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Fashion Blog as Commodity

少し長文になってしまいましたが、最近面白いなと思った2つの話題について。

Cathy Horyn's Advice To Aspiring Journalists: Be Reporters, Not Re-Bloggers
Bloggerのオリジナル・コンテンツの不足についてCathy Horynが指摘しているインタビュー記事。この問題はBlogに限らずTumblrやTwitterなどにも言えることですね。Re-BlogやRTといった転載行為のオリジナリティの欠如というのは、ずいぶん前からある話だと思います。また、海外サイトからネタを拝借して記事にするというサイトはファッション関連に限らず、IT関連のテック系メディアなど、多くのサイトで行われていることですね。

WWDやthe cut、fashionologieにfashionistaといったファッション系のサイトを読み、それっぽいことを書けばそれっぽいBlogが出来上がる訳ですが(こんなBlogみたいに)、それらにオリジナリティがあるかと言えばもちろん無いですよね。翻訳して情報をまとめたサイトは便利ではありますが、可能な限り情報元のサイトを直接チェックした方が個人的には良いかなと思います。

何を目的としてBlogやTwitterをするかにも因ると思いますが、何かそれっぽいことをしていると何かを創造したりアイデンティティを表現している気分になれてしまうのはとても危険だなと自戒を込めて感じますね。MacとPhotoshopがあれば誰でもデザイナーになれる、なんて話がずいぶん昔にありましたが、なんだかそれに似ている感じ。逆に言えば、何かのサービスや情報の提供者はそういった感覚をユーザーに与えさせるようにサービスをデザインしているので注意が必要ということでしょうか。いずれにしてもオリジナリティやクリエイティビティ、そして、アイデンティティといったものはインスタントに表現され得るものではないことは常に自覚しておきたいですね。

Cathy Horynのインタビュー記事からずいぶんと脱線してしまいましたが、この話題の最後に一つだけ。彼女がインタビューの中で面白いサイトとして紹介しているのがBrain Pickingsというサイト。このサイトのAboutのページのMISSIONに書かれているクリエイティビティに関する文章がとても良いなと思ったので是非ご一読を。


Scott Schuman Is 'Not Really a Fan of Personal Style Blogs'
Style.comでのScott Schumanのインタビュー記事から、パーソナルスタイル・ブログは限られたワードローブしか持たないのであまり面白くない、という話題。こういう話題のときにチェックすべきところは意見の多様性という意味でコメント欄だと思うのですが、このthe cutの記事にもコメントがたくさん付いていてその内容がとても面白いです。

Scott Schumanのスタイル・ブログ批判はあまり詳しく調査もせずに上から目線での発言で不当だ、といった意見や、The Sartorialistよりも一部のスタイル・ブログの方がウェブ・トラフィックを稼ぐので彼は動揺しているのでは?、といった指摘。スタイル・ブログはとてもナルシスティックであるという意見には、(スタイル・ブログの開設者である)彼女たちは一種のオンライン・ダイアリーとして写真をアップしているのでナルシスティックではない、といった意見など。
スタイル・ブログの女の子たちはファッション・ジャーナリズムとしてではなく、単なるセレブリティ・フィーリングによってそれらをしているので、そこには本当の情熱は無い、といった辛辣な意見もありましたが、稚拙なセレブリティ・フィーリングによって書かれているBlogは世界中にあるだろうことは簡単に想像できますね。

そもそもの問題として、The Sartorialistのようなストリートスタイル・ブログとよりパーソナルでインディヴィデュアルなスタイル・ブログを比較すること自体がリンゴとオレンジを比較しているようなものだ、という意見には同意できます。
クローゼットにある限られたワードローブでフォト・シュートを行うスタイル・ブログに期待するものは、あるアイテムの新しい組み合わせによる再発明性や融通性である、と。ストリートスタイル・ブログは多くの異なる個人をストリートで撮影するので、自分の好みに合ったLookを見つけるのは中々難しいけれど、自分と同じ嗜好を持ったスタイル・ブログであればそういった有用性は確かに高い感じがしますね。

スタイル・ブログとして挙げられていたサイトをいくつか順不同に書いておくと、misspandora.frlove-aesthetics.blogspot.comtheglamourai.commanrepeller.comcupcakesandcashmere.comseaofshoes.typepad.comkingdomofstyle.typepad.co.ukstylebubble.typepad.com、といった感じ。他にもスタイル・ブログにカテゴライズされるサイトは無数にありますが、読むも読まぬも各個人が自由に選択するのが良いかなと思います。コメントにもありましたが、インターネットの良いところは従来のメディアと違ってサイトを選り好みすることができることにあると思いますので。

posted by PFM