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6+ Antwerp Fashion

東京オペラシティアートギャラリーで6月28日まで開催されている「6+ アントワープ・ファッション」展に行ってきました。
展示の内容については、2007-2008のアントワープ王立美術アカデミーファッション科の作品やAntwerp Six(Ann Demeulemeester, Dirk Bikkenberg, Dirk Van Saene, Dries Van Noten, Marina Yee, Walter Van Beirendonck)の作品、それに加えて、Maison Martin Margiela, Bernhard Wllhelm, Raf Simons, Patrick Van Ommeslaeghe, Kris Van Assche(for Dior homme), Haider Ackermann, Bruno Pieters, Veronique Branquinho, etc...といった感じでした。また、作品はもちろんですが、過去のランウェイショーの映像やコレクション関連の写真も展示されていましたね。

今回の企画展のストーリーを簡単に書いてみると、

それまでフランスのファッションの再生産(つまり、コピー)でしかなかったベルギーのファッションが、1970年代後半にロンドンやニューヨークで出現したポップ、パンク、ストリート・カルチャーの影響を受けた学生たちの自己表現によって変化が訪れ、更には停滞していたベルギーの繊維産業を活性化するために政府主導で1981年から5年計画で実施された「テキスタイル・プラン」によって若手デザイナーにプロレベルの仕事をするチャンスが与えられたこと。そして、1988年の英国デザイナーショーにおける「Antwerp Six」の出現(ちなみにこの呼び名は英国のジャーナリストが付けたものなのですが、その理由が各デザイナーの名前が発音し難かったため・・というのが面白いですね)と、Martin Margielaのパリでのデビュー。その後は、アントワープの6人とマルジェラが前面に出る時代が続くのですが、その影に隠れがちであった次世代のデザイナーに注目を集めさせるきっかけになったのが(アカデミーでは学んだことの無い)Raf Simonsだった・・。

ということになるのかなと思います(パンフレットとカタログより)。

アントワープと聞くとコンセプチュアルなデザインのイメージがとても強いのですが、王立美術アカデミーによる教育が内省による独創性の醸成にベースを置いているようなので、それによるものなんだなと今回強く感じましたね。ただ、今後も今までと同じように独創的なデザイナーを輩出していけるかと言えばいろいろと問題もあるようで、世界のフラット化(アカデミーで学ぶ学生の大半がベルギー以外の外国人であることやインターネットの影響など)に関する話も今回の展示会のカタログには書かれていました。

装苑5月号でも特集が組まれていましたが、アントワープはなぜモードを生むのか?という問いが気になる方は足を運んでみると良いかなと思う企画展でした。

posted by PFM