Nicolas Ghesquiere - Interview Magazine
10-11秋冬のメンズと10春夏のクチュールコレクションが終了し、一息ついたので気になっていたInterview MagazineのTom Ford(naked)によるNicolas Ghesquiereへの電話インタビューについて。少しだけ書こうと思っていたのですが、全般に渡って凄く面白かったので少し長くなってしまいました(それでも後半は省略しています)。例の如く意訳で書いていますので、詳細は原文をご参照頂ければと思います(理解に間違いがあればメールなどで教えて頂けると嬉しいです)。
2001年にBalenciagaをPPRが買収したのはTom Ford(and Domenico de Sole)がNicolas Ghesquiereの才能を高く評価したから、ということが理由の一つに挙げられるのですが、現在もTom FordにとってNicolas Ghesquiereは、"my favorite contemporary designer"とのこと。
当時の買収に関する両者のやり取りとして、Tom Fordが"What is your wish? What is your dream? Where do you see yourself in a few years?"という問いかけをNicolas Ghesquiereにし、それに対してNicolas Ghesquiereは、"I wanted to keep going with what I was doing"と答え、更にTom Fordは、"Okay, let's try that. It might not work."と返答した、という話がNicolas Ghesquiereから語られていますね。
She's skinny. [laughs] She walks with confidence. She's a bit masculine, even if she wears quite sexy clothes. All the clothes are very fitted. So there is that silhouette and attitude for that urban type of woman. I prefer to speak to those women, more than just the ones who live in a part of France.
Honestly, I think I will be here at Balenciaga. Maybe not only. I have no idea what I would do for my own collection if that does happen one day. I give so much of myself for Balenciaga that today if you put me in a room and said, "Okay, let's try to do a Nicolas Ghesquiere project," I wouldn't be able to do it.
とのことなので、現時点ではその考えは無いようです。
また、ファッション自体から離れる可能性に関しては、より重要なものが見つかればそうするだろう、と。"But fashion is an addiction."とも語っていますが、ファッションに対する冷静さを感じさせますね。人生において何か他に情熱を燃やせるものに出会ったならば(Tom Fordが映画を撮ったように)そちらに進むべきだ、という考え方は個人的に共感できます。
Karl LagerfeldによるChanel Haute Couture 10SS Collectionのテーマは、"Neon Baroque"。
インスピレーションは眠っているときに来たという今回のコレクションは、シルバーと淡いパステル・トーンのカラーパレットで構成されており、ブラックやネイビーを使わずにコレクションを行ったのはKarl Lagerfeldにとって初めてだったとのこと。LBDなどを避けてコレクションを展開したのは確かにチャレンジだったと思いますが、Christian DiorでのJohn Gallianoが過去にリファレンスを求め、保守的なクリエイションを繰り返していることを考えると、Karl Lagerfeldは流石といったところでしょうか(via The Cut)。
