われた渡辺淳弥によるJunya Watanabe MAN 2013年春夏コレクション。

スマートでコンパクトに纏められた3Bやダブルの軽さのあるライトジャケットは、エルボーパッチやポケットトリムにステッチといった細かいディテールが光る。淡いブルーやピンクのカラーパレットにPaul Smithのようなフラワープリント、ギンガムチェックにマリンテイストのボーダーストライプ。コレクションは、よりカジュアルな装いを見せるデニムジャケットやパーカを加える。ボトムには小気味良いバミューダショーツ、足元の素足にキャンバス・スニーカーは爽やかでクリーンな雰囲気をLookに与える。

彼のメンズコレクションはモードでなくなって久しい感じがしますね。既に確立された美しさの再評価や再発見は理解できますが、対象とする範囲の狭さが気になるところ。メンズウェアはウィメンズよりもデリケートとは言え、小さくまとまって欲しくないかなと。時代の空気がそうさせるのかもしれませんけれどね。

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Yohji Yamamoto 13SS Men's Collection

ファイトクラブのようにメイクによってアザや傷を顔に描かれたモデルがウォーキングする形で行われた山本耀司によるYohji Yamamoto 2013年春夏メンズコレクション。

ブランドのサインであるオーバーサイズシルエットが空気を含み、ファブリックに運動をさせることによって暑い夏の日に一服の清涼感を運ぶ。テーラリングに袴のようなバギーパンツ、カーディガンに膝丈のロングシャツ、ハンカチーフ・プリントにランウェイに点在するオレンジやブルーの劇的な色使い。

Style.comではショーのオーディエンスにアメリカ人エディターがとても少なかったこととコレクション自体がヨウジを真似ているヨウジのような感じがした、とレビューされていますね。いつもと変わらないティピカルなYohji Yamamotoのコレクションでしたが、もう少しサプライズが欲しいという意見は個人的には賛成です。リスクを取らないクリエイションが世界を変えることは決して無いのですから。フィナーレで登場した山本耀司の顔にも傷のメイクがあったことと、背中に"FOR SALE"というプリントがあったのは思わず笑ってしまいましたけれど、ね。

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Rick Owens 13SS Men's Collection

空へと伸びる光の柱をランウェイの奥にセットして行われたRick Owens 2013年春夏メンズコレクション。
ランウェイショーのBGMは、Matthew StoneによるサウンドトラックにリックのパートナーであるMichelleがLangston Hughesの詩を朗読した声をミックスしたもの。今回のコレクションはインパクトのある何かをフィーチャーするというよりは、リックのシグネチャーとなる各要素を適切に配置をして行われた感じがありましたね。昨シーズンは"Mountain"というキーワードがありましたが、今回は"Island"とのことです。

オーガンザのようなシアーなジャケットなどのテーラリング、古代ギリシャの女性が着用していたペプロスや僧侶のローブ、ストライプとドローコードがスポーティーなアノラック・パーカ、フロア丈のワンピースドレスにノースリーブのレザーブルゾン、ジオメトリックパターンを用いた膝丈のジッパーブルゾンにスカートなど。目を惹いた要素としては、スニーカーではなく、ルーズなレッグウォーマーに無骨なクロッグを合わせていたのが個人的には面白かったですね。

Rick Owensにしてはラディカルな要素が少なく、とてもリラックス感のあるコレクションでしたが、これはこれでウェアラブルで良かったかなと思います。彼のような創り手の場合、作品がリアリティを持つことは必ずしも悪いことではないと思いますので。

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Raf Simons 13SS Collection

Christian Diorのデザイナーへの就任が自身のクリエイションのルーツについて考えさせるきっかけになったという、Raf Simons 2013年春夏コレクション。ストリートにおけるユースーカルチャーやミュージックシーンのカウンターカルチャーをインスピレーションソースに若者を描くコレクションから始まったRaf Simonsのクリエイションは、この17年の間に紆余曲折を経て成長を遂げることになる。

スナップボタンを用いたテーラリングにスリットの入ったショーツ、Raf Simonsが作品を収集していたというロサンゼルスをベースに活動するBrian Calvinのアートワークをフィーチャーしたカットソーやスモックトップ、90年代を想起させるレトロフューチャーなスニーカーなど、自身のルーツとなる初期のモチーフにJil Sanderでの経験から得られたミニマリズムとモダンアート・エレメント、そして、Christian Diorへと繋がるクチュールへの言及によるフェミニティの表現がメンズウェアの上で融和。
プリーツやフラワープリントといったミニドレスの要素を後身頃に備えたコートはラフがインタビューで答えているように川久保玲のComme des Garconsのようでもありましたが、二人のクリエイションは思案プロセスがそもそも違うかなと思います。Raf Simonsはミニマリズムを通してクチュールへと到達し、それをメンズウェアに連結しましたが、あくまでもマスキュリニティとフェミニティを一つの服の中でバランスさせようとしているように見えます。

新しい何かを発見するために2つの異なる側面を使いたかったというコレクションは、ミニマリズムとモダンアート、青年の青春期の中性的なセクシャリティとオートクチュールを起源とするクラシカル・フェミニティなど、Raf Simons自身の過去と現在を融合して未来を描くことに注力したコレクションでしたね。

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