This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

Yves Saint Laurent 11-12AW Collection

いつものようにYves Saint Laurentのクラシック・ヘリテージをモダンに解釈しての展開となったStefano PilatiによるYves Saint Laurent 11-12AW Collection。ダブルブレストのウェールズチェック・テーラリングからスタートしたコレクションは、Guido Palauによるヘアスタイルにも見られたようにボーイッシュでシックな女性像を描いたもの。ブランドを去るという噂が出ては消えているピラーティですが、今回のコレクションはここ数シーズンでは一番良かったかなと思います。

フロックコートに緩やかに曲線を描くサテンのドレープスリーブ・ブラウス、今シーズンは多くのコレクションにカメオ出演しているコクーン・シルエット、アクセントとして存在感のあるゴールドのギルトチェーンにチェーンリンク・チョーカー、ランウェイ後半のホワイト・パートでのマニッシュなトラウザースーツは美しいの一言でしたね。ホルターネックのロールカラードレスは純朴な飾らない美しさがあり、ラストルックのオーストリッチ・フェザーコートはその中に少しの強さがあったような気がしました。

サンローランをリファレンスとして繰り返されるシーズン毎のコレクション。Yves Saint Laurentという大きな物語の中で自分の物語をどのようにして紡ぐのか?という問題は依然として留保されたままですが、何となく思うのは否定と対立、そしてその先の止揚が必要であるということですね。メゾンの連続性という意味でも互換性は大事な要素ですが、違う何かとの両立性を持ったコレクションが見てみたいと思うのは自分だけでしょうか。

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Givenchy 11-12AW Collection

Riccardo TisciによるGivenchy 11-12AW Collection。
メンズコレクションではロットワイラーでしたが、レディスではパンサー・プリントをメインに紫蘭やBettie Pageをフィーチャーしての展開。ペンシルスカートにジャケットやシャツ、ルーズなセーターを組み合わせて描くシングル・シルエット。シースルーのオーガンザにボマージャケット、Gianni Versaceへのオマージュとしてのグラフィック・シルクなど。トップスはマニッシュに、ボトムスはフェミニンにまとめていたのが特徴的ですね。

Lookのシルエットは悪くないと思うのですが、プリントが直截過ぎる感じがあったかなと思います。カジュアルな方向性でのクリエイションは理解できますが、もう少しさり気無い使い方が個人的には欲しかったです。全体的に大味に見えてしまっているのが勿体無いですね。

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John Galliano 11-12AW Collection

プレゼンテーション方式に変更して提示されたJohn Galliano 11-12AW Collection。
意外にも会場にはSidney Toledanoの姿があったようですね。

クラシックな趣の千鳥格子のツイードジャケットにペンシルスカート、ランジェリーライクなオーガンザにセミトランスパレントなPVCトレンチ、過不足なく用いられるフェザーやファー、少しフェティッシュなパドロック・シューズ、翡翠の着物ローブにStephen Jonesによるハットなど。20のLookが登場したコレクションは、いずれもが彼のタッチでしっかりと描かれたもの。Suzy Menkesが"Vintage Galliano"と書いていましたが正にそのような感じで、少し昔に戻った雰囲気がありましたね。いつものようなスペクタクルなショーではなかった分、ロマンチックでビター・スウィートなコレクションは逆に引き立って見えたような気がしました。アンティークな会場のセットもコレクションにマッチしていましたね。プレゼンテーションの映像はオフィシャルサイトで見ることができるので、未見の方は是非。

強さを兼ね備えた美しさとセクシャリティをエレガントに表現するという才能。彼の姿の無いプレゼンテーションは新しさこそ無かったものの、改めて彼の作品を再評価させる場のようでもあったかなと思います。

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Comme des Garcons 11-12AW Collection

川久保玲によるComme des Garcons 11-12AW Collection。テーマは、"Hybrid clothing"。
異なった服を組み合わせるという方法論はよくあるアイデアですが、彼女の場合は服と服が溶け合って融合度がとても高く、メタモルフォーゼしていますね。身頃を縦にカットして組み合わせるというテクニックを多用するのも特徴的。パッチワーク・コラージュされた作品はクロージングを再び形而上へ押し戻すような感覚があります。

