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Chanel Pre-Fall 2013 Paris-Edimbourg Metiers d'Art Collection

スコットランドのエジンバラにあるLinlithgow Palaceで12月4日に行われたKarl LagerfeldによるChanel Pre-Fall 2013 Paris-Edimbourg Metiers d'Art Collection。
ブラピとアンジーといったFront Rowの噂は実現しませんでしたが、コレクションのインスピレーションソースは事前の情報通り、リンリスゴー宮殿で生まれたMary Stuart(Queen of Scots)とウェストミンスター公爵と関係を持っていた1920年代のCoco Chanelでしたね。

ランウェイショーは、スコティッシュ・モデルであるStella Tennantのウォーキングからスタート。タータンチェックやアーガイルにフェアアイルといったパターンを用いたニットウェアを中心に据え、1920年代にCocoがメンズウェアからアイデアを得たヘビーウールやブランド・アイデンティティーとなったツイード素材をフィーチャーしつつ、そこにエレガンス要素としてMary Stuartの影響を受けたレースやラッフルを結合してショーは進行する。

プルオーバー・セーターにカーディガンやケーブルニットをインナーに配置し、ツイード素材のコートやジャケットをアウターに合わせるスタイルをベースに、ニットにカーディガンコートを組み合わせたニットonニットのLookもランウェイに登場。少しルーズでラングイッドなシルエットを描くニットウェア、品位ある優雅さが表現される大きく膨らんだ袖のバグパイプ・スリーブにプッシー・ボウ、プリーツやパフボールのスカートはヘビーウール・マテリアルをフェミニンな表情に仕上げる。
タモシャンターやイヤーウォーマー、多くのLookで見られた存在感のあるブランケットマフラーにアーガイル・タイツとフラットソールブーツによって今回のコレクションがコールドウェザー・スペシフィケーションであることが示唆され、リンリスゴーの中庭に配置された火の粉の舞うかがり火に降る雪混じりの雨が、レイヤリングされた衣料の重さに正当性を与えていましたね。コレクションにムードと強度を与える演出としても一役買っていた感じでしょうか。

イヴニングでは、スタンドカラーや肩に羽飾りがあしらわれたアイボリーのレースガウンによって"Queen of Chanel"とも言うべきLookが披露されていましたが、いつも通りの流石のクオリティでしたね。アイボリーの王族ドレスはいつも完成度がとても高く、一切隙が無いのが個人的にとても好きです。

スコティッシュであるSam McKnightによるヘアスタイルは、カールから提示されたエリザベス女王の王族の肖像画と素晴らしいコーンロウを持つアフリカの女王の写真をインスパイアしたもの。アップヘアーのモデルの後頭部にコーンロウが編まれていたのは、アフリカン・クイーンをインスピレーションソースにしたもののようです。
Peter Philipsによるメイクアップは、ソフト且つフレッシュでありつつも僅かにエッジの効いた観察を提供する。彼によればそれは、ダンサーのメイクとパンクルックの間にあるとのこと。イノセント・ピンクのリップとチークに対してシャープなアイライナーのバランスがとても良い感じだったかなと思います。

Goossensによるカボション・ジュエリー用いたブローチやチョーカーにチェーン・ベルト、Lemarieによる雉子の羽を用いた美しい胸飾り、そして、イヴニングパートで使われたLesageによるフェアアイルに擬態した刺繍など。直近では、9月にフランスのグローブ・メーカーのCausseを(ちなみに、Karl Lagerfeldがいつもしているフィンガーレス・レザーグローブのその多くがCausseによるものとのこと。)、10月にはイギリスのカシミヤ・ニットウェアメーカーであるBarrie Knitwearを傘下に収めたChanelのParaffection Projcet。メティエダールコレクションは、Paraffectionによって保護されたアトリエの技巧をハイライトとする年に一度のコレクションであり、各アトリエに所属する職人の積み重ねられたテクニックがChanelを唯一無二のブランド足らしめていることを再認識させる場でもあります。

Karl Lagerfeldを核にしたクリエイティビティと職人の技術が高い次元でセッションすることで、Chanelのコレクションは毎回素敵なハーモニーを奏でていると言えますね。ChanelのプレジデントであるBruno Pavlovskyによれば、ラグジュアリーとファッションの世界においてビジネスをしたいならばその全てにおいて最良のコンポーネントを用いる必要があり、それは何故かと言えば、Chanelのようなブランドの顧客は非常にスペシャルな何かを見つけたいと思っているから、とのこと。垂直統合モデルによってエクスクルーシブでエクストリームなクオリティを実現し、ビジネスとクリエイティビティのCrossing-pointを地で行くのが今のChanelと言えるでしょうか。

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posted by PFM