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Tom Ford talks 2013-14AW Collection

WWDにアップされているBridget FoleyによるTom Fordのインタビューがとても面白いですね。
彼のファッション界への復帰後、初となるランウェイショーで披露された2013-14年秋冬コレクションですが、多くのエディターの評価は彼が予想していたものよりも、とても低いものだったというのを彼自身が認めているのが結構意外な印象を受けます。

"Cross Cultural Multi Ethnic"と題されたTom Fordのコレクションはグラフィックとカラーがオーバーロードを起こした多民族的なものでしたが、自分の感想としてはSaint Laurent by Hedi Slimaneと同じく古臭さが感じられるコレクションだったかなと思います。
繊細さを欠いた過剰なグラフィックパターンのゴリ押しや色彩設計、サーフェスの処理が粗野に見えるマテリアル、そして、彼の専売特許である耳元で漏れる吐息のようなセクシャルな色気の不在、など。それらが80年代の香りを纏って表現されてしまっていたのが13-14AWのコレクションだったかなと。Tom Fordの説明によれば最初から80年代を意識していた訳ではなく、結果的に80年代の雰囲気になったとのことですけれど。

ランウェイショーで服が良く見えなかった理由を重厚な雰囲気であった会場(ロンドンのLancaster House)に求めていますが、どうなのでしょうね。豪華な会場で過剰な服を披露するブランドは、間々あるような気もしますが。個人的にはエディと同じように今の時代の空気を捕らえきれていないことにその理由があるのでは?と思いますね。ブランクがあるのでどうしてもまだ勘が戻っていないのではないかなと。

そして、エディターからポジティブな反応を得ることができなかったことを誠実に受け入れつつ、次のシーズンに目を向けて前向きに話をしているのが、自信家のTom Fordにしては意外な感じがします。今回のコレクションの失敗から何かを学び、軌道修正を図ろうとしているのが興味深いところで、エディも少しは見習うべきなのでは・・と思ってしまった次第。ファッション・ジャーナリストに関してもTom Fordは、「今までジャーナリストを出入り禁止にしたことはありません。」と話していたりしますし。

今回のような過剰なコレクションを提示しておきつつも自身のことを商業的なデザイナーだと話しているのが彼らしいですね。そして、ミニマリズムにウンザリしているというのも面白いところです。

Tom Fordというブランドを10年以内に世界のラグジュアリーブランドのトップ5までに成長させる、という目標も彼らしい分かりやすい話で、最後の"We live in the future, we don't live in the now."という言葉が彼の今後に期待をさせますね。

posted by PFM