ここではないどこかへ
昔読んで忘れていた。ここで紹介されていて思い出した。
いつか何かが訪れて自分をこの日常(世界)から連れ出してくれるかもしれない、って誰もが心のどこかで淡い期待を抱いて生きているんだと思う。最終的に人間を動かしている部分はきっとこの気持ちだろう。完全に先が見えてしまったら生きていけない。でも、先が真っ暗なのもまた困る。どうしたものか。
情報が少なければ少ないほど向こうの世界はどうなっているのか、少なくとも今の自分が置かれている状況よりは良いだろうと考える。隣の芝は…ってことだ。
近代化ってのは脱宗教化みたいな話があった。科学も一つの宗教だと言えばそうだろうけど。世界からムード(って書けばニュアンスが伝わるだろうか)を剥ぎ取っている感じはする。お酒を飲むなら明る過ぎない部屋が良い。
モノをつくっている人間は次に自分がつくろうとしているモノや今、自分が取り組んでいるモノ、その制作の過程で先が見えそうで見えない、完成しそうでしない、そんなゆらぎの中で光を見ているんだ。そして、それが一瞬見えるからつくるのをやめられないし、それに生き甲斐を感じているんだと思う。
「世界を変えられないのなら、自分を変えろ」ってセリフがとあるアニメであった。ここではないどこか…そんな場所はもう、自分の中にしかないんだろうなと思った。