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Christian Dior 13-14AW Collection

シュールリアリズムを暗示させる鏡の球体と空が描かれたフロアをランウェイにして行われたRaf SimonsによるChristian Dior 2013-14年秋冬コレクション。今回は、ムッシュ ディオールとRaf Simons自身の比較が一つのテーマとなっていましたね。

Jil Sander時代にLeonard Foujitaのアートワークを用いたように、今回はAndy Warholの初期のドローイングをシフォンのドレスや(クラッチ)バッグにフィーチャーしてショーはモダンに進行していく。ウォーホールの使用に関してラフによれば、「(アートへの興味関心について、ムッシュ ディオールは)ベルエポックに関するものでした。そして、私の場合は、ミッドセンチュリーについてのものです。」とのこと。

女性の細いネックラインを優しく包み込むネクタイのような大判スカーフ、デニム・ウールを用いて現代的に表現された"Bar"セットアップ・スーツはワイドパンツに組みにされる。アシンメトリーに描かれたドラマチックなディオールレッドのウールコートは、1948年に発表された"Arizona coat"のオマージュであり、1949年に発表された"Miss Dior dress"と1956年に発表された"Opera Bouffe dress"はブラックレザーを用いてRaf Simonsらしくエッヂを効かせて再構築される。ムッシュが愛したハウスシグネチャの千鳥格子はニットドレスへとモーフィングし、千鳥格子のウール・ビスチェはRene Magritteの作品を連想させるキーホール(鍵穴)のような深いUネックラインを備えたアウターウェアの間から違った世界を覗かせる。
ウォーホールの"Wreath of Birds"が静かに描かれた裾にプリーツを備えたドレス、グレーのクラシカルなドレスの流動性、千鳥格子のビスチェと対にされるアシンメトリーのスカート、そして、シュールリアリズムから影響を受けて刺繍された目や植物のモチーフがあしらわれたフラジャイルなシフォン・フラッパードレスによってショーはフィナーレを迎える。

ラフが「私は、彼(Christian Dior)の最初の10年間を私自身のものと比較したいです。」と話したように、彼が"memory dresses"と呼んだオマージュが散りばめられたドレスたちを中心にコレクションは展開されていましたね。モダンで知的に女性を美しく描こうとする姿勢は、いつものように素晴らしいの一言。Jil Sander時代から続いているフローラル・ピンクの使用は既に彼のクリエイションのトレードマークになっているかなと思います。子供っぽくなりやすい難しい色ですが、上手くコントロールされていますね。

ムッシュ ディオールのギャラリストとしての経歴に着目し、そこに自分自身との共通項(アートへの造詣)を見出すことで、今回はAndy Warholの1950年代のドローイングを使用するというアイデアに辿り着いているのも彼らしいやり方だったと思います。ラフによると「Andy Warholが初期作品において表現していたデリカシーとセンシティビティに興味を持っていました。」とのこと。
単なるブランドのアーカイヴへのアクセスのみならず、ここへ来て彼自身のヴィジョンをより融和させようという勇敢な試みがあったのが、これからのコレクションの変化に期待を持たせてくれますね。

via dior.com dior.com style.com wwd.com vogue.com runway.blogs.nytimes.com nytimes.com tFS

posted by PFM