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Prada 13SS Collection

フランスで活動を続けていた日本人シャンソン歌手である薩めぐみの曲をBGMにセットして行われたMiuccia PradaによるPrada 2013年春夏コレクション。今回のコレクションは、(ミウッチャがよく再訪する)60年代のCourregesを初めとしたミニマリズムとジャポニスムをミックスしたものでしたね。日本はデザインプロセスの後半に行き着いた場所であって、結果的にそうなったという意味合いが強いようですけれど。

ランウェイ前半から中盤に掛けてはほぼブラックを使用し、後半でホワイトやピンクが登場するというカラー構成。60年代のミニマリズムをベースにイースタン・ミニマリズムとして家紋や花模様を用い、着物などの影響をLookの中に取り込みながらショーは進行していく。
ウォーホールのデイジーのようなシンプリファイされたフラワー・パターンのアップリケに着物の帯の影響を受ける折り畳みの入ったスカート、COMME des GARCONSライクな花柄模様のスプリング・ファーコートに羽織のようなオフショルダーのサテン・イヴニングコート、草履や足袋のハラジュク娘カスタムバージョンはPradaらしいフェティッシュな響きがありましたね。分かり易い花の模様よりも、服に対して、畳む、折る、結ぶ、包む、といったアイデアを適用したドレッシングによって日本的であることが表現されていたのが面白かったかなと思います。ジャポニスムは、ある種の様式美として機能している面も大きかったでしょうか。

概念的には、女性の人生におけるタフネスとポエティックな部分、厳格さ(ジオメトリックなパターン)と繊細さ(象徴としての花)といった相対する要素をLookの中でバランスさせようとする試みとしてのコレクションでしたが、思想とその結果としての服が両立しているのが流石といったところ。描くべきテーマがあったとしてもそれを形として表現できる技術がなければ話になりませんし、技術があったとしても描くべきテーマや思想がなければ作品は作品として成立しない訳ですから。知識や理論とそれを高い次元で実現できる技術の両方があって初めてデザイナーはデザイナー足り得る、と彼女のコレクションを見ているといつもそう思わせられますね。

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posted by PFM