This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Dolce & Gabbana 12SS Collection

Sophia Lorenの"MAMBO Italiano"をサウンドトラックにセットして行われたDomenico DolceとStefano GabbanaによるDolce & Gabbana 12SS Collection。コレクションのタイトルは、"Bread, Love and Italian Beauty"。フロントロウには、Scarlett Johanssonを招待しての開催。

ランウェイショーの前半はトマトにズッキーニ、レッドペッパーにナスといった彼らのルーツとなるイタリアンな食材のプリントを多用したプリンティング・コレクション。イタリア南部の田舎町、若く健康的な女性像、ホットでセクシーなシチリアの夏の精神、ノスタルジーとしてのバスケットバッグにボリュームのあるギャザースカート、パスタとガーリックのイヤリングはファニーで陽気な気分を運ぶ。
後半からイヴニングに掛けてはブラックを中心としたカラーで、レースやジュエリーで飾られたドレスにブランドのサインであるコルセットモチーフのドレスでまとめていましたね。

今回のコレクションはDolce & Gabbanaとしてはセクシャリティがかなり薄く、ちょっと気が抜け過ぎのような感じがしましたがどうでしょうか。tFSでも書かれていましたが、終了が発表されたD&Gっぽくもあったかなと。春夏のコレクションとは言え、もう少し彼ららしいフェティッシュさがあっても良かった気がしますね。
Look毎にスカートの丈が上下するなど(それによって描かれる女性像の年齢が変化する)、全体的にランダムな印象を受けたところも個人的に気になったところです。

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Jil Sander 12SS Collection

過去2シーズン続いていたトラディッショナルなクチュールコードへの言及、そのクチュール三部作の最終章として提示されたRaf SimonsによるJil Sander 12SS Collection。モダンな雰囲気のランウェイはJacques Tatiのコメディ、"Mon Oncle"からの引用だったようですね。
コレクションのインスピレーションソースは、ブランドのヘリテージへのセンシティビティー。それに加えて、ビューティーパーラーやスパなどにおいて女性が女性を美しくするという行為についての考え(女性が他の女性に何を与え、何を他の女性から得るのかについて)とその社会的関係性。そして最後は、マリアージュ。

ミニマリズムにモダニズムとクチュールの概念を組み合わせ、50年代の空気感に包まれたランウェイショーはフルホワイトのLookからスタート。グリーンやブラック、ブルーにピンクなどのカラーを含ませながらショーは進行し、パターンにはペイズリーやギンガムチェックが登場。ニットにはモダニズムの象徴として、Pablo Picassoの陶芸からのイラストレーションが描かれていましたね。Stephen Jonesによるベールをかけたビーニーは、抑制の効いた女性像にエレガントさをプラス。Erickson Beamonとのコラボレーションによるブローチとイヤリングは、控えめながらも静かに美しく女性を飾る雰囲気が良かったかなと思います。ランウェイショーの最後に登場したホワイトシャツの(ウエディング)ドレスは、今回のコレクションのテーマが凝縮されていましたね。

ソフィスティケートされたシンプルさを伴ってモダンで知的に描かれる女性像。Jil Sanderの服とは、その知性を纏うということと言っても過言ではないでしょう。ブランドのヘリテージを巧みに操り、完成度の高いコレクションを毎回提示できるRaf Simonsの手腕は素晴らしいの一言ですね。

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Versace 12SS Collection

ブランドのレガシーなアインデンティティとしてのギリシャ神話に登場するセイレーンやマーメイド、それらのセクシャリティについて考えていたというDonatella VersaceによるVersace 12SS Collection。ドナテラによれば彼女自身とジャンニが好きだったすべてについてのこのコレクションは言わば、新旧のヴェルサーチ・ミーティングとのこと。

水面に反射した光がモデルを浮かび上がらせるかのような演出のランウェイに、ホワイトをベースにした淡いパステルトーンにブラックを加えたカラーパレット。貝殻やスターフィッシュ、シー・ホースといった海洋生物のモチーフを散りばめて、ネオプレンによるブラトップやショーツ、ゴールドのスタッズとジッパーを組み合わせたバイカージャケットなどが登場。
ミニドレスにもラインストーンのようにスタッズを打っていたのは、このコレクションがセクシーな方向性でのフェミニティとクールネスに関するものだったからですね。甘くなり過ぎず、ハードになり過ぎず、その二つのバランスの上でデイウェアは構成され、イヴニングのドレスに至っては(Christopher KaneがSandro Botticelliの名前を出してコレクションを評したように)ヴィーナスのように描かれていたのが印象的だったかなと思います。

