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The Problem of AD Campaign by Fashion Designer.

Fashionising.comでポストされていた「ファッションデザイナー自身がAD Campaignを撮ることの是非」について書かれたアーティクルが面白かったので少し書いておきます。

記事の中ではデザイナー自身がキャンペーンを撮ることの理由を二つほど挙げており、一つ目は昨今の世界的な経済不況にその理由を求め、フォトグラファーを起用せずに自分たちで撮影をすることによってコストを削減しているという話。二つ目は、デザイナー自身がキャンペーンを撮影をすることでそれは価値のあるニュースになり、そして、デザイナーの多才な才能(フォトグラファーとしての活動)をハイライトすることによって顧客のデザイナーへの信頼をより一層得ることを目的としている、といった話が書かれていますね。

前者の指摘は確かに著名なフォトグラファーをキャンペーンに起用すると多大なコストが掛かるというのは納得できる話ですが、名の通ったハイブランドが単なるコストカットを理由にそうしているとは少し考え難いかなと。なので、デザイナーの多才な才能を顧客にアピールすることによってデザイナーのある意味での神格化を意図している、という後者の指摘の方が納得できる感じでしょうか。もちろん、デザイナー自身が写真が好きであるということもあるでしょうし、また、デザイナー自身がコレクションの世界観を最も熟知しているので自分でキャンペーンを撮影した方がスムーズであると言うこともあるでしょうけれど。

そして、ファッションデザイナー自身がキャンペーンを撮ることの問題点とは、その「創造性の乏しさ」にあるとの指摘。記事中で言及されているブランドのキャンペーンが創造性に乏しいかどうかは別にして、一人で全てをやろうとすることはあまり宜しくないという意見は個人的に同意ができます。一人で多くのことを行えば確かに統一感は出せるのですが、驚きや偶然性が入り込む余地がかなり少なくなるので創造性という点ではどうしても低くなってしまう可能性が高くなるかなと。

餅は餅屋という言葉があるように、やはりそこはプロのフォトグラファーに任せて、ファッションデザイナーが描いた世界とフォトグラファーによるその世界の拡張というプロ同士の化学反応があった方が受けて側としては見ていて面白いですよね。記事中にあるように、ヴィジュアル・イメージが完全に飽和しているこの世界の中で、人々を立ち止まらせ、魅了し、夢見させるイメージをクリエイトするのがファッション・フォトグラファーの本分なのですから。

最後は、いずれにしてもデザイナーが自分でキャンペーンを撮るというトレンドはあまり長く続かないで欲しい、という言葉で締め括られていますが、確かにこの傾向が続くのだとすればあまり良くないと言えるかもしれませんね。

posted by PFM