This is Not here - *//LIKE TEARS IN RAIN

S.R. STUDIO. LA. CA. 20SS Collection

Pitti Uomoのスペシャルゲストとして、Sterling Rubyがフィレンツェで発表した彼の初となるファッションコレクション。
19世紀に家畜用の干し草置き場として使われていたLa Pagliereを会場にし、Front RowにはRaf Simons、Virgil Abloh、Michel Gaubertらを招待。モデルにはPieter Mulierを加えて行われたランウェイショーは、Sterling Rubyのアート作品を想起させ、そして、Raf Simonsとのコラボレーションを思い出させるアートワーク的アプローチによって進行する。

ブリーチデニムに、フレアなバギーパンツ。ネイティヴ・アメリカンの影響を受けたポンチョ。プレーリーな田舎娘はデニムスカートやタータンチェックによって描かれる。彼の妻でフォトグラファーのMelanie Schiffが撮影した蝋燭や植物の写真を用いたドレスに、ドライバーやハサミ、洗剤等の日用品をコラージュしたデニムとパーカーなど。アメリカの伝統や歴史、自身の人生やアートワークによってコレクションはドライヴされている。
ショーに登場したモデルが持ったシルバーのスコップは、19世紀にカリフォルニアで起きたゴールドラッシュを連想させ、ドレスやスカートの下にズボンを穿いたウィメンズのLookはカリフォルニア女性参政権運動(女性がドレスの下にズボンを穿いた歴史を持つ、と彼は説明する。)に由来する。

ドイツのビットブルクにある米軍基地で生まれ、生後間もなくアメリカのメリーランド州のボルチモアに移住し、その後、ペンシルベニア州の田舎町であるニューフリーダムで彼は育った。ペンシルベニアにはアーミッシュがおり、幼少期から青年期までを田舎で過ごし、現在はカリフォルニア州のロサンゼルスを拠点に活動している彼の自伝的なストーリーを持つランウェイショー。彼の服づくりは、母親にミシンを買ってもらった13歳の時にまで遡る。

彼は今回のコレクションを、アナバプテストドレスからSlayerのツアーシャツ、コンバットブーツからウェストコーストカフタンまで、それは私が人生の様々な場面で服が持つ根本的な力を理解した方法を具体化したもの、と話す。

アート作品とファッションの違いについて問われた彼は、スタジオで何かをつくるということは自分にとって本当に同じことだと答え、それは溶接機とミシンの違いでしかないとのこと。

アート業界に関して彼は、時代遅れのルールに固執するディーラー、キュレーター、ミュージアム・ディレクター、オークションハウス、コレクターの硬直化したシステムにうんざりしていると吐露する。しかし、アート自体に彼は信頼を失ってはいないと言い、業界がもっとオープンで、ヒエラルキーが無ければ良いと願っている。彼は全ての秩序をフラットにするため、区分と境界線を消すことに興味があり、ファッションはそれを実現するのに良い場所のように感じていると説明する。

初のファッションコレクションとしてはまとまりのあるもので、コレクションとして完全に成立していたかなと思います。テーマが自叙伝のようだったのも、アーティストがファーストアルバムに自身の名を冠すセルフタイトルのようだなと。ただ、予想を超える何かがあったというものではなかったのも事実。過去にラフとのコラボレーションを見ているので、個人的には予想の範囲内のコレクションでしたね。上下ペアのワントーンのLookが多かったのも単調さを感じさせる要因になっていたでしょうか。

今回のショーピースは、既に公式サイトでオーダーできるようになっています。ラインとしては4つに分かれており、"S.R. STUDIO. LA. CA."(メインライン)、"SOTO"(Sterling Ruby Studioによって手作業で作られたファブリックを用いたアイテムで、オレンジのSOTOブランドタグを持つ。)、"UNIQUE"(過去10年間のテキスタイルの調査からSterling Rubyによってデザインされたアイテム。)、"ED.50"(数量50の限定アイテム。ブラックのED.50ブランドタグを持つ。)といった感じ。伊勢丹やDover Street Market辺りで取り扱うなら実物をチェックしてみたいですね。

via vogue.com wwd.com dazeddigital.com anothermanmag.com

posted by PFM