This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Gucci 13SS Men's Collection

Frida GianniniによるGucci 2013年春夏メンズコレクション。
フリーダの説明によれば今回のコレクションは、バケーションや楽しみ、そして、自由に関するアイデアにフォーカスしたコレクションだったようですね。

リーフグリーンのサマー・スーツからスタートしたランウェイショーは"Chromatic Rush"をキーワードに、イエローオーカー、スカイブルー、オレンジレッドといったオプティミスティックなバケーション・カラーによって展開。ストライピングにピンドット、特徴的なスカーフプリントを加え、Gucciらしくリラックスムードに包まれた地中海で休暇を過ごすプレイボーイを描く。
スーツにカーディガン、ブルゾンジャケットにサマーセーターといったLookの足元を飾るのは1953年に誕生し、来年60周年を迎えるブランドのシグネチャーとなっているホースビット・ローファー。7、8分丈のパンツに素足で履くのはいつも通りですが、ショーの全Lookがビットローファーだったのが今回はとても印象的。60周年を静かにセレブレートしていましたね。

Riva Yachtで優雅に過ごすサマータイム・トーンをセットしたコレクションはノーサプライズではありますが、たまにはこういうイヤらしさの無いGucciも良いといった感じでしょうか。

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Prada 13SS Men's Collection

Miuccia PradaによるPrada 2013年春夏メンズコレクション。
多くのものをリファレンスとした複雑なコレクションではなく、シンプルなものに戻りたいというメッセージを込めて行われたコレクションのタイトルは、"Starting from Scratch"。

ミウッチャらしい70年代の空気感を用いて描かれるスポーティー・アティテュードを伴った各Lookは、ミニマル・クリーンでレトロフューチャーなフィーリングを表現する。プリントパターンを一切使用せず、古代ギリシャの影響を受けるバイカラーを多用したフラットでスクウェアなライトウェイト・カジュアルウェアは、Tim Blanksの言うようにコレクションにおけるデコラティヴな装飾性の彼岸にある同質化と均質化の末、(ウィメンズモデルがウォーキングしていたのが象徴的であるように)ユニセックスな同一性を獲得する。全48のLookが反復的であることの意味と意図はその1点だけに存在し、今回のクリエイションにおいてランウェイが単調でなければならない理由はそれによってベリファイされる。

振り子の針が右から左へ振れるように、もし仮にファッションの世界に輪廻があるとするならば、この新しいゼロからのスタートが彼女の描く新世界の入り口と成り得るのかもしれませんね。

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Burberry Prorsum 13SS Men's Collection

Christopher BaileyによるBurberry Prorsum 2013年春夏メンズコレクション。
今回のコレクションのタイトルは、"Come Rain or Shine"。このコレクションに付された名は、Burberryがレインウェア・カンパニーであることの暗喩と人生には良い時もあれば悪い時もある(世界的に金融危機が叫ばれているが、人の一生は短いので我々はそれを楽しむ必要がある。)というポジティブな意味を持つ。

ランウェイショーはテーラリングにヴィヴィッドなメタリック・シルクを組み合わせるというアイデアからスタート。シャイニーカラーのブルーやパープル、イエロー、グリーンといったカラーパレットはDavid Hockneyの影響を受けたもので、コートやシャツに見られた幾何学的なグラフィックパターンはDuncan Grantの作品から影響を受けたもの。

大きく曲線を描くラウンドショルダーが特徴的なボマージャケットを始めとしたミリタリーアイテムに、タックの入ったスラックスとサンダルをバランスさせようとする試みは個人的に見ていて面白かったですね。シャツをタックアウトしているLookがいくつかありましたが、異なるグラフィックとカラーをレイヤリングさせるという意図がそこにはあったかな思います。終盤のメタリックレザー・ブルゾンとテーラリングの組み合わせも同じ考えに基づくものですね。

雨でも雪でもなく、テントに降り注ぐ陽の光を受けて輝く服たちによってドライブされたコレクションは、天気を味方につけたBurberryらしいコレクションと言えるでしょうか。Christopher Baileyの安定したクリエイションは、Burberryに安定した大気を齎している感じですね。

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Dolce & Gabbana 13SS Men's Collection

モデルではなく、シチリアの街や村からスカウトした一般人をキャストし、ヴィレッジ・バンドの演奏にあわせて行われたDomenico DolceとStefano GabbanaによるDolce & Gabbana 2013年春夏メンズコレクション。いつものように彼らのルーツであるシチリアへの賛歌となったコレクションは、シシリーの田舎町をフィーチャーしたもの。

開襟シャツにタック入りのキャロット・ハイウエスト・パンツ、使い古しのスリーピース・スーツにセーラーカラーのストライピングシャツなど、シチリアン・ノスタルジアへの言及となる陽気な小旅行はバケーション・フレンドリーなカジュアルで気取らないリアルな服をストレートに表現する。
過去2シーズンのAD Campaignがファミリー(家族)をテーマにしたものであったように、13SSシーズンも子から父、そして、祖父といった古き良き時代の家族をテーマにしていますね。いくつかのLookは、父親や祖父のお下がりを着ているようなそんな感じがあったかなと思います。

今回のコレクションは今までのスーツ中心のコレクションから完全に離れ、田園生活を描き切ることに終始した感じでしたが、欲を言えばもう一捻り欲しかったですね。モード感がほとんどなくなっているので、それを何か違う要素で補完するなどのアイデアがあると個人的には良かったかなと思います。

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Jil Sander 13SS Men's Collection