コレクションのカラーパレットはブラックを中心としていましたが、中盤で彼女が40年にわたって集めたヴィンテージ・スカーフのドレスなどによってカラフルなグラフィックへの頷きを見せていました。後半とフィナーレでは彼女が"The new colour...gold,"と呼んだ様にゴールドをフィーチャー。少しバロックな雰囲気もあったモデルのヘアスタイルも同じくゴールドでしたね。
デコンストラクトされたドレスに螺旋を描くブラック・ラッフル、紐を結んで留めるというアイデアなど、tFSでも書かれていましたが、どこかTaoっぽさがあったのは確かかなと思います。今回は不穏な感じや不吉さが薄かったのもそれには起因していますね。

On the Runwayで書かれていましたが、今回のランウェイショーは限られた座席数で行われたとのこと。Kanye Westも会場にいたようですが、Stephen Ganの話がちょっと面白いです。レイのショーでは彼女に従うしかない、ということですね。

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Junya Watanabe 11-12AW Collection

渡辺淳弥によるJunya Watanabe 11-12AW Collection。
50年代のDiorやCristobal Balenciagaのようにアワーグラスやコクーンシルエットを描くバイカージャケット。ハードな素材であるレザーをカーヴィーなフォルムにトランスフォームさせることでソフトな印象と艶を与えていました。ジャージー素材やプリーツスカートとの組み合わせもフェミニンな表現として、グットなバランス感覚。バイカーレザーというアイデアは多くのブランドでも用いられますが、ここまでウェアラブルでスマートなコレクションは他にあまり見ないかなと思います。ボリュームとレングスはコンパクトにまとめていましたが、ドレスとしてのバイカージャケットも彼らしい面白い試みでしたね。

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Yohji Yamamoto 11-12AW Collection

彼らしくPunkyな方向性での展開となった山本耀司によるYohji Yamamoto 11-12AW Collection。
フィッシュネット・ストッキングのようなメッシュドレスにモノクロ・フラワープリント、マニッシュなオーバーサイズ気味のコートにお馴染みのコンバットブーツ、多用されるスクープネックラインに"Yohji"ネックレス。Eugene SouleimanによるヘアスタイルはMarie Antoinetteのようでもあり、ビクトリアンなフープスカートにもマッチしていました。ブラックレースとプリーツドレスはパンクの反抗的な態度とフェミニティが入り混じっている感じがありましたね。

ランウェイショーの黒を中心としたカラーパレットには差し色として、エモーショナルな美しい赤を加えていましたが、ヨウジの紅の使い方は強度があって個人的にとても好きです。ただ、コレクション全体としてはもう少しラディカルな何かが欲しかったかなとも感じましたね。

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Lanvin 11-12AW Collection

"Weeping Willow"をランウェイにセットして行われたAlber ElbazによるLanvin 11-12AW Collection。ランウェイの木が示す意味はエルバスによると、"A willow is for emotion, femininity and comfortable roots,"とのこと。
ランウェイショーはミニマルで純粋さを持ったスクウェアで直線性のあるシルエットから始まり、それが色と曲線性を持ったシルエットへと遷り変わっていくという流れでの進行でしたね。

カラーパレットはいつものようにブラックやネイビー、ブラウンといったシックな配色をメインに据え、終盤でオレンジやフクシア・ピンクをフィーチャー。マテリアルに関しても前半のウールがガザルへと変化して行き、シリアスさを伴ったLookが後半に掛けてオプティミズムを纏うかのようにスライドしていくのがドラマチックでした。深く被ることで目線を隠したワイドブリムハットが、素敵な髪飾りに変化したのも分かり易い演出。彼によるとこの流れは、"This is life."なんだとか。

シンプルなウール・ケープにセットアップ・スーツ、ストラップレス・ドレスにドレーピングが美しいワンショルダードレス、ブラックレースにモダニティとしてのローズ・プリント、ランウェイ後半の立体感のある生クリームのようなムースはエレガントにフェミニティを表現。金属的なアクセサリーはいつものように素晴らしいの一言でしたね。

クロージングに関する情報が正確に全て整理されており、不要なものが削ぎ落とされてシンプルでありながらもハイクオリティであるのが作り手の技術の高さを証明しているかなと思います。情報量の過剰さによる誤魔化しではなく、必要なものを必要なだけ、過不足なく組み合わせることで実現するクロージングは、描く女性像の有りのままの美しさを賛美しているようでもありましたね。

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Christian Dior 11-12AW Collection

