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Christian Dior 12SS Collection

2011-12年秋冬クチュールコレクションに引き続き、Bill Gayttenによって提示されたChristian Dior 12SS Collection。
クチュールコレクションの災害の後、今回は安全なカードを切ったといった感じのコレクションでしたね。

いつものようにRodin Museumの特設テントで行われたランウェイショーは、クラシカルでスウィートな方向性での展開。エアリーなガザル・スカートにオーガンザによるブラウス、バー・ジャケットはワイドネックによってモダンに表現。Stephen JonesのクローシュをLookに加え、タイルパターンや薔薇のモノクロプリントを用いた膝丈のミニドレスを中心にデイウェアを構成し、イヴニングはランジェリーライクなレースのひだ飾りなどによるチュールドレスをフィーチャーしていましたね。
若さとクラシカルさを兼ね備えたライトなコレクションは面白さや新しさはほとんど無く、至ってノーマルな感じですが、ビジネス的に言えば(デザイナー不在の現在の状況を考えると)ベターなコレクションと言えるかなと思います。

John Gallianoの解任以降の状況を見ていると、それは単純にChristian Diorというブランドのデザイナーが決まらないという問題だけでなく、オートクチュールを源流とした重厚長大路線の終わりというコンテキストが見え隠れしている感じがあります。コンパクトでハードルの低い、ある意味でインスタントな方向性への変化はファッションだけに限らず、多くの分野で進行していることではありますが、安易で軽薄なものというものは面白さを全く感じないので個人的にこの流れは好きでは無いですね。

Christian Diorというブランドにはスペシャルな何かを期待してしまうものであって、それは言い換えれば、お誕生日の日にバースデーケーキを少女の前で開けた時の少女の微笑みや驚きのようなものを女性に対して与えられるかにある。tFSでも書かれていましたが、ショートケーキの上にあるストロベリーのようなスペシャルな何か。それを表現できるデザイナーがChristian Diorには必要ですね。ブティックでショッピングをする女性が求めているものは、プレゼントの箱を開ける前の少女のトキメキやバースデーケーキのロウソクの火を吹き消す瞬間のような喜びなのですから。

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posted by PFM