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Vogue Italia January 2020 "The No Photoshoot Issue" for Sustainability

Vogue Italia 2020年1月号の7つ全ての表紙と特集はアーティストによって描かれたものとのことで、今回は写真撮影を排した"No Photoshoot Issue"となっているようですね。全ての表紙には"No Photoshoot Production was required in the making of this issue."とコピーがあります。唯一、1月号の中には17歳の2人のフォトグラファーが撮影した写真が載ってはいるようですけれど。

表紙で着用しているのはいずれも20SSのGucciで、モデルとフィーチャーされているアーティストはLili Sumner by David Salle、Female figure by Vanessa Beecroft、Ambar Cristal Zarzuela by Cassi Namoda、Olivia Vinten by Milo Manara、Assa Baradji by Delphine Desane、Felice Nova Noordhoff by by Paolo Ventura、Lindsey Wixson by Yoshitaka Amanoとなっています。
天野喜孝がリンジーを描いているのが面白いですね。完全にFINAL FANTASYのキャラクターになっていますが(笑)

今回の1月号が写真撮影のないファッション誌となった理由は、サステナビリティにフォーカスを当てているから、ということになります。"Illustrated Issue"ではなく、"No Photoshoot Issue"と呼ぶ理由でもありますね。

Vogue Italiaの編集長であるEmanuele Farnetiによると例年、分厚くなる9月号では、150人ほどの関係者、約20のフライトと1ダースの電車での移動、待機中の40台の自動車、60の国際輸送、一部ガソリン発電機を用いた10時間以上の連続したライトの使用、ケータリングサービスからの食品廃棄物、衣類を包んだプラスチック、電話やカメラを充電するための電気…、といったようにオリジナルの写真で特集を組んで1冊つくろうとすると環境負荷が高いという問題意識があったとのこと。

2019年12月6日に全世界26のVOGUEの編集長が署名し、共有する価値として発表した"VOGUE VALUES"もサステナビリティが中核にあり、Emanuele Farnetiはその際、2008年にファッションの多様性の問題を世界的に最初に取り扱った(Franca Sozzaniによる)Vogue Italia July 2008 Black Issueを思い出して欲しいと言い、自分たちの使命は信じる価値感を維持することにあり、1月号はこれらの価値のマニフェストになると語っていました。
そして、Farnetiは「宣言だけでは十分ではない。」とし、「実際に行動に移すことは非常に重要です。」とNYTimesでも答えています。

tFSでは今回のIssueが偽善であり、たった1冊では世界は何も変わらず、次号からはまた今まで通りに戻ってしまうというといった意見もあります。事実、イラストのみでファッション誌を毎号構成するのは無理があるでしょうし、広告主であるブランドのアイテム写真を用いたエディトリアルを載せないというのも広告出稿的な意味合いで現実的ではありませんね。

こういった批判についてもFarnetiは織り込み済みで、「問題に向き合う最も誠実な方法は、それを認めることから始まると思います。」と言い、今回のIssueは自分たちのビジネスがサステナビリティからは程遠いという自覚の告白であると話しています。そして、サステナビリティの第一歩として、Vogue Italiaは2020年にConde Nastの国際的な出版物の中で最初に100%堆肥化可能なプラスチック包装を使用すると語っています。

尚、写真撮影を行わなかったことによって今回、節約された予算は11月の高潮で被害を受けたヴェネツィアのFondazione Querini Stampaliaに寄付されるとのこと。

受け取り方はいろいろあると思いますが、雑誌作成における二酸化炭素排出量の削減や環境負荷低減という問題意識によって駆動された今回のコンセプチュアルなIssueは、Franca Sozzaniの流れを汲むという意味でVogue Italiaらしいアプローチであることは間違いないでしょう。