人種差別発言によってJohn Gallianoが解雇されたため、デザイナー不在のまま行われたChristian Dior 11-12AW Collection。ショーの開始前にSidney Toledanoが今回の件に関してスピーチを行っての開催。全文はこちらで読むことができます。

Karlie Klossの三銃士Lookによってスタートしたランウェイショーは、19世紀のダンディズムと"English Romantic Poetry"からキューを取ったもの。コレクションの前半は、ベロアコートにフォックス・ファー、ブロケード・スカートにニーブーツといったワインのような光沢と上品さを持ったアイテムによって展開し、中盤はデイウェアとしてのツイードジャケットやマニッシュなフロックコート、パイソン・チュニックにパステル風のシフォンやワンピースが登場。イヴニングはランジェリーライクなフリルレイヤード・ドレスやチュールドレスをフィーチャーしていましたね。バッグに関してはアイコニックなLady Diorと共に今回はチェーンハンドルのバッグが目に付きました。
内容的には今までのJohn GallianoによるChristian Diorといった感じのコレクションで、新奇性はほとんどありませんでしたが完成度はとても高かったと思います。

今回のJohn Gallianoの件に関しては、彼の才能が失われるのはとても勿体無いと思いますが、問題が問題だけにDior側の対応も適切性があったのは事実ですね。現在進行形の問題なので彼とChristian Diorの今後についてはあまり騒ぎ立てずに、少し静観するのが良いかなと思います。

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Rick Owens 11-12AW Collection

60年代をリファレンスとし、純粋でMurkyな何かがしたかったというRick Owens 11-12AW Collection。インスピレーションソースは、Veruschka、Cristobal Balenciaga、Charles Jamesから。

修道女のベールをフードに変えて展開される禁欲的な世界観。彫刻されたジャケットにレザーやメルトンといった硬質なファブリック。柔らかさへの頷きとしてのフロアレングスのカシミア・ケープにロングニット・チュニック。抑制の効いたシックなミンクファーコート。リンクルブーツにガントレット・グローブ。
ハウス・シグネチャの直線性とレイヤリングはいつものように、緩やかな曲線を描く繭はCristobal Balenciagaから。ランウェイ後半のCharles Jamesへの賛美歌としての大きく膨らんだパフスリーブはコンセプチュアルな雰囲気が少しありましたね。

過去を用いて未来を再発明するというアイデアと共に静かに進行したクリエイションは、核にはキチンとRick Owensの要素があって彼らしさを損なっていないコレクションだったと思います。彼のキャラクターの濃さを再確認できて面白かった感じですね。

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Balmain 11-12AW Collection

Christophe Decarninがメンタル面の問題によって不在となり、Balmainの新しいスタイリストに就いたMelanie Wardとデザインチームによって仕上げられたBalmain 11-12AW Collection。ギリギリのラインでクリエイションを続けていくと精神を病むのはよくあることなので少し休むと良いかなと思います。今に始まったことではないと思うので、完治と言うよりも寛解を目指すことになると思いますが。
彼は自己の存在証明と生きているという実感をクリエイションによって得ているタイプの人間なのかな、となんとなく感じます。こう言うとあれですが、ダークな面を持った人間の方が偏執的な面白いものをつくるのは事実ですね。Lee Alexander McQUEENもそんな感じでしたが、往々にしてそういう作り手は身を削るのでサステナブルではないのですけれど・・。

そういった状況下において提示されたコレクションは今までの方向性を踏襲しつつも変化がありました。メタリックでシャイニーなジャケットにスキニーパンツ、シンプルなシルクTシャツにジオメトリックなラインストーン・チュニック、ルレックス・スカーフにピークドラペル・ブレザーなど。それらに加えて今回はジャンプスーツやゴートファーを用いたLookが登場。Melanie Wardによるとジャンプスーツはワークウェアからインスパイアされたようです。
Sam McKnightによる低い位置で結ばれたポニーテールはKate MossとDaria Werbowyの写真からインスピレーションを受けたもので、"looking their natural, gorgeous, rock 'n roll, sexy selves."とのこと。クロージングと対を成すトランスパレントでナチュラルなメイクアップはTom Pecheuxによるもの。

Suzy Menkesがレビューで書いているように、Balmainには常に同じアジェンダが設定されていますね。それは、ベーシックな性質を伴ったベーシックな服を、素晴らしい技量を用い、カッティングとマテリアルのクオリティ、そして、装飾によってより高いレベルにそれを押し上げる、ということ。今回もそれに忠実であったことは論を待たないでしょう。

