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Dior Chiffre Rouge C03 Moonphase

今年のバーゼルワールドでお披露目された"Dior Chiffre Rouge C03 Moonphase"
その名が示す通り月の満ち欠けを表示するムーンフェイズが付いたこのモデルは、ゼニス社のムーブを用い、バンド部分はアリゲーター・レザーとなっています。リュウズの付いた部分が垂直になったアシンメトリーのフォルムに、9時から12時までの部分にベゼルのような細工があるのはお馴染みですね。

先日、Diorのブティックでサンプル品を試着させて頂きましたが、シンプルでさり気無い感じがとても良いなと思いました。ムーンフェイズは遊び心があって面白いですね。

全世界100個限定のシリアルナンバー入りで、お値段は(記憶違いでなければ)105万円とのことなので、気になる人はチェックしてみてはいかがでしょうか。

Givenchy.com New Open...

ずっとカウントダウン中だったGivenchyのオフィシャルサイトがオープンしていますね。
当初の予定からはずいぶん遅れてのオープンになりましたけれど・・。

画像も高解像度化し、Hubert de Givenchyやメゾンの歴史、過去のAD Campaignに関する情報が整理されています。
コレクションの写真もアーカイヴ化してくれると良いのですけれどね。

"WOMEN ONLY" A Film by Karl Lagerfeld

ChanelのオフィシャルサイトのMODEのカテゴリーがリニューアルされていますね。
Karl Lagerfeldによるショートフィルム"WOMEN ONLY"も公開されており、ムービー内で各モデルが着用しているアイテムの型番や価格もサイトで分かる仕組みになっています。
なんだかプロダクトプレイスメント的な感じで面白いですね。こういうプロモーション手法も受け手としては分かりやすくて良いかなと思います。


Raf Simons - TASCHEN

TASCHENからRaf Simonsの書籍が出版されていますね。
今回の本は、1995年にスタートした自身のメンズウェア・ブランド、2005年から2012年まで在籍したJil Sanderでの作品、そして、Christian Diorのデザイナー職への就任をセレブレートする内容になっています。

インダストリアル・デザインという畑違いの世界からファッションの世界へ飛び込み、アンダーグラウンドなストリート・ユースカルチャーから影響を受けたストイックなクリエイションが、Jil Sanderでミニマリズムとモダンアートに出会い、Christian Diorのウィメンズウェアへと接続されていく流れというのは興味深いものがあります。ラフもまさかChristian Diorのデザイナーを務めることになるとは夢にも思っていなかったでしょうし、ね。

書籍の感想としては、もう少し過去のコレクションの写真が多く載っていても良かったかなといった感じですが、メンズからウィメンズまでの彼の幅広さは感じることができるので、Raf Simonsに少しでも興味がある人は手にとって見てはいかがでしょうか。


Dior homme 13-14AW Season Start...

Dior hommeの13-14AWが7/12(金)から立ち上がっていますね。13SSのセールが無かったため、立ち上がりが1週間程度早まった感じでしょうか。その影響かは分かりませんが、今回は比較的緩やかな立ち上がりで、入荷アイテムはそこまで多くなかったかなと思います。自分が欲しかったものもまだ入荷がありませんでしたし。
デリバリーされたアイテムをチェックしながら改めて思ったのは、今回の(日本が買い付けている)コレクション系のアイテムはリアル使いし難いということですね・・。ジャケットも試着をしてみましたが、全体的に丈が長いという印象です。テクニカル・ファブリックやジッパーの使用等、未来のユニフォーム感は確かにありましたけれど。

コレクション以外のコマーシャルラインでは、レザーブルゾン、コーティングデニム、Pコート、グラフィックTシャツ、ベルト付きスエード・ブーツ等が入っていましたね。その中でも100cm丈のダブルのコートはかなり良い感じに仕上がっていたかなと思います。ウール(ブラック)とカシミア(グレー)の2パターンの展開がありますが、カシミアのものは色・質感、着心地的にもかなり惹かれるものがありました。価格(約50万)を聞いて我に返りましたけれど・・笑。ちなみに、ウェアは当初の予定価格から全体的に値上がりしていますね。

という訳で、秋冬も立ち上がったことですし、今後はちょくちょくブティックに足を運んでいこうかなといったところです。

Chanel 13-14AW Haute Couture Collection

Grand Palaisに廃墟となった劇場を出現させて行われたKarl LagerfeldによるChanel 2013-14年秋冬オートクチュールコレクション。コレクションのテーマは、"the old and new world"。瓦礫の積まれたスクリーンの向こう側には素晴らしき新世界のイメージが描かれていましたね。カールの説明によると、"On the way from the Old World to the New World,"とのこと。

