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Kris Van Assche Interview - Work from Home, POST-COVID-19 Fashion Industry and more.

HIGHSNOBIETYでのKris Van Asscheのインタヴュー記事。
COVID-19の流行下において彼もワークフロムホームを行っており、Berlutiのデザインチームとはリモートで業務を行っているようですね。

クリスはこれまで自身のブランドとDior Homme、そして、Berlutiといったように常に1つ以上のオフィスを持っていたため、自宅にオフィスを持ったことは無かったとのこと。しかし、今はこれまでとは別の状況にあり、プリンタや基本的なものを購入し、最初の一週間はちょっとしたドラマだったと述懐しつつ、ワークフロムホームができるように自宅に環境を整えたようです。

彼にとって自宅とは、パソコンや机の前に座って仕事をするというよりも、考え事をしたり、調べものをしたりできる場所であるとのこと。自宅には大きなライブラリー(おそらくデザインやファッション、アート関連の資料ですね。)がありますが、平日はあまりそれらを見る時間はないようで、自宅はオフィスというよりも個人的な内省の場であると話しています。そして、時々、休憩を取ることを義務付けるのも非常に重要であると言い、週末は週末として、夕方は夕方として過ごしたいと述べていますね。

ロックダウンの影響で多くの人々がインテリアやホーム用品に注意を向けている状況において、タイミング良く最近、ロンチされたBerlutiのホームウェアラインは奇妙な偶然を感じるとのこと。Pierre Jeanneretの作品を彼は数年前から収集しており、Pierre Jeanneretがインドのチャンディーガルのためにデザインした1950年代の非常に鮮やかな色を使った作品が彼のプレタポルテの可能性を広げたと言い、色に夢中になっている理由はそこにあると説明しています。

既に存在するものを再考するというアイデアは多くのデザイナーがメンズウェア・デザインにおいて行っていることであり、クリスが自身のシグネチャ・ブランドをしていた時、彼は白シャツのデザインに挑むことを(白シャツはクラシックだったので)恐れていなかったと話しています。しかしながら、クリスはいつも「僕らは男性に新しい白シャツを買うよう説得しようとしている。」と言っていたと回想し、本当に良い白シャツを提案することを試みていたと話しています。

オーセンティックなデザインに基礎を置く彼のクリエイションスタイルですが、だからと言って彼がエクストラバガンザやアヴァンギャルド、あるいは他の様々な異なるクリエイションスタイルを評価することができない(それらに興味が無い)ということを意味しないと話しつつも、「でも、これが僕という人間なんだ。」と自身のクリエイションを語っています。

今後(ポストコロナ)、ファッションがどこに向かうかについては、もはやファッションは1つの次元だけを持つのではないと話しています。

「世界がロックダウンによって活動を停止した結果、地球環境が如何に改善されたかを耳にしたことがあるでしょう。それに一部の人々は興奮し、これから人々は消費を抑え、より良い消費をし、より環境に注意を払うようになるだろうと考えています。私はそれが事実であって欲しいと願っていますが、今回の出来事がそんな大きな変化をもたらすかどうかは分かりません。」

「私が思うのは、異なるブランド間の違いを強調するだけかもしれないということです。いくつかのブランドは失われた時間を埋め合わせるために、できるだけ多くの製品を持って、できるだけ早くワゴンに飛び乗って何でも売ろうとするでしょう。しかし、いくつかのブランドは、品質を重視し、長く使用でき、地球環境に配慮し、プロダクトを生産する人々に敬意を払うという事実によりフォーカスを当てると思います。」

彼の考えは冷静で現実的であります。COVID-19によって消費行動が変わるかどうかは未知数ですが、多くの人々が自分たちの欲望を制御し、短期的な自分の利益よりも中長期的で利他的な自分たちの次の世代のことまで考えた上で消費をすることは、これまでがそうであったように現実には難しいと言えるでしょうか。COVID-19の終息具合にもよりますが、喉元過ぎれば熱さを忘れるになる可能性もあるでしょうね。

しかしながら、サステナビリティやインクルージョン、エシカルといった国連のSDGsに沿った大局的な時代の流れは確実に存在します。身近なところで言えば、日本においても2020年7月1日からレジ袋有料化が始まるように時代の流れは我々の生活に半ば強制的に変化を求めるというのも事実であります。

そして、クリスの言うように、時代の変化に対応できるブランドとそうでないブランドの2極化という話は、今回のCOVID-19が時計の針を進める役割を果たしていると言えるでしょうね。

少し前にVanessa Friedmanが書いていたように、2018年に閉鎖されたBruno PietersによるHonestby.comは、価格の透明性をコンセプトにしたプロジェクトでした。その他の企業においても価格の透明性に関する試みはこれまで行われてきましたが、それがビジネスとして離陸することはありませんでした。
しかし、フェアトレードや環境への配慮といったものは、それだけでは十分ではないにせよ、前述の時代の流れを考慮すればこれからの時代に必ずセットで必要になる要素と言えるでしょう。

COVID-19をポジティヴに捉えるならば、COVID-19は我々が抱える問題を浮き彫りにし、少し立ち止まって考える時間を与えてくれました。ファッション業界ではランウェイショーの在り方、春夏/秋冬シーズンとセール時期の見直しなどを含めていろいろと議論が出ていますね。それらがどうなっていくのか、そして、そういった変化がクリエイションにどういった影響を及ぼすのかが個人的に気になるところであります。

Vogue Italia and L'Uomo Vogue May 2020 - Break Gender Boundaries issue

Vogue ItaliaとL'Uomo Vogueの5月号は、ジェンダーの境界線にフォーカスしたものとなっており、上記のKarim SadliによるKaia Gerberの他にもエディトリアルがミラーリングされていたり、同じアイデアを共有していたりと、お互いの雑誌が対話をするような感じになっているとのこと。ここ最近のVogue Italiaは、話題を提供するのが上手いですね。

作品はいくつか掲載されていますが、Alasdair McLellanによるFreja Beha ErichsenとLeon Dameは2つ並べてみると面白いですね。