自身のブランドに7年振りに2度目の復帰を果たしたJil Sanderによる2013年春夏メンズコレクション。
68歳で再度復帰を果たした彼女ですが、年齢に関しては第二次世界大戦後に71歳でファッション界へカムバックしたCoco Chanelと比較される記事が海外では書かれたりしていますね。

クラシカルなダブルのジャケットをメインに据えた滑らかなミニマリズム・テーラリング。ブランドDNAであるピュアネスを表現するホワイト・ポプリン・シャツには、少年のような若々しさを表現する直線的なカッティングのノースリーブ・フロックコートを組み合わせる。
フェミニンでユースフルな要素としてのゆったりしたショーツはスカートのような趣。カーディガンなどに用いられたBlinky PalermoやRobert Mangoldといったアーティストの影響を受けるカラーブロッキングのグラフィカル・パターンは、ベーシックなランウェイショーに彩りを与える。

Raf Simonsのクリエイションに比べるとフェミニンタッチで描かれる男性像が女性の創り手らしく、ユースフル・フィーリングとフェミニティ、ミニマリズムとピュアネスの、よりベーシックな関係性がランウェイに表現されている感じがあったかなと思います。もちろん、見方を変えればダイナミズムのない安全圏でのクリエイションと言えなくもありませんが、今回は創始者としてレジティメートなコレクションをしたと言うのが正しいでしょうか。昨今のユーロ圏に端を発する世界的な経済危機の可能性を考慮すると、こういう穏やかなコレクションが気分なのかもしれませんけれどね。

冒頭で年齢についての話を書きましたが、働く理由に関してJil Sanderは、"Why do I keep working? Because I love it."と答えたようですね。紆余曲折を経て再び復帰した訳ですが、対象への愛さえ失わなければ何歳になっても人生はリスタートすることができる。そういうことを今回の彼女の復帰は教えてくれている感じがしますね。

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Stella McCartney Resort 2013 Garden Party Video

ニューヨークのイーストビレッジにあるMarble Cemeteryで行われたStella McCartney Resort 2013のガーデン・パーティーの様子を収めたムービーがオフィシャルサイトにアップされていますね。とても良い雰囲気の映像なのでオススメです。

写真も良い感じなので、こちらも是非。

Chanel 2013 Cruise Collection

5月14日、ルイ14世の元でAndre Le Notreが設計したヴェルサイユ宮殿にあるBosquet des Trois Fontainesの噴水の周りをランウェイにして行われたKarl LagerfeldによるChanel 2013年クルーズコレクション。Michel GaubertによるサウンドトラックはM.I.AやMichael Jacksonの楽曲をミックスしたもの。

シャンブレーやデニムによって表現される若々しさにクラシカル・エレガントなロココ調のフリルを組み合わせ、裸足で草原を駆けるような自由奔放な少女に上品さを加える。リラックス感のある淡いカラーパレットを用いて語られるコレクションは、アイコニックなラッフル付きのツイード・ジャケットにミルクメイド・シルエットを描くアンクル丈のプリーツ・ツイード・スカート、ワイドなパラッツォパンツにクリノリン風のコルセット、ニッカーボッカーズにショート・ショーツ、そして、今回のランウェイショーで象徴的だった厚底のクリーパー・スニーカーといったように、宮殿での装いに対してストリートウェアを融和させることによって現代的にドレスダウンさせるという意図を持つ。

風に揺れる豊かな植物と噴水に反射する日差しの輝き、豊饒な大地によって育まれた旧家の女性にSam McKnightはあえてマカロンのようなパステル風の髪をセット。キャンディ・ピンクと目元の小さなCCマークのアクセントが特徴的なメイクアップは、Peter Philipsによると"it's between girly and rebel"とのこと。ある種の違和感をモダニティとしてLookの中で上手く機能させている感じがありましたね。

ヴェルサイユ宮殿を舞台にChanelがランウェイショーを行うという、ある見方をすれば在り来たりで陳腐な行為が意味するもの。Karl Lagerfeldが言うようにコレクションにおけるインスピレーションソースやテーマといったものは端的に言えばコピーイングであって、本質的なクリエイティビティの発露というものがそこに存在しないとするならば、それらはAlfred Hitchcockの言う「マクガフィン」と言えるでしょうか。

多くのブランドがコレクションを展開する上で何某かのテーマを定め、それに沿ってランウェイショーを行い、物語を語る。言うまでもなくそのテーマは時代の空気に敏感なセンシティヴなものであるが、必ずしもそれがクリエイションの核になる訳ではない。コレクションをドライヴさせ、推進力を得るための装置として(つまり、「マクガフィン」として)それらが配されているとすれば、創り手のクリエイションの本質はそれとは別の場所にあると言える。川久保玲のようにクリエイションの本質を抽象的な形而上の世界に置く創り手もいるが・・。
今回のChanelのコレクションにおける「ヴェルサイユ宮殿」という記号性を帯びた象徴が意味するものは、きっとそういうことなのかもしれないですね。

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via annecombaz.com

Dior homme 12-13AW "A SOLDIER ON MY OWN"

時の流れは早いものでメンズの13SSコレクションがロンドンから始まっていますが、世の中的にはプレフォールの入荷と12SSのセールがあり、そして、来月には12-13AWの立ち上がりがありますね。
Dior hommeのプレフォールに関しては深い色味が良いなと思ったのでワインレッドのシャツ(ボタンダウンと通常の比翼のタイプがあります)を買いましたが、秋冬はとりあえずコートとコレクションのブーツを買おうかなと思っています。その他のアイテムは実物をみてから、といったところ。路面店の立ち上がりは来月の13日ですね。