シルクサテンのファブリックやドレスの装飾、フィンガーレス・グローブに足元のブーティーといったシルバーのアイテムが少しフューチャリスティックな印象を与えていましたが、Karl Lagerfeldにとって近未来的なクリエイションは、"I hate that," "I don't believe in avant-garde clothes for a future that will never happen. Fashion is always now."とのこと。
Karl Lagerfeldの作品は地に足が着いていて完成度が高く、リアリティがあると個人的に思うのですが(それでいて新しさを感じさせるのが巧いですよね)、この発言を読んでとても納得してしまいました。
コレクションのLookに関しては、ツィードジャケットにショーツを合わせているのが面白かったですね。また、(フィンガーレス・グローブもそうですが)カール自身をモチーフにしている大きなネクタイのLookは目を惹いたと思います。ちなみに、ランウェイのラスト・ルックにBaptiste Giabiconiと登場したAbbey Lee Kershawのドレスは、制作に1300時間掛かっているとのこと。
Alber Elbazによれば今回のコレクションは、「Fashion Victimのためでなく、Fashion Loverのために服をつくりたかった」とのこと。ここからは少し余談になりますが、英語版のwikipediaの"Fashion Victim"という項目が面白かったのでご参考まで。Oscar de la Rentaによって作られた言葉である、というのは初めて聞いた説なのですが、真偽について検索してみても(日本語のページは元より、英語でも)ほとんどヒットしないですね。
Kris Van AsscheによるDior homme 10-11AW コレクション。
ライヴ配信は会場全体を映していたので服が小さくてあまりよく見えませんでしたが、円形の会場をランウェイする様子とBGMとして使われていたSisters of Mercyの"Temple of Love"のMixを聴くことができましたね。今回のコレクションのインスピレーション・ソースは、"Coal"。デザイン中に燻る炭の色が頭にあったとか。ランウェイではステージの環内に炭を敷き詰めての開催となったようです。
カラーパレットは、ブラック、チャコール、オートミールが中心。コレクションは、09-10AW(ANGLES)や10SS(COLD LOVE)にあったアイデアの発展系といった感じで、"Luxury should be about quality and comfort"というKris Van Asscheの発言の通り、品質と着心地にフォーカスしたソフトタッチのテーラリングでしたね。フェイクレイヤード・ジャケットや短めのパンツ、セットアップやコートに使われていたストライプが目に留まりました。
ABCNews.comの記事に拠れば、Kris Van Assche 10-11AW メンズコレクションはテーラーリングにグランジ・ファッションからの影響としてのチェック・パターンを加え、脱構築を試みたものとのこと。チェック・シャツに関しては、Kris Van Asscheは以前からよく使用していますね。
Rick Owens 10-11AW メンズコレクション。
10SSではデニムを用いたアメリカン・テイストの香りを持つ、より若い男性像を描くコレクションを展開していましたが、今回はテーラーリングにフォーカスし、描く男性像の年齢も少しだけ上に設定。よりソフィスティケイトされた男性像を描きたかったようです。
Stefano PilatiによるYves Saint Laurent 10-11AW メンズコレクション。
Bruce Weberによるショートフィルム "Ain't Nothin' Like the Real Thing"は、Marvin Gayeの同名の曲やフォトグラファーのBunny Yeagerをインスピレーションソースとし、牧歌的な雰囲気の中に青春期の無邪気な若者のヌーディな美しさを描いたもの。
Jean Paul Gaultier 10-11AW メンズコレクションのテーマは、"ボクシング"。
退屈さと現在の経済危機との戦いを表現したようですが、血糊を使った演出はDsquared2にもありましたね。
ピンストライプ・パターンやガジェットとしての葉巻、そして、指貫グローブをバンテージにしていたのはJean Paul Gaultierらしかったと思います。全体的に、良くも悪くも野暮ったさがあるのがゴルチエらしいですね。
あと気になったのは、10SSにもあったスカートの使い方でしょうか。10SSでは中性的な方向性でしたが、今回は1アイテムとしてのスカート、といった感じでしたね。
Bruce Weber's Roving Eye...