ルーサイトのプラットフォームサンダルとロング丈のドレスが歩き辛かったのか、1st Lookを務めたLindsey Wixsonがショーの後半で転んでしまっていましたね。すぐに復活したようですけれど・・笑。ショーではモデルがぶつかりそうになりながら歩いていたのも気になったところです。

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Prada 12SS Collection

ガレージや駐車場のような雰囲気のショー・スペースをランウェイとして披露されたMiuccia PradaによるPrada 12SS Collection。ピンクのペンキによって汚された床やオーディエンスシートの抽象的な車など、ショーステージはいつものようにRem KoolhaasのOMAによるものですね。

今回のコレクションの主要な概念は、イタリア語で「女性と車(のエンジン)」を意味する"Donna e Motori"とミウッチャの"I wanted to make sweet acceptable, for sweet is a very bad word in fashion,"という発言があったように、ファッションにおけるタブーとしての"sweetness"への言及。それらを50年代のノスタルジアの空気に乗せて描いたといった感じですね。コレクションにはいつものように、彼女のユーモアと気まぐれな感受性が満ちていたかなと思います。

FWDで書かれているように、ミウッチャ自身をミューズにしたかのようなモデルたち。薔薇とクリスタルのイヤリングを付けて、僅かにワックスの塗られたヘアスタイルはGuido PalauによるレトロなPrada girl。ベビーブルーにピンクやイエローをカラーパレットに、古き良き時代のウォールペーパー・フラワープリント。ラウンドショルダーのコートにカートゥニッシュなカーイラスト。アコーディオンプリーツのスカートにチューブトップ。シューズにもファイヤーパターンをあしらって、ラインストーンによるデコレートは服だけでなくバッグにも。ドレスのLookを排除した今回のコレクションは、リアルを意識してアクセシブルにするという意図があったようです。

ある時代におけるフェミニティの定義と幸せのモデルケース。その象徴として描かれる女性とメタファーとしての車。社会において女性はスウィートでなければならないのか?それともそれは選択であるのか?という問いと今日的な意味合いでのフェミニティとは?という命題に対する考え。
社会と服と人との関係性の上には意味が存在し、そのコードをアイロニカルに組み替えて鮮やかに女性の本質を描くことを試みるという方法論は彼女ならではですね。

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Gucci 12SS Collection

20年代インフルエンスとアールデコ・インスピレーションによってドライブされたFrida GianniniによるGucci 12SS Collection。Gucciは今年でブランド創設90周年を迎え、日本でも6月末から7月に掛けてアーカイブ展が金閣寺で行われましたが、9月28日にはフィレンツェのPalazzo della Mercanziaに"Gucci Museo"をオープンさせますね。

ランウェイショーはテーラリングとフラッパードレスをメインに据えての展開。フリーダによるとマニッシュなボーイッシュパートはNancy Cunardを、セクシーなガーリッシュパートはLouise Brooksをイメージしていたようですね。スクウェアなシルエットのクロップドジャケットによるLookはウエスト位置が高く、逆にドレスはドロップウエストだったのも面白いコントラストだったかなと思います。

シャイニーでメタリックなゴールドをアクセントに、幾何学的なアールデコ・グラフィック(20年代の建築物やニューヨークの摩天楼などからインスピレーションを得ている)が多用される"Hard Deco"なコレクション。描かれる女性像はクリーンでサバサバした数学的な美しさと鋭さを伴っているのが彼女らしい感じですね。プリーツやタキシードストライプも、その直線性がコレクションの雰囲気に上手くマッチするように使われていたのが特徴的。ゴールドのタイガーヘッド・バックルにチェーンストラップ、房飾りと共にプリントされたエクエストリアン・グラフィックはブランドのヘリテージへの言及ですね。

ここのところ続いていた大人しめなトーンから少し変化があったのは良いと思いますが、基本的にはバリエーション違いであって、アイデア(考え方)違いまでは到達できていない印象が強かったかなと思います。この辺はCathy Horynが指摘していますね。Gucciのコードをトレースするだけでなく、願わくば新しいものを見せて欲しいといったところでしょうか。

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Burberry Prorsum 12SS Collection

Christopher BaileyによるBurberry Prorsum 12SS Collectionはメンズコレクションと同じく、クロッシェなどのハンドクラフトにフォーカスを当てたもの。コレクションのスターティングポイントは英国人アーティストのHenry Mooreのブロックプリントのテキスタイルから。