コレクションのデイウェアは、刺繍によって編まれたツイード・ジャケットとスカートのセットアップに存在感のあるベルトを合わせ、スエード・アンダースカートと太腿丈のストッキング・シューズ(ガーターが付いているようで、カールによるとブーツでは無いとのこと。)でボトムをシンプルにまとめたLookを中心に展開していましたね。クチュールらしくスパンコールを贅沢に用いたインナーやスカート等、プレーンなLookながらも魅せるところでは魅せている感じだったでしょうか。ただし、Cathy Horynが指摘するように少し反復的なLookが多かったという印象は確かにあったかなと思います。また、新しさを出すために新奇なテクスチャーに頼り過ぎているというのも頷けますね。この辺はバランスの問題と言えるでしょうか。

ドレスパートでは、繊細なチュールやオーガンザのトランスルーセントなレイヤリングに、ルレックスといったメタリック・フィラメントの使用など、アトリエのディティーリング・ワークが光っていましたね。いずれのLookもテクニックとマンパワーの集積のような言葉では簡単に表現できないユニークなドレスとなっていましたが、テーマがテーマだけに統一感やストーリー性があまり感じられなかったのが少し勿体無かったかなと思います。単体で見るとどれもハイクオリティで美しいのですが、Chanelのようなトップメゾンのランウェイショーは、ただ美しいだけではダメで、そこにプラスアルファの何かが必要と言えるのが難しいところです。

スパンコールやルレックスといったコレクションの煌きをカールは"the sparkle of stardust"と呼んだようですが、コレクションに登場する服たちは、さながら「夢見る世界の夜空に輝く星たち」といった感じなのでしょうね。とすれば、ランウェイショーとは、澄んだ夜空を見上げて星を眺めるようなものとも言えるでしょうか。

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Christian Dior 13-14AW Haute Couture Collection

Patrick Demarchelier, Terry Richardson, Paolo Roversi, Willy Vanderperreの4人のフォトグラファーが撮った写真をスクリーンに映しながら行われたRaf SimonsによるChristian Dior 2013-14年秋冬オートクチュールコレクション。Michel Gaubertによるサウンドトラックには、Kanye Westの"Yeezus"の楽曲が使われたようですね。

各Lookを再解釈するために招集されたフォトグラファーが4人であったように今回のコレクションは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、アメリカの4つの大陸をイメージし、それらの要素をミックスしての展開。ヨーロッパからはパリジェンヌ、アフリカはトライバルなマサイのイメージ、アジアは日本の着物や足袋を、アメリカからはスポーティーな要素を引いたようです。
ジャングル・プリントにぺプラム・シルエット、日本の「絞り」を用いたストラップレス・ドレス、クラシカルな千鳥格子やウェールズチェックには刺繍やスパンコールを重ねて、羽織や着物のような前合わせのドレスにトライバル・ストライプのシースルー・ドレス、ボリュームのあるブラックのプリーツドレスに、脱ぎかけのコートをセットアップに合わせたLookはラフらしいストライピングが目を惹いていましたね。

今までのコレクションからトーンが変わり、少し暗いカラーパレットでの進行となったことでフレッシュな感じが無くなったかなと思います。クチュールの顧客層を意識しての変化なのかもしれませんが、どうでしょうか。とは言え、ディティールを見ると分かりますが、アトリエの技量は相変わらず素晴らしいの一言ではありますけれど。

tFS等で指摘されているように多くの要素を詰め込みすぎて、消化不良になっている感じがコレクションには確かにありましたね。Suzy Menkesも今回のコレクションは野心的で芸術的ではあったが、適切に機能しているとは言えなかったとレビューしつつ、ただ、ラフがディオールのパリジャン・ヘリテージを超えて何かを求めることは正しい、と書いています。先月、他界したJean-Louis ScherrerとNina RicciのGerard Pipartを引いて、オールドスタイルのクチュリエは文字通り死につつあるので、ディオールは、その名高い歴史を振り返るだけでなく、また、未来を受け入れるデザイナーを必要とします、という指摘は正にその通りと言えるでしょうか。

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Dior homme 14SS Collection

Tennis Club de Parisに鏡の迷宮をセットし、サウンドトラックにはPet Shop Boysの"Paninaro"と"Domino Dancing"を用いて行われたKris Van AsscheによるDior homme 2014年春夏コレクション。インヴィテーションには16世紀の詩人であるThomas Campionの"The sun must have his shade."という言葉とドミノが描かれていたようですね。
クリスによれば今回のコレクションで表現したかったものは、"the incongruity of tuxedos on the beach."とのこと。