本日行われる予定のYves Saint Laurent 2010-2011秋冬のメンズコレクションで、Bruce Weberによるショートフィルム"Ain't Nothin' Like the Real Thing"が公開されるようですね。ショーが開始される時間(現地時間 PM12:30)にFacebookとYouTube上にTrailerが公開され、現地時間 PM4:00にShow VideoとShort Filmがysl.comも含めてアップされるとのこと。
Frida GianniniによるGucci 10-11AW メンズコレクション。
"I don't think it is a nostalgic collection, but heritage is good for me - going back to the archives, but looking forward to the future,"というFrida Gianniniの発言にもあったように、今回のコレクションはGucciの過去のアーカイヴへの言及を展開。これは世界不況の嵐が吹いてからここ数シーズン続いている傾向ですが、各メゾンがそのルーツやアイデンティティをクリエイションのリファレンスとするパターンが多いですね。
映像を見ながらとても気になっていたサウンドトラックはFrederic Sanchez(Blogを見るとわかりますが、BALMAINなども手掛けていたのですね)によるもので、SHOWstudio.comのレビューによれば90年代のShakespear's Sister, Nirvana and OasisなどのMixだったようです。トラックのクオリティの高さは、一度聴いただけですぐ気付くレベルだったと思います。
Christopher BaileyによるBurberry Prorsum 10-11AW メンズコレクション。
今回のコレクションは同メゾンのアイデンティティである、トレンチコートの起源となるミリタリー系アウターウェアへの言及が多く見られました。Christopher Baileyによれば、"Protect, explore and inspire - it is going back to our roots, what the company has been built on,"とのこと。LATimesでは、"parade of coats"とも表現していましたね。
Domenico DolceとStefano Gabbanaによる今年で20周年を迎えるDolce & Gabbana 10-11AW メンズコレクション。
Giuseppe Tornatoreによるイタリア映画「Baaria」をランウェイのバックに展開された今回のコレクションは、"The collection is a return to our roots: Sicilian heritage, sensuality and sartorial clothing,"というStefano Gabbanaの発言にもあったように(レディスの10SSコレクションと同様に)彼らのルーツへの回帰がテーマだったとのこと。
同じような話題として、Fashionistaで"Rich People in China Heart Armani"という記事がアップされていて、中国のお金持ちはファッションに関してはGIORGIO ARMANI、スキンケアはChanel、ファインジュエリーではCartierがお好き、というのが書かれていました。
日本からブランドなどが撤退したりするのを見ていると、この国から煌き(魅力)が失われていっているんだなと何となく感じるのですが、ただ、中国は中国でちょうど今話題になっているGoogleのサイバー攻撃の件を見ていると、政治と経済の部分でいろいろと問題を抱えているよね、と思います。
あと、中国のブランド品の話に関しては、Chris Anderson(editor-in-chief of Wired)の著書"Free"でもコピー品に関する話があったのが個人的には興味深かったので、気になる人は読んでみると良いかなと思いました。
Alex Watson Adds Runway to His Repertoire
Burberry 10SS AD Campaignに登場したAlex Watsonが、今週土曜日に行われるBurberry Prorsumのランウェイを歩くかも?というお話。
普通に考えるとそうなりますよね・・。真相はまだわかりませんが、期待して待ちましょうか。
それで、上のWWDとThe Cutの記事を読んでいて思い出したのが、昨年末にNYTimesでCathy Horynが書いていたデジタル・マーケティングに関する話(Why So Stodgy, Prada.com? / Fashion's Best Digital Mirror)だったりします。こちらの記事では、SHOWstudio.comのNick Knightのネット上での取り組みの話(Alexander McQueenのランウェイショーをブロードキャストした話など)やBurberryが昨年11月にロンチしたartofthetrench.comの話、UNIQLOは中村勇吾を起用して面白いことしてるよね、という話などが書かれているので時間のある時にでも読んでみると良いかなと思います。
2010 the year of the lipstick, declares Chanel
Chanelから新しいルージュ、"Rouge Coco (Hydrating Creme Lip Colour)"が3月に出るようですね。30のシェードがあり、それぞれはCoco Chanelの人生の一部(Mademoiselle, a soft pink... etc.)を取って名付けられているとか。こういうのちょっと素敵ですね。また、AD Campaignを務めるのはVanessa Paradisとのことなので、こちらも期待して待ちましょうか。
Chanel wants to tattoo you
もう一つChanelの話題ですが、Chanelからtransfer tattoo(temporary tattoo)が出るようですね。パッケージの名前は、"Les Trompe L'Oeil de Chanel"とのこと。
10SS Collectionでも目にすることができたタトゥーですが、デザインはああいった感じになるのでしょうかね。55のパターンがあるようで、3月から75ドルでブティックにお目見えするようです。
Glossy Karlie...