Christophe DecarninかMelanie Wardの影響かは不明ですが、切れ味はそこまで鋭くなく、どちらかと言えば新しさを探して?少しロストしている雰囲気もコレクションにはあったかなと思います。クリエイションの持続可能性と革新性を両立させることは容易ではないことを改めて感じさせるコレクションでしたね。

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Ann Demeulemeester 11-12AW Collection

昨シーズンのトライアウトからシフトし、今シーズンは自身のトラックへとターンしたAnn Demeulemeester 11-12AW Collection。アンによれば今回のコレクションのスターティング・ポイントは神話からだったようですね。

フルブラックのカラーパレットによって描かれるコレクションは、彼女のアイデンティティである繊細な強さとフラジリティを伴ったポエティックなダーク・ロマンス。クロップドされたテーラリングにイントリケートされたレースアップ・レザー。シェブロン・ストライピング。ゴートファー(彼女は食べられる動物からだけファーを使用するとのこと)のLookは神話に登場する"faun"をイメージし、モデルの髪を飾る馬の鬣はユニコーンから。
羽をセットした弾帯、鳥の足をモチーフとしたネックレス、レザーグローブにウェッジブーツ。控えめなフェミニティの垣間を見せるソフトタッチのスリーブレス・ドレス。Eugene SouleimanによるヘアスタイルとRudi Cremersによるメイクアップも儚い運命を背負った女性像に上手くマッチしていました。

"My job is to give beauty,"という彼女の発言があったように、神話をインスピレーションとし、人間と動物と自然の関係性によって紡がれた唯一無二の輝きを放つコレクションは美しいの一言。隙の無いデザインと研ぎ澄まされたクリエイションはアンにしか描けないものを描いており、何度見ても飽きない、強度を持った作品は永続性を獲得している感じがあったかなと思います。

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Balenciaga 11-12AW Collection

パルのクリヨンホテルにバスルームのようなタイルを敷き詰めて行われたNicolas GhesquiereによるBalenciaga 11-12AW Collection。今回のコレクションのキーワードは、"scale and perspective, dimension and distance"。

フェイクレザーを用いて厚く編まれたジャケットとアシンメトリーでスカーフシルクのニーレングス・スカート(植物と爬虫類がプリントされている)からスタートしたファブリックとテクスチャーによる実験劇場は、切り返しによる異なったマテリアルの組み合わせやカラーブロックを用いて分極化することで両極性を持たせたもの。特異な発想をリアリティのあるクロージングに落とし込めるのがNicolas Ghesquiereの才能ですね。

スポンジセーター、レイヤリングされたチェーンリンク・フェンス、バロックパターンのマルチ・ストライピングシューズにクラッチバッグ。緩やかにコクーンを描くコートやラウンドショルダーは今シーズン、多くのブランドが頷きを見せたCristobal Balenciagaへのシグナル。ランウェイ後半でドレスにスキニーパンツを合わせていたのは彼らしかったですね。

ランダムアクセスされるインスピレーション・ソースをマテリアルやカッティングを用いたディティーリングで実現し、代替不可能性を持ったクロージングに仕上げているのがいつもながら素晴らしいコレクション。冷静沈着にカテゴライズ不能な作品を作り上げるNicolas Ghesquiereには静かでストレンジな才能とクリエイション・プロセスにおけるセレンディピティを感じますね。

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Gareth Pugh 11-12AW Collection

Pittiで提示されたプレコレクションの延長線上のコレクションとして展開されたGareth Pugh 11-12AW Collection。Gareth Pughによるとエレガントな感触があったプレコレクションよりも今回はよりアグレッシヴでフェミニンになったとのこと。Matthew StoneによるサウンドトラックにSimon Costinによるセットデザイン、モデルのメイクアップはAlex Boxが担当したランウェイショーはGareth Pughの言語によって紡がれた物語でしたね。

