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"Dior Homme, Kris Van Assche's Man in the Mirror" - i-D Magazine

i-D MagazineのDior Homme 2014年サマーコレクションに関するKris Van Asscheのインタビューが面白かったので少し書いておきます。
上に載せた画像はPhil Meechによるバックステージ・フォトグラフィーをNicolas Santosがコラージュしたもので、インタビューの中でどのようにして制作されたのかが語られています。左右の身頃で色が違うジャケットなどが今回のコレクションではキーアイテムとなっていますが、それを破った紙のように上手くコラージュで切り替えして表現している感じになっていますね。そしてそれは、鏡に映ったもう一人の自分(鏡像)を表現しているようでもあります。

クリスが16世紀の詩人であるThomas Campionから引用した"The sun must have his shade."という言葉は、左身頃がプラム(バーガンディー)で右身頃がブラックになっているセットアップ・スーツが端的に表しているように、スーツの左身頃に太陽の光が射すことで反対側の右身頃に影が落ちている、という暗喩になっています。
"Lots of choice within one idea,"とは、クリスがコレクションを要約した言葉ですが、「多様性」はこの後の2014年オータムコレクションや2014-15年ウィンターコレクションでもキーとなる概念ですね。

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2014年サマーコレクションについて教えてください。
全体的なアイデアは、厳格なワードロープに特定の軽さを与えるという遊び心にありました。
テーラリングの堅苦しさ(例えば、スーツの構築にサテンを使用するような。)とカジュアルな気軽さの間の緊張関係を表現する、ショーツ・スーツ・シルエットはこの進化を要約するものです。

サルトリアル・フリーダム
その通り。自由を表す表現。それはマスキュリニティの新しい表現です。

抑制とはDiorを象徴するサインです。デザイナーとして、あなたはテーラリングの特定の境界線(限界)で働くのを好みますか?
Dior Hommeのようなメゾンにおいて、テーラリングは境界線(限界)ではありません。「インハウス」のアトリエを持つという事実は、フランスのラグジュアリー・メンズウェアにおいて例外的です。私は、テーラー、パターンメーカー、シームストレスの存在とそのノウハウを期待することができることに非常に幸運に感じます。私は彼らを驚くべきアトリエ職人としてだけでなく、クリエイティヴ・チームの一員としても見ています。最良のアイデアは、ワーキング・プロセス全体から現われます。しばしば、私が制作中の(服の)ピースを見る時、それは私に新しいデザインのアイデアを与えます。更に言えば、それはスケッチに取り掛かる常に異なる方法があるということです。

John Chamberlainの作品が(2014年サマーコレクションの)メタリック・パッチワークに影響を与えました。何があなたの作品に引き付けましたか?
ここ数年の間、私は現代アート・シーンを調査していました。そして、John Chamberlainの作品は境界を押し広げているのでとても面白いと感じました。あなたが彼の作品を飾れば、それは抽象表現と同時に三次元表現を与えてくれるでしょう。したがって、ボリュームとリフレクションの上に成立する彼の作品は非常に訴えかけるものがありました。

コラージュによって、Phil Meechのイメージはショーのミラー・ラビリンスを反映します。どれぐらい緊密に彼とテンション・イメージに取り組みましたか?それは自由で簡単なものでしたか?それとも、緊密なコラボレーションでしたか?
これらのシリーズは、ショーの最中にバックステージで撮られました。よって、ショーのエネルギーがそこにありました。私はPhilがこの特定の瞬間を捉えることができる方法が本当に好きです。したがって、それは非常に厳密な打ち合わせの元で行われたものではなく、むしろ「白紙委任」でした。その後、私は、Nicolas Santosにコレクションの意図及び、テンションをコラージュに反映するように依頼しました。私は結果に非常に満足しています。

鏡を見るとき、あなたは何を見ていますか?
しかるべき時にしかるべき場所で、しかるべき男性を見ます。

コレクションは、その静かな変化にとても執着的です。メンズウェアの領域から離れて、あなたを夢中にした最も新しいものは何でしたか?
私はそれが執着的だとは思いません。しかし、私はデザインの発展に関心があります。私は、新しい才能を発見するためにショーとギャラリーに行きたいです。それは本当に訴えかけるものがあります。

緊張と強迫観念の世界から離れて、どのようにあなたはリラックスしますか?
私はストレスを家に持って帰らないことを学びました。いつもそうできる訳ではありませんが、しかし、私はそれが非常により得意になりました。

最後に、あなたは新年の抱負を決めましたか?もしそうなら、その誓いを守っていきますか?
私は「年に一度」の誓いを信じません。私は定期的に物事を疑います。

posted by PFM