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Berluti 19-20AW Collection

2018年4月にKris Van AsscheがBerlutiのアーティスティック・ディレクターに就任。6月の2019年春夏コレクションのランウェイショーを開くには時間が足りないことをCEOのAntoine Arnaultに相談したところ、彼もそれに同意したという。Berlutiはハイエンド・ラグジュアリーであり、そのレベルを維持するためには時間が必要である、と話すヴァンアッシュは彼に感謝を表している。

その後、ヴァンアッシュは2019年春夏シーズンのためにカプセルコレクションをデザイン。11月にはプレフォールコレクションを制作したという。よって、Berlutiのアーティスティック・ディレクターに就任して初のランウェイショーとなった今回の2019-20年秋冬コレクションは、Berlutiでの彼の3番目のコレクションとなる。

Opera national de ParisのOpera Garnierで行われたデフィレは、ブラウンのパティーヌ・レザースーツで幕を開ける。パティーヌの色の濃淡、ステインの揺らぎがコレクションのベースラインとなり、シルエットはDior homme時代に比べるとややリラックスした印象を持つ。ダブルブレストのジャケットはショルダーとウエストシェイプが目を惹き、パンツの裾にあしらわれたジッパーやインナーから顔を出したフーディーがトラディショナルなテーラリングにスポーティーな印象を与える。
ブランドロゴと創業年が描かれたカラフルなモトパンツは飛び道具的であり、アクセサリーのセーフティピンに付いたタッセルはローファーを想起させ、首から提げたシューホーンはBerlutiらしい遊び心。

描かれる男性像に関して、Dior hommeでは若者が中心であったのに対し、ヴァンアッシュがインタヴューで話しているように年代は幅広く、特定の年齢層に特化したものではなくなっている。AndyやAlessandroといったBerlutiの古典をフォーマルな方法ではなく、よりリラックスした、そして、より現代的なファッションとして再発明すること。これらのヴァージョンは父親から息子の世代まで、幅広い年齢層の顧客を喜ばせることができるかもしれない。彼は年齢に縛られない、特定の感性を養う全ての男性とコレクションを通してコミュニケートしようとしている。

人種も白人から黒人、アジア系のモデルまで多様であり、そして、前任者のHaider Ackermannがそうであったように、ブルーのリブニットドレスやメンズモデルと同様のアウトフィットを着たウィメンズのモデル(Alek WekやMalgosia Bela)が登場。同じようなLookでもウィメンズのLookの方が完成度が高いのは、やはりファッションは女性の方が間口が広く、メンズの方がセンシティヴであることを感じさせる。

足元を飾るAlessandroやホワイトスニーカーはメタルトゥとなっており、コバも多角形的にカットされているのがコンテンポラリーな雰囲気を漂わせる。ウィメンズのモデルが履いているAlessandroはピンヒールにカスタムされている。

ショーのステージとしてオペラ座を選んだことについてヴァンアッシュは、オペラがBerlutiとは何か?を象徴しているのだと話す。オペラとは最も伝統的な文化形式であり、オペラにはクラシカルなミュージックとバレエがあるが、コンテンポラリーなダンスも含まれており、そしてそれらは異なるタイプの聴衆を惹き付けるのだと。クラシック(Alessandroやテーラリング)とコンテンポラリー(ハイテクスニーカーやパーカー)の両側面を包摂することが彼の目指すBerlutiである。

昨今、多くのブランドがコラボレーションを行っているが、最初の本当のコラボレーションとはデザイナーとブランドの間にあるものだと彼は話す。デザイナーのアイデンティティとブランドの長い歴史の中で受け継がれたDNAが出会うためには、デザイナーはアーカイヴにダイヴする必要がある。アーティスティック・ディレクターを11年間務めたDior hommeがムッシュ ディオールについて多くのアーカイヴを持っていたのに対し、Berlutiはそうではないため、空白のページの前にいることに少し怖さを感じたという。逆にそれは、新しいスタイルと新しいシルエットを開発することが可能であるとも言える。

Diorはアトリエやサルトリアルのノウハウを起点にブラックスーツから全ての仕事が始まるとすれば、Berlutiは基本的にシューメーカーとしてのノウハウからであり、靴を起点としてボトムス、トップスといったようにLookの下から上に上がっていくと彼は説明する。
Berlutiの靴がつくられているイタリアのフェラーラにあるManifattura Berlutiに飛んだ彼は、ファクトリーはとても近代的であり、洗練されていたが、伝統的な手仕事がプロダクトの鍵となっていたと説明する。超近代的な機器とハンドクラフトの感性、そのコラボレーションがBerlutiのハイエンド・プロダクトを実現している。

ヴァンアッシュがファウンダーの子孫であるOlga Berlutiと話した際、Berlutiが描く男性像とは「ラグジュアリーな放浪者」(L'homme Berluti est un vagabond de luxe.)なのだと彼女が言ったことから、Berlutiとは自由についてであると彼は解釈する。
多くの人々がラグジュアリーメンズウェアは時間に限定されないタイムレスなものであり、よってニュートラルで代わり映えのしない型に嵌ったものであると考えているが、ヴァンアッシュはBerlutiがハイエンド・ラグジュアリーでありつつも、本当に目を惹くファッションであり得ると確信している。Berlutiの靴がストリートで街行く人の目を奪いたいと思った顧客を誘惑したように、ラグジュアリー(時間の制約を受けない型に嵌ったもの)とファッション(時間の制約を受けるが自由なもの)は相反するものではないとOlga Berlutiは話している。

Kris Van AsscheがDior hommeのアーティスティック・ディレクターに就いたとき30歳だった彼も現在は40歳を超える。
長年在籍したDiorという快適な空間から抜け出して、自分自身を危険にさらし、新しい挑戦を望んだという彼の選択。新天地での彼の進化と新しい感性に出会ったBerlutiがどのように変わっていくのか、今後に期待したいですね。

via vogue.com businessoffashion.com

Discover the First pieces of Berluti by Kris Van Assche

Kris Van AsscheによるBerluti 2019年春夏カプセルコレクションがオフィシャルサイトにアップされていますね。
個人的に目についたのはブランドタグで、写真のように縦長になっているようです。

素材感等は手に取ってみないと分かりませんが、全体的に価格帯はDior homme時代とあまり変わらない印象です。
スクリットを用いた上記のシャツはコットンではなく、シルクだったんですね。