カラーパレットは前半から中盤に掛けてステュクスなブラックを用い、後半ではPittiからの継続として、フィレンツェ・アートの影響を感じさせるコバルトブルーとゴールドが登場。ゴシック・トーンの空気感にスクウェアにカットされたジャケット、十字を描くジッパーなど、彼らしく強度の伴った彫刻的なクロージングによって描かれる、"High Priestesses"。
流動性への言及としてのソフトタッチのケープドレスやフロアレングスのシフォンパンツはそのはためきと陰影が美しかったですね。ライティングによってランウェイに映った影も印象的だったかなと思います。ランウェイ終盤のゴールドの使い方は彼のクリエイトするものの方向性と上手くマッチしていました。

クリエイションの探査プロセスの結果として、色と流動性による変化があったのは彼の進化と成長の徴候を示しているようで良かったかなと思います。

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Nicolas Andreas Taralis 11-12AW Collection

ビクトリアン・ブラウスなどによって流動性への頷きを見せたNicolas Andreas Taralis 11-12AW Collection。
彼らしく、テーラリングやレザーにデニムといったスキニーなアイテムによってソリッドで退廃的な世界観を構築していましたね。カラーパレットはブラックが中心でしたが、今回は血のような赤が印象的でしたでしょうか。血をモチーフとしたことをタラリスは否定したようですが、褐色した赤はクロージングの内側に存在しているものを示唆している感じがありました。

メンズとレディスのモデルが混合されたランウェイショーは、レディスのLookのシャープさが強調されていましたね。男性と女性では骨格が違うので当たり前ですが、ショルダーやウエストの位置などによってシルエットの見え方がずいぶん変わっていたのが面白かったかなと思います。

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Dolce & Gabbana 11-12AW Collection

80年代の空気感をベースにマスキュリニティとフェミニティのミックスによって展開された、Domenico DolceとStefano GabbanaによるDolce & Gabbana 11-12AW Collection。

ジェンダーとの戯れを感じさせるランウェイショーは、ダブルブレストのワイドラペル・テーラリングにシャツとネクタイ、ポークパイハットやサスペンダー、ノースリーブ・シャツにジレといったアイテムによってボーイッシュなマニッシュさを描いていましたね。フェミニティとしては、ハウス・シグネチャであるランジェリーやコルセット型のドレスに加え、シフォンのドレスをフィーチャー。
ファブリックやイヤリングなどにライトモチーフとして多用されるスターとミュージックスコアは、ここ数シーズン影を潜めていた彼ららしい俗っぽさがありましたでしょうか。ファーにレオパード、スパンコールといったお馴染みの要素もありつつ、ビジューを散りばめたジャケットなども登場。身頃の途中でカットアウトされたジャケットが1Lookだけあったのが個人的には目に留まりましたね。

彼らのコレクションはここのところシシリーへの言及が続いていましたが、今回は少し変化があって良かったかなと思います。俗っぽさやお行儀の悪さといった要素はDolce & Gabbanaにとって大切な要素だと思うので、今回はそれが80年代のトーンによってドライヴされていたのが印象的なコレクションでしたね。

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Jil Sander 11-12AW Collection

"New Minimalism"の探索としてオートクチュールへの言及を見せた昨シーズンに続いて、今シーズンもクチュールへの再訪を行ったRaf SimonsによるJil Sander 11-12AW Collection。インスピレーションソースとしては、Louise Dahl-WolfeとDiane Arbusの写真もあったようですね。

Pitti Uomoで提示されたメンズの11SSコレクションから継続して使用されるカラーパレットは、ブラックにブルー、レッド、イエロー、グリーンといったブライトカラーをセット。スキーウェアから感化を受けたスティラップパンツは靴に空けられたスロットと一体化し、クチュール・エレメントとしてのコクーン・シルエットによってコレクションを駆動。アウターウェアはコートとドレスの境界線を行ったり来たり、といった感じでしたね。Tim Blanksのレビューによると、フローラル・プリントは歴史的なクチュール・ファブリックハウスのBucolを示唆し、靴はJacques Adnetからの影響があったとのこと。
スポーツウェアがウェアラブルな空気を運び、クチュール・センシティビティがモダンな美しさを表現。それらをミニマリズムによって統合するというアイデアは彼らしいクリエイションですね。最近のRaf SimonsのJil Sanderは、誰もいない領域に突入しつつある感じが個人的にとても好きです。

コレクション毎に継続的に再定義され、論理的拡張を続けるJil Sanderのミニマリズム。リスクを賭け金として未来へベットすることができなければ、創造性や発展性は生まれ得ず、それはクリエイション足り得ないということを彼のコレクションは教えてくれますね。

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