クラフトマンシップを賛美する民族調の幾何学的なパターンにラフィアやストリングビーズ、それらをキーとしてカラーパレットにオリーブなどのアースカラーを用いて描かれるシックな女性像。膝下丈のタックプリーツスカートはクラシカルで落ち着きのあるフェミニンな香りを運んでいました。シルエットはタイトなドレスからボリュームのある構築的なパーカーコートまで。カマーバンドは多くのLookでアクセントになっていましたね。ポンポン付きのキャップは力の抜けた雰囲気が意外にもLookに合っていた感じ。クロップドされたコートの変形型ボレロは今回も登場、ということで今回も10-11AWシーズンからの流れを汲むコレクションでしたね。
"Joyous, upbeat, nostalgic"というキーワードが意味するように、豊かなテクスチャーと色に戯れるコレクションは正にそのような感じだったかなと思います。

Wendy Roweによるナチュラルなメイクアップは、"Classic Burberry girl"を表現したとのこと。Neil Moodieによるヘアスタイルは髪が服を負かさないように、控えめに少しだけ動きを付けるだけにしたようです。

時間を掛けてアルチザンの手によって作られるアイテムとコントラディクションを成すデジタルメディアのスピード。その二つは共存することができるというChristopher Baileyの言葉がありましたが、どちらか一方だけが重要であるということではなく、その両輪を上手く使ってドライブしているのが今のBurberryといった感じですね。

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Christopher Kane 12SS Collection

10代の女の子のベッドルームにあるウォールステッカーのようなフローラルプリントをフィーチャーしたChristopher Kane 12SS Collection。フワラーパターンは10-11AWでもあったアイデアですが、今回は明るくスポーティーな方向性での使い方ですね。日常生活の中にある既存のアイデアや時代遅れになってしまったものに再び息吹きを吹き込むことで、モダンにリビルドさせようとする試みが彼のコレクションにはあるかなと思います。そしてそれらのアイデアは基本的にミニドレスと組み合わされて女性を描くことに使われますね。

パステルメタリックをカラーパレットに、ブロケードを用いたフロックは折り紙のようにカットされたフラップが特徴的。Cathy HorynやSHOWstudio.comのAlex Furyが"Sports Couture"と今回のコレクションを評していましたが、そのような雰囲気も少しありましたでしょうか。
クリケットセーターにJ Brandとのコラボレーションによるデニム、フラワーのアップリケの付いたアルミニウム・オーガンザにAラインを描く構築的なスカート。簡素でフラットなサンダルをドレスに合わせるというアイデアはChristopher Kaneらしい感じでしたね。彼のコレクションで描かれる女性像は少しだけ幼さを伴っているといつも思うのですが、ドレスにサンダルというのも少女の無邪気さみたいなものを表している感じがして面白かったかなと思います。

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Marc Jacobs 12SS Collection

南部地方のダンスホールの雰囲気が欲しかったというMarc Jacobsの発言があったように、キャバレーのようにゴールドのカーテンウォールが開くという演出でスタートしたMarc Jacobs 12SS Collection。今回はハリケーンの影響でスケジュールの変更もあり、New York Fashion Weekのクローザーを務める形になりましたね。

プラスチック・スパンコールにフィルムやポリエステルといった透明度と光沢のあるマテリアルを多用し、パターンにはギンガムチェックをフィーチャー。フリンジ付きのフラッパードレスにスウェットシャツ、シャンブレースーツにスプリングコート、カシミアセーターにアンクルがトランスパレンシーになっているカウボーイブーツなど。手に持ったバッグやソックス、ヘッドバンドも各Lookに上手く組み合わせられていた印象がありましたね。カーディガン・ジャケットはVogue.comでHamish Bowlesが書いているようにChanelフレーバーがあり、全体的にはtFSなどでも書かれているようにPradaの影響があった感じ。レトロなシルエットを合成繊維で現代化し、20年代をその多くのリファレンスとしつつも、他の年代ともミックスしていた印象です。

フレッシュで若さのあるコレクションはスマートにクセも無くまとめられていますが、逆にそれは作家性が不足しているとも言えますね。何か一つのアイデアにフォーカスしてそれを反復し、先鋭化させ、純化するという試みによって構築された確固たる美意識と世界観を持つというステレオタイプで古典的なデザイナーではなく、移り気で飛び道具を多く使うヒップなデザイナーとしてのMarc Jacobs。Diorの後任デザイナーとしての交渉は続いているようですが、こちらの行方も気になるところです。

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Ralph Lauren 12SS Collection

"The Great Gatsby"に代表される1920年代から影響を受けたRalph Lauren 12SS Collection。"The Great Gatsby"といえば来年、Leonardo DiCaprio主演で映画がリメイクされ、少し前にはGemma Wardが出演することが話題になっていましたね。
Ralph Laurenによれば今回のコレクションを制作している間、彼の息子のDavidがLauren Bushと、そして、娘のDylanがヘッジファンド・ファウンダーのPaul Arrouetと結婚したこともコレクションに若干の影響を与えているに違いない、とのことです。

淡いパステルトーンのカラーパレットにシフォンやシルクサテンの柔らかなタッチで描かれる女性像はシンプルでありながらカジュアルな方向性ではなく、エレガントさを保持していましたね。優雅で優しい素材を用い、それによって体を包み込むようなイメージ。
ジョーゼットブラウスにラフィアを用いたプラットフォーム ・サンダル、フリンジ付きのバッグにデリケートなスカーフやクローシュ帽、マスキュリンなホワイト・ピンストライプのダブルジャケット、バイアスカットのドレスはドレーピングが美しく、オーストリッチフェザーによるデコレートはいやらしさの無い使い方でラグジュアリー感を演出していましたね。

Ralph Laurenがペインティングのように見えるメイクを望んだというTom Pecheuxによるメイクアップは、グローリーではなく、マットな質感で洗練された女性をフレッシュに表現。Guido PalauによるヘアスタイルはLauren ladyに似合うクラシック・ポニーテールということでテールの結び位置をそれほど高い位置にせず、あまり若く見えないようにスタイリングされており、そこにはクラシカルでイージーなエレガンスを表現するという意図があったようですね。

古き良きアメリカをクラシカルでロマンチックに描くというブランドアイデンティティを表明するようなコレクションは安定感があり、見ていてとても安心できる安らぎがあったかなと思います。過去や想い出は美化され、前に進むことを阻害する要因として働くことが多いのでそういったものは理性によってコントロールされるべきものだと思っているのですが、ただ少しの間だけそういった世界に浸たることも悪くはないと感じさせてくれるRalph Laurenらしいコレクションだったかなと思いますね。

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Alexander Wang 12SS Collection

"The idea of living life on the edgy."という女性についてのアイデアを出発点にしてクリエイトされたAlexander Wang 12SS Collection。
BMXやNASCARレースといったモータサイクルスポーツからインスピレーションを受け、ストリート感とスポーティさを組み合わせて展開されたコレクションは、エッジの効いた雰囲気の中にもガーリーな要素があったのが彼らしいですね。逆に言えばエレガントさがほとんど無く、コンパクトにストリートウェアとしてまとめられているとも言えるでしょうか。

レーザーカットされたメッシュ素材に多用されたジッパー、ショーツやタイニースカートと組み合わされたポケット付きのペプラム・スポーティウェア、ボタニカルプリントにインタルジアパターンのモーターサイクル・オールインワン、リトルボディコンのミニレザードレス、スタジアムの座席表をモチーフにしたトライバルパターンがあしらわれたシアー・ジャージーとインナーのスウィムウェアなど。
レザースカーフやメッシュ素材のヘッドスカーフ、モーターサイクル・ヘルメットにゴルフバッグから影響を受けたバックパックも気になった感じですね。ストラップの付いたポインティシューズはStyle.comで90年代のようだと書かれていましたが、Versaceっぽい雰囲気が少しあったかなと個人的には思いました。ここまでストリートでスポーティなコレクションであればパンプスである必要性もあまりなかったのでは?とも思いましたけれど、あえてそこは女性性を残した感じでしょうか。

今年2月に旗艦店をニューヨークにオープンしたAlexander Wangですが、来年早々には北京に2店目をオープンさせ、その後はアジアとヨーロッパで更に7店舗をオープンさせる計画があるようですね。背負うものが増えてくると必然的にそれはクリエイティビティに影響を与えることになる訳で、ビジネスとの両立という部分はデザイナーとしての宿命でもあります。出世コースをひた走る彼が向かっている場所はどこなのか、というのも気になるところですね。

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Jason Wu 12SS Collection

まずはNew Yorkということで、2012年春夏コレクションはJason Wu 12SS Collectionから。
Alex de Betakのプロデュースによるホワイトのプレートを重ねて造られたステージをランウェイとして行われた今回のコレクションは、スポーティな要素とオートクチュールの要素をミックスしたもの。"mix something a little funny with haute couture shapes."という発言がJason Wuからありましたが、クチュール感を上手く用いてエレガンスなどを表現するというのが彼のコレクションにおいては一つの大事な要素になっていますね。新しい方法によるエレガンスへの回帰、というのもテーマとしてはあったようです。

ブラック、ホワイト、グレーにアイボリーをベースとしつつ、バブルガムピンクやイエローグリーンにブルーを交えたカラーパレット、モノクロのフラワープリントにはポップアーティストのKAWSのグラフィティを加えて、曲線を描くショルダーとペプラムが特徴的なクチュールウェアに、軽さを与えたナイロン・ウインドブレーカーやショーツといったスポーティ・エレメント、Tom Binnsとのコラボレーションによるチェーン・イヤリングとシルバーなどにデコレートされたシャツの襟、足元を飾るのはアンクル・ストラップのスティレット。
今回はテーラリングの要素がとても少なく、デイウェアからイヴニングまでライトウェイトでスポーティなドレッシングにフォーカスして構成されていましたね。ちなみに各LookのスタイリングはKate Youngによるものです。

Odile Gilbertによるブラック・フェザーによって装飾されたヘアスタイルは50年代のGrace Kellyから影響を受けたもので、普通のシニョンにしてしまうのはあまりにもオールドファッションだったため、よりモダンにするために今回のような感じになったとのこと。ヘアスタイルにはフェミニンでボーイッシュな印象が確かにありました。
Diane Kendalによるメイクアップはオプティミスティックなネオンオレンジのリップが目を惹きましたね。細かいところですが、ネイルと対にされていたのがとても効果的で良かったと思います。

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Interview with Karl Lagerfeld by Style.com

Style.comのKarl Lagerfeldのインタビューから気になった部分を少しだけ。
Macy'sとのコラボレーションの話題からインタビューは始まりますが、カールがコラボレーションするかどうかを決める要因にはただの名義貸しではなく、自分の管理下においてそれが実行できるかどうかというのがあるようです。Karl LagerfeldのアプローチはPierre Cardinとは真逆である、というように書いた記事をカールはどこかで目にしたようで、それは最大級の褒め言葉だね、と話していますね。カールにとってただのライセンス(名前)に意味は無い、といったところでしょうか。

そして個人的に面白いと思ったのが、最近はiPhoneとiPadを使ってコレクションのスケッチをしているというお話。カールは描いたLookのスケッチをFaxで送信するのが普通なのですが、コンピューターやインターネットが好きではないとしつつも、iPadでスケッチするのが最近のお気に入りのご様子。どんな感じなのかデジタルデータをちょっと見てみたい感じがしますね。

Vogue Japan 10月号のFlorence Welchの撮影については、Photomaton(証明写真ボックス)を使ったという話をしていますが、これは誌面で言うとP.130,131の写真を指している感じでしょうか。証明写真のアイデアはChanel 11-12AW AD Campaignなどでも使っていたりするので(PHOTOMATONではなく、COCOMATONになっていますね)、こちらも気に入っているようです。

相変わらずカールは忙しい日々を送っているようで、What's next?で答えているCarine Roitfeldとの撮影の話も気になるところ。インタビューの最後は彼の好きなゲーテの言葉"to make a better future, with a large element of the past."についての話で終わっていますが、ピックアップしなかった他の話題も面白いので時間のある人は元記事のインタビューを読んでみると良いかなと思います。

"Hearts and Crafts" Hermes Documentary

Hermesを支えるアトリエで働く職人たちにフォーカスを当てたドキュメンタリー作品、"Hearts and Crafts"。
銀座のMaison Hermesの10階にあるLe Studioでも9月30日からドキュメンタリーフィルム特集が始まるようで、"Hearts and Crafts"も10月1日から観賞できるようですね。

映像はスカーフやバッグの制作風景、ジュエリーやガラス工房などの様子を職人たちのインタビューを交えて紹介していく内容になっているようで、各パートのトレーラーはFull Frontal Fashionで見ることができます。でも、本編映像のほとんどがRackedの記事にエンベットされているbrightcoveで観ることができたのでこちらの方がオススメです。
視聴の仕方は、エンベットされているbrightcoveの右下のMENUをクリックして、Newestをクリックすれば、"Hearts and Crafts (Full Doc - Part1)"といった感じでPart7まで映像がアップされているのがわかるかなと思います。ただ、各映像は微妙にカットされているので完全版を観たい方はLe Studioに電話予約をして足を運んだ方が良いですね。日本語字幕もあるようですし。

多様な人たちによってHermesのプロダクトが生み出されていく風景を静かに捉えたこのドキュメンタリー映像はHermesというブランドのもう一つの側面を教えてくれていて、とても面白いですね。ランウェイショーのドキュメンタリーやバックステージ・フォトグラフィーもそうですが、物事の裏側に迫る作品というのはとても興味深く、心惹かれるものがあるかなと思います。