若き日のLauren BacallをイメージしたSteven MeiselによるChristian Dior 10SS AD CampaignのKarlie Klossの写真に関するJohn Gallianoのコメントが載っていますね。
また、Franz Ferdinandが作詞作曲を担当し、Marion Cotillard(ニューヨークを舞台にし、夜はトーチ・シンガーとなるワーキング・ウーマンを演じる)によるmusic videoが1月14日に公開されるという話や、David Lynchが上海で撮影したといわれるThe Lady Noire Affairの続編の話も気になる話題です。
Venetia: Great Scott. via fashionologie.comnymag.com
エディトリアル・スタイリストやフォトグラファーとして活動し、また、Marc Jacobsのランウェイショーでもスタイリストを勤めるVenetia Scottのインタビュー記事が話題になっていますね。クローズアップされているのは、現在の雑誌のエディトリアルでは、ブランドをMixしたスタイリングが広告主の影響によってできなくなっており、それにより雑誌が面白くなくなっている、という部分。Collection Lookをそのまま雑誌で使われても、読者としては見ていて面白くないというのは同意ですね。
また、インタビューの中ではVOGUE HOMMES JAPAN Vol.2でのYuri Pleskunらを撮影した"YOUNG AMERICA"の話なども出ていましたが、個人的に気になったのは"daughter with ex-husband Juergen Teller"という部分でしょうか。プライベートに関する部分だから?なのか、インタビュー記事の原文からは既に削除されてしまっていますね(触れない方が良いかなと思ったのですが、気になったので・・)。
初出はNew York Postのようですが、Pradaが株式の3分の1をRichemont(Cartierなどを所有)に売るかも?という噂が出ていますね。Pradaが15億ドル前後の負債を抱えているのがその理由となっているようですが、Prada側のスポークスマンは否定したようです。
RichemontとしてはLVMHやPPRと競うためにPradaに手を伸ばしたいといった感じなのだと思うのですが、どうなるのでしょうか。
Burberry 10SS AD Campaignは09-10AWに引き続き、Emma Watsonを起用したようですね。
今回は更に弟であるAlex WatsonもミュージシャンのGeorge Craig(One Night Only)、Matt Gilmour(the son of Pink Floyd's David Gilmour)、Max Hurd(a grandson of Douglas Hurd, Britain's foreign secretary under Prime Ministers Margaret Thatcher and John Major)らと共に登場。フォトグラファーは、今回もMario Testinoとのことです。
年も明けて2010年を迎えましたが、年末年始といってもコレといってやることが無いので、いつも通り音楽を聴きながら本をパラパラ読んだり、ネットをしたり・・。年末はFPMのアルバム(サイトは中村勇吾によるものですね)やPAX JAPONICA GROOVEのin the transition(一曲目のautumn rainのピアノが良いです)を主に聴いていたのですが、年が明けてからは少しゆっくりとした曲が聴きたい気分になったのでそれ系を聴いています。それで、折角なので切ない系のR&Bの曲を2曲ほどご紹介。
m-flo - So you say (iTunes)
今から10年ほど前の曲なのですね。
m-floにしてはとてもシンプルな曲の構成なのですが、そこが曲全体の切なさに繋がっていてとても良いです。
AK - Yes (iTunes)
こちらは12年ほど前の曲。
AK(柿原朱美)のサウンドは今でも全然聴けますね。
AKといえば、Say That You Love Me(FK-EK Remix, Danny Krivit Edit)がとても有名ですね。Japanese Ver. (iTunes)よりもEnglish Ver.の方が個人的に好きです。あとは、Studio ApartmentとのBeautiful Sunrise (iTunes)やJephte GuillaumeとのShining Your Way (iTunes)もオススメ。また、彼女がインターネットラジオで紹介している曲などもチェックしてみるといいかもしれません。