いつものようにテーラリングにフォーカスしたコレクションは、マイアミの暑いビーチの影響を受け、スポーティー・エレメントによってフォーマルをインフォーマルに変化させて進行していく。シックなボルドーに爽やかなウルトラマリンブルー、そして、スモーキー・グレーとブラックを点在させた色彩設計。鋭くクロップドされたスクウェアなボクシー・シルエットをベースに、ノースリーブ・ジャケットやハーフスリーブ・シャツにショート丈のパンツを組み合わせ、そこにPiet MondrianやWassily Kandinskyを思わせる幾何学パターンのサテン・パッチワークをグラフィカル・エフェクトとしてアドインする。

"Lots of choice within one idea,"とクリスが説明するように、コレクションは均質なドミノのような連続性を帯びた感じがありましたね。「コレクションの全てを通して、あなたはパンツとジャケットを入れ替えることができます。いくつかはボックス・シルエットであり、いくつかはフィット・シルエットで、いくつかは袖があり、一部はそうではありません。(今回のコレクションでの)挑戦は、多くのバリエーションを齎すことにありました。」とのこと。パッチワークについては、マイアミに建ち並ぶビルのようだとクリスは話していましたね。
「メンズウェアが遊び心や軽さを必死に求めているのを感じていました。ただし、もし何かがライトだとしてもその意図はシリアスさが無いということを意味するのではありません。」という彼の考えは、Christian Diorのメンズウェア部門のデザイナーとして重要かなと思います。遊び心があるLookにも歴史ある厳格なコードの残響があることがChristian Diorというメゾンには重要ですね。

Front Rowでいつものようにショーを見ていたKarl Lagerfeldは、ボルドーやスモーキー・グレーのLookを指して"very elegant"と評したようです。実際にブティックでDior hommeのアイテムをチェックしているとよく感じますが、色の発色や素材の光沢というのは個人的に実際に購入に至る重要な要素ですね。

気持ちの良いパーフェクトなスポーティー・テーラリングにグラフィック・アートを取り入れたコレクションは、目を見張るクリエイションではありませんでしたが、地に足をつけてリアルに楽しめる小気味良いコレクションだったかなと思います。

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Raf Simons 14SS Collection

Gagosian GalleryのランウェイにAlexander Calderの"mobile"をセットし、Jean Prouveによる"Station Essence Total"と"Pavillon Demontable"のアーキテクチャーの中をモデルが縫うようにウォーキングをして行われたRaf Simonsによる2014年春夏コレクション。モダンなアート空間という雰囲気でのショーが彼らしい選択でしたね。

コレクションはFirst Lookがその全体を規定するように、ベビー服の赤ちゃんワンシーのようなLookからスタート。Raf SimonsがDazed Digitalのインタビューで話しているように、今回のコレクションは「自然物と人工物の並置」というアイデアに基づいて表現されていく。
我々の生活がインダストリアライゼーションされ、生活需品のプロダクトから日々の食事までもが工業化/人工物化されてく中で、その正反対の自然物としてベビー(赤ん坊)が対置される。ベビーはナチュラルな自然物であるが故にクロスジェンダーであり、まだカテゴライズされていない未規定の曖昧な"interzone"の象徴としてコレクションのコアに存在する。

モデルのヘアスタイルは敢えてスタイリングを行わずにナチュラルなママとし、ベビー服から影響を受けた服たちは、その多くのファブリックに人工的な合成素材が用いられている。ランウェイセットのAlexander Calderのモビールは自由とムーヴメントを、Jean Prouveのプレハブ建築物は工業化(人工物化)のメタファーであり、自然物と人工物の並置というアイデアにランウェイショーの全ては貫かれている。

初見ではメンズウェアのウィメンズ化という受け取り方をされてしまい易いコレクションだと思いますが、そういう安易なコレクションをしていないのが彼らしくてとても好きですね。また、こういうアイデアに基づくクリエイションでは、自然を賛美し、人工物を安易に批判してしまいがちですが、そうでは無いのもまた良いですね。クリエイションの深度が他とは一味違います。

"interzone"に関しては、Peter SavilleとRaf SimonsのムービーがDazed Digitalにアップされていますね。ラフの「私は定めることができない未規定なものに非常に惹き付けられます。」というのは個人的にとてもよく理解できます。既に世の中に存在する名前のあるものというものは一般的に面白くないですし、クリエイティビティを感じないですからね。「形容し難い、何だかよく分からないけれど何かを感じるスゴイもの」を求めて創るのが彼らの性分